ドウ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ダイナミック母ちゃんと秀才娘のドタバタ感動物語。
自分の好きな作品の1つで、本日2022年9月24日、NHK Eテレで放送されていたのでこれを機に感想を書いてみました。
~~あらすじ~~
{netabare}母娘のふたり家族、肉子ちゃんとキクコ。食いしん坊で能天気な肉子ちゃんは、情にあつくて惚れっぽいから、すぐ男にだまされる。小学5年生、多感なお年頃のキクコは、そんな母のことが最近ちょっぴり恥ずかしい。共通点なし、漁港の船に住む母娘の秘密が明らかになるとき、ふたりに最高の奇跡が訪れる。{/netabare}
(公式サイト抜粋)
結論から言って面白かったですし、感動もしました。
人間が生きるという事、「生きていける」という事の根拠や確信がエネルギッシュに描かれていました。
この作品の興行収入があまり振るってないと最初に聞いた時は、自分にとっては作品自体の面白さと比例していない結果だなと思ったものです。
思いやる、愛情を持つという事がシンプルに人を生かす原動力となる。
このことはシンプルでありふれたテーマなのかもしれないが、それこそが人間に殊更欠けてしまう部分でもあります。
現代社会を見ていてもそのシンプルな事が欠けている世界の方が、むしろ多いようにも感じます。
この作品の中にもその欠けた世界はありますが、最後は主要登場人物には「思いやる」、「愛情を持つ」という血が通っている事を実感出来ます。
しかもコミカルさを挟んで描かれているので重い話しでも、変に重さに引っ張られ過ぎず快適に見終えることが出来ました。
またこの作品で一貫して描かれていたのは、「受け入れるということ」と「拒絶すること」でした。
作中の前半部分では、学校のクラスメイトと友達になったり対立がある中にも「受け入れ」と「拒絶」がありましたし。
最も肝の部分の{netabare}「母娘出生の秘密」にも、その生い立ちに生の{/netabare}受け入れと拒絶があったと思います。
そこで描かれていたのは、生きていく中でどうしても人間が避けられない「拒絶」や「絶望」という業に対して「受け入れる」という事の大切さや重要性でもありました。
自分は望まれてないいらない子だった。生まれてくるべきではなかった。
自分の存在自体への否定は、生きることの拒絶や絶望へと繋がる。
しかしこの作品は{netabare}そこから「生きてていい」、「愛情を受けている」、「自分は必要だ」という生きることそのものの肯定、受け入れに昇華していき、心が晴れて{/netabare}希望の光が灯っていきます。
人に対して「思いやる」、「愛情を持つ」。そして拒絶という絶望がある中にも「受け入れ」という希望もある。
そういった「生きていける」という事の根拠や確信が描かれている、素敵な作品でした。
明石家さんまさん、貴方はこの作品が劇場アニメ映画の初企画・プロデュースとは出来が良すぎますね。
笑って泣ける傑作映画。
この作品の制作に携わっていただいた皆様、素敵な作品をありがとうございました。