てとてと さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
熱い男のドラマに留まらない傑作
※作品データベース様より転載
【良い点】
ダブル主人公の意地と信念を、アルター能力の異能バトルで徹頭徹尾貫いて見せた痛快な作風。
境遇も生き方も対称的なふたりが出会い、憎み、対立し、外からの邪悪な思惑に翻弄される渦中でも己を貫き、共闘し、意地と信念を通す似た者同士として共感し合い、ラストは全てをかなぐり捨てて殴り合う…
王道という言葉でも言い表せない程に真っ向勝負で男たちの生き様を見せてくれた。
ラストの、友情という言葉でも言い表せないふたりの関係。
全26話の24話でラスボス倒し、残り2話使ってダブル主人公のドラマを貫徹した構成も最高に熱い。
バトルシーンが理屈抜きに熱い。荒い面はあれど、異能バトルアニメとして2020年時点でも未だ色褪せない。
保志総一朗・緑川光両氏の熱演も相まって圧巻の名バトルの連続。
アルター能力使用に痛みや代償が伴い、命を削りながら戦う感じも、作劇に重みを出している。
楽曲面も最高、分かり易い歌詞で真っ直ぐにテーマが伝わる主題歌で毎話気分が高揚する。
何気に歌詞字幕出るのも好き。
若本氏の予告編も外連味たっぷりなど、諸々の演出が良くて引き込まれる。
アルター能力者の隔離地域「ロストグラウンド」という荒廃した舞台や、邪悪な思惑を見せる本土の存在感などの設定も良い。
ジグマール隊長や無常らの真意が少しずつ明かされるなど、全編を通しての話も常に続きが気になる作り。
キャラドラマ自体は悪く見ると単調ながら、カズマ達が与り知らぬうちに動いていく事態で飽きさせなかった。
キャラクターの魅力が抜群。カズマと劉鳳はもちろん、クーガー兄貴のカッコ良さは圧倒的。一般人の君島の意地と最期は泣かせる。
セリフ回しが外連味たっぷりで印象に残る名セリフも多数、名セリフでなくても会話劇で飽きさせない。
サブタイでキャラ名使っている、スポットを当てたキャラのドラマが素晴らしい。
敵アルター使いに変人多く、独特の拘りや思想をアルター能力に反映させてキャラを立てているのも王道で上手い。
ウリザネやイーリャンなど地味に見えるキャラも見せ場や魅力的に描かれていたり、典型的なカマセなビフもカズマの回想でちゃんとフォローされているなど、キャラクターが大事にされている。
何気にモブのホーリー隊員が無常の命令を拒んで粛清されるシーンは、地味だけどモブも矜持を見せていて好き。
本作のテーマは「男の意地や生き方」な一方で、女の子の生き方も蔑ろにせず描いているのも見過ごすべきではない魅力。
4人のヒロインは共通して「愛する誰かの為に」必死に生きている。そんな健気さ気高さはちゃんと見せてくれている。
例えばカズマがカナミに「全部自分のものにするか、全部差し出すか、選べ」に対し、カナミが無言で一切れのパンを半分千切って差し出すシーンが、地味だけどとても良いと思った。
シェリスの劉鳳への片思いと、命を犠牲にしたシーンは、ベタながら泣ける。
主役側へのアンチテーゼとして、キゲツキと常夏三姉妹の歪で脆い在り方も分かり易い。
本作は男らしさを徹底して描く作風で、女らしさは無粋に映るか、男らしさの当て馬な側面もあるけれど、彼女たちの存在感があってこそ、バカな男たちが我を貫き通す生き様の美しさが際立つ物語といえる。
【悪い点】
終始シリアスで雰囲気が重め。
監督の次々回作「ガンソード」が終始明るい痛快な雰囲気で見易いのに比べると、鬱屈した展開も多かった。
痛快さよりも悲壮さが先立つ感じ。
必ずしも悪い点ではなく必要な事ではあるが、女性は弱い存在で、印象的な見せ場が乏しい。
シェリスちゃん、弱い…。OPの「リスクやマイナスならば起爆剤さ」のシーンがカッコ良くて印象的ヒロインと思ったのに。
ヒロインとしてはカナミは存在感あった一方で、ミモリはややパッとしない。
シェリスは最期に見せ場があるが、それまではパッとしない。
純粋な男らしさ描く上での対になる女性としての在り方として必要な描かれ方ではあるけれど、もう少し女性陣の活躍も見たかった。
【総合評価】10~9点
色褪せない不朽の名作。評価は掛け値なしの「最高」
バンダイチャンネルの無料期間で久々に視聴してやっぱり最高のアニメだと再認識したけれど、
意外と「熱血」や「友情」一辺倒ではない、奥が深い。改めて視聴して色々気付かされる、色褪せないのは名作たる条件だなぁと。