あすは さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
ちょっと前に、数十年ぶり(つまり放送当時以来(^_~;)に見返しました。
当時は圧倒的に新鮮だったのです。サイバーパンクという言葉は、もうちょっと前のウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』(すばらしいタイトル!)が嚆矢だったと思います。最初読んだ時はよくわからなかったけど、3作目の『モナリザ・オーヴァードライブ』あたりで、ようやく頭が追い付いてきた感じ。
なにしろ当時は、インターネットはまだ一般の人が関わるものじゃなかったし。テキストベースのパソコン通信の時代です。
アニメ中のパソコンの描写を見て、当時の雰囲気を思い出しました(懐かしくて最初に久々に顔文字を使ってみましたw 当時は新しい顔文字をいろいろ作ってた時代です)。秋葉原が、まだ「萌え」とかじゃなく、パソコンの街だったのだ。
お話は、「ニューロマンサー」の影響が非常に強いですね。でも、アニメとサイバーパンクの相性のよさが抜群であることに気づいたのは、「レイン」からです。映画の「マトリックス」は、レインとほぼ同時代ですが、おそらくかかっているお金の桁が違うにも関わらず、ここまでタメをはっているのは、すごい。
(時代は、『ニューロマンサー』1984、同邦訳1986、『レイン』1998、『マトリックス』1999)
今見ると、やっぱり絵の古さのために、ちょっと入り込むのに時間かかりますね。でも当時のほかのアニメと比べると、やっぱり一段も二段もとびぬけて先をいっていたと思う。ただし自分の感想が、その時代の空気を知っていること、その中で生活していたという記憶への感傷に影響を受けていないとは思えないので、客観的なものにはなりえないとも思います。今の人が見てどう感じるかは、知らない。
セカイ系的な側面も強いですね。自分はいまだにセカイ系大好きだけど、そういう時代を知らない人が見たらどう感じるのかな。受け入れにくいのかなあ?
サイバーパンクは、サイバーなだけにいわゆるバーチャルな世界を扱うことも多いですが、その対極として、人間くさい部分が強調されることも多いです。というか、むしろ必須でしょう。そのベクトルの違いが、とても効果的な表現だったのです。
このアニメにおける肉体的表現の中心に位置しているのが、ED含む音楽です。泥臭い肉体感覚の強いロック。なにしろ、RCサクセションにいた仲井戸麗市なので、そのインパクトは絶大です。
作品中に不可欠なものとして音楽が組み込まれているのだと思います。だから、音楽への評価も高くなります。
「こういう流行もあった」という、時代の証言的なものにとどまらず、時代を越えた名作となりえるかどうか、それがわかるのは、まだこれからかなあ。
「サイバーパンク」という潮流そのものへの評価も、もうちょっと時間が必要かもしれませんね。