タック二階堂 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
あれっ?いつから俺は「美女と野獣」を観ていたんだ?
と思わされるほど、いろいろとディズニー「美女と野獣」です。
公開直後から酷評の嵐で、「未来のミライ」が酷かったり、「バケモノの子」が途中で観るのをやめてしまったりと、とにかく細田守作品で手痛い目に遭って来たので、この作品を劇場に観に行くのをやめたという経緯があります。
でまあ、ようやく地上波初放送ということで観ました。
結論から言えば「酷評するほど酷い出来ではない」といったところ。
いろいろと良作になり得た要素はあるんですね。そして、細田守監督お得意のサイバー空間。「サマーウォーズ」よ、再び! という号令が出たか出なかったかわかりませんが、ここんところの「自分が子育てをして感じたところをアニメにしてみました」といった、「おおかみこどもの雨と雪」からの子育てストーリーからの脱却という作品でした。
まあ、新海誠監督の、かわいい娘がいるのに自分の趣味全開の「JK大好き」アニメを作るというベクトルとは、違った方向でアニメを作るというスタンスは否定しません。
ただ、それが面白いかどうかは別の話で。
で、本作ですが、いろいろとヒアリングをしたのでしょう。オタク(+非オタの若者層)に受ける作品は、どんなものかという。で、出した結論としてJKを主人公に据えた、サイバーな空間を舞台にしたストーリーだと。
間違っちゃいないんだけど、どの要素も「俺は『美女と野獣』が好きだから、それっぽい映画を作りたい」という感情によって、すべて中途半端にされてしまったのが残念ポイント。
歌をメインにするため、マイナーなシンガーを主役のJKに抜擢(しかも、けっこうな年齢…ごほんげふん)。結局「2ちゃん文化」から抜け出せない、よくある類型的なネット民の描写。説明不足な上に、映画の尺では足りないもんだから、かなり乱暴なストーリー展開…
いやホント、もったいないという印象でした。
結局、主人公と幼なじみの青年との進展もないし、そもそも母親が心底どうでもいい他人の子を命を懸けて助けに行くのも、「おおかみこども」の親父オオカミがあっさり死んでしまうのと同じようなあっけなさ。
でまあ、それが伏線だとばかりに、主人公も心底どうでもいいネット上のDVを受けている他人の子供たちを助けに、高知から川崎まで行くんです。大人もその場にいたのにね。陰キャのJKが一人で行って、何ができると思ったのか…
で、逃げない勇気を目の当たりにしたDV父親が腰を抜かして逃げていくという。そんな馬鹿なw
とまあ、ツッコミどころは満載です。
でも、それを差し引いても、面白くなり得た可能性はあったんですよね。うーん、もったいない…