take_0(ゼロ) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私も俯瞰してみるフリをしてみたところ・・・。
これはミステリというには少々キビシイかも・・・。
たしかにアイデアとしてはユニークなポイントがいくつもあります。
しかし、過去にいくつもの同じニュアンスを含む作品を観てきた者として、それこそ俯瞰してみた場合の話です。
曰く、
ひぐらしシリーズ
うみねこ、
シュタインズシリーズ、
そして、
死に戻りで言うならRe.ゼロ・・・。
特に、Re.ゼロで「死に戻り」というシステムで若干の不快感(痛そうな思い、苦しそうな思い)を感じていた私としては、死に戻りのシステムは少し苦しかったですね。
さらに、もう一言だけ加えさせていただければ「影」という存在との争いにおいて、ファンタジー色というか敵の何でもアリ感というか、敵方の説得力が薄れ、そういう相手なら何でもありでいけるな≒ミステリにおける制限が外れてしまっている感が出てしまっていましたね。
まあ、そもそもミステリを謳っているわけではないので、ここにケチをつけるのはいちゃもんかもしれませんが・・・。
行きつ戻りつ、解決法を試行し続ける系の物語としては水準以上のつくりをしていると思いました。
「ああそういう事か!」とか「こういうトンチを使って前回の窮地をクリアしていくのか」的な部分では、いくつか「ほ~っ、そう来たか!?」と思わせられる部分もありましたので、物語として成立していないとまでは言えませんでしたので、そこまで評価を下げる必要もないとは思いました。
ただ、繰り返しになりますが、この新しい気づきや、物語の進捗の起点が「死(に戻り)」なのですよねぇ。
これは仕方のないことなのですが、見るたびに、少しモヤります。
常識的には、絶対にできない、ありえない事ですからね。
キビシイ言い方をしてしまえば、それだけで説得力を失っても仕方のない話なのです。
それを、物語の中で、いかに忘れさせることが出来るか、説得力を持ったものにできるか、という点では少しだけ力不足だったのかもしれません。
また、物語が進むにつれて人物の様々な関連性、繋がり、そしてループではないものの、ある意味での「繰り返し」の演出、エピソードも登場します。
これは、物語としての面白み、深みを増幅させる意味で大きな要素となってきます。
総合力としては「最後が気になる・・・」という意味においては、力のある作品ともいえると思います。
そして、私は潮が消えてしまうエピソードでは、またあの言葉を思い出してしまうのです。
「撃たれる前に撃て・・・」
そう言えば、根津銀次郎はどことなくアンタレスに似ていますな・・・、余談でしたw
作画については、大変きれいな部類であったと思います。
特にキャラクタの描写はシャープで緻密な点も感じられ、好印象でした。
特にミーハーなオタク目線かもしれませんが、女性キャラは魅力的に見えました(私の目線では、です)
声優さんも特に問題は無かったと思います。
私個人としては主人公の網代慎平は某炭治郎の声に聞こえてしまって、なかなかに苦労してしまいましたが、これは相性の問題でしょうw。
音楽も特に気になるところは無かったかなぁ。
私的には後半になってからのアクティブなOPが好きだったかなぁ。
ところで、この後半のOP、そこはかとなくシュタゲを思わせるつくりになっているのでは?というのは私の気のせいでしょうかね。
さて、キャラクターとしては、前述したように、
女性キャラで観ていて楽しいキャラが何人かいました。
楽しいだけではなく、物語を動かす上では、大変重要なポジションを演じていました。
・小船潮:金髪で、大変アクティブなキャラクタでした。物語の起点としても、主人公の相棒的な意味でも、大変重要なキャラクタです。
なんか、勢いのある性格と主人公とのカラミが観ていて好きなキャラでした。
・小船澪:こちらも潮とは別のカラーを持った(外見じゃないよ)性格で、かわいらしく観ていました。
方言交じりのおしゃべりのイントネーションが楽しかったですね。
なんか自然な感じがしました。
声優さんが上手だったのかな?
・南方ひづる(南雲先生):そして、一番のお気に入りはこのキャラクタでした。
独特の言い回しと、クールで皮肉めいた口調が大変気に入ってしまい
ました。
分析力を伴って、物語を進めていく感じも良かったです。
そして、いくつかの秘密も抱えていましたし、ある意味では、本当の意味での今回の物語の起点となった人物の一人かもしれません。
さてと、しばし余談を挟んだ上でですが、終わりが気になる物語としての総合力はある、と評価したこの作品の「終わり」についてです。
最終的にはこのタイプの物語をハッピーエンドで終わらせるためには「この手の終わらせ方」しかないのですかねぇ、と思いました。
ちょっとイヤな言い方をしてしまいましたが、悪気とか悪意があってのものでは無いです。
まるっと清算して大団円となるこの形が一番無難で、現時点では満足度が高めな終わり方であるというのは間違いないと思います。
曰く、{netabare}今回の今作がそうだとは言いませんが、夢オチ的なパターンとか、繰り返し繰り返しアタックしてたどり着いたただ一つの正解とか、やっと見つけた理想のカケラ系・・・。
{/netabare}
もしかすると、このタイプの物語で、この手以外のエンディングを見つけることが出来るとしたら、また、一皮むけた味わいのある作品が出来上がるかもしれませんね。
そして、現時点では満足度の高い終わり方(ある意味では、似たタイプの作品でも選択されてきたようなエンディング)を選択するという事であれば、そのエンディングでのカタルシスの差は、各キャラクタが挑んできた「過程」と「そのキャラの魅力(思い入れ度、感情移入度)」に比例、または等比級数的に高まるのでしょう。
小難しい分析のフリをしてしまいましたが、要は・・・です。
私的には、そういう意味では、この作品は結構な満足度でした。
主人公キャラはフツウな感じだったのですが、周りを固めるサブキャラに魅力を感じるタイプのキャラが多かったので。
そして、最後に各キャラがフツーにお祭りを過ごすシーンを観て、しみじみと「よかったねぇ~」と思いました。
そして、しっかりとメインキャラ二人がここに至る「過程、苦労、努力」が確かにあったことを確認する・・・。
ここに至って、私の満足度と充実度もしっかりと高めさせていただきました。
総合的に見て、終わりが気になる ⇒ 総合的に見て終わり方に満足した。
となったのですw。
適度なボリュームもありますし、物語、キャラクタの造形、作画もしっかりとしており、キャラクタ自身の魅力も感じられる良作だったと思いました。
ただ、作品中に苦手な方は、苦手な表現(主に痛い系、メンタル系)もありますのでご注意くださいませ。
私としては機会がありましたら、観ていただきたい作品だと思いました。