てとてと さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
VR?メタバース?ディストピア風刺の少年探偵団?テーマは良かった割に面白さはイマイチ
湯浅政明氏原案のオリジナルアニメ全12話。トムソーヤーの冒険がモチーフ?
仮想空間と現実を行き来しながら生活し、「らぶ」という相互評価?社会評価?が重んじられる世界観で、らぶを巡る陰謀?に巻き込まれたヒロイン達が冒険して真相に迫っていく。
【良い点】
今日的なトレンドである仮想現実やSNSの相互評価至上主義をテーマにした、独創的な世界観は面白い。
面白い上に、分かり易いのも良い。
テーマや製作者のメッセージは分かり易く、SNSの相互評価に縛られるディストピア風刺として良く出来ていた。
過度に進んだ情報社会、陰謀を追うと見えてくる情報管理の闇…ディストピアの定番ではあるが、世界観と見せ方に独創性はあり、そこは面白かった。
こういう題材は闇が深くなりがちだけど、本作は良くも悪くも子供向けというか、Eテレ辺りでやってそうな雰囲気あり、あまり殺伐さは無い点も良い。
冷静に考えると管理者の思惑一つでユーレイにされる(現実で隣国の権威主義国家が押し進めているような?)世界観はかなり怖い、そこをあまり掘り下げなかったのは良し悪し。
仮想現実が現実を凌駕した未来世界で、「らぶ」がどんな価値を持つのか?持たないのか?
らぶ消失を巡る陰謀を追う過程で仲間が集まり、次第に真相に迫る流れも悪くない。
序盤はさりげないセリフやキャラの言動行動や奇抜な思考様式から、極自然にSF感を出せていて期待を持たせた。
主人公(女の子)のベリィの今時の子?ぽい?独特なミーム連発もキャラと世界観を印象付ける。
キャラデザはともかく、世界観描写は味がある。
【悪い点】
世界観とテーマは分かり易かったが、そこからのキャラドラマが今一つ。
テーマはちゃんと描けていたと思うが、ストーリーの面白さには繋がらず。
1クールでキャラが多過ぎ、癖の強いノリでなりゆきで合流していくためか、一人一人の印象が弱い。
会話劇の癖が強いというか、意識高い?印象もあり、個々のキャラに共感しづらかった。
序盤こそ煙に巻かれつつも世界観にワクワクさせるが、早期に驚きが出尽くし以降地味な少年探偵が続き飽きがち。
解決をハックの能力に頼りがちで単調。活劇の良さがイマイチ。
次第に明かされる真相もこの手のディストピアのお約束の域を出ず。
良い点と裏腹、折角の鋭いテーマが子供向け?の域を出ない。惜しい。
安心して見れる点は良いが、裏を返すと波乱が乏しく地味。
キャラデザが可愛くない。
これはこれで味があるのかも知れないが。
【総合評価】3~2点
悪くないというかどちらかというと良い作品だった気はするけれど、面白くはなかった。
設定は良いけど文芸面が弱い。
もっと尺取ってこの世界観とキャラを掘り下げてほしかった。
(トムソーヤーのアニメは全49話)
評価は「普通」