蒼い✨️ さんの感想・評価
2.6
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 2.0
音楽 : 4.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
………。
【概要】
アニメーション制作:スタジオジブリ
2006年7月29日に公開された115分間の劇場版作品。
アーシュラ・K・ル=グウィンの同名の小説の第3巻と、
宮崎駿のよる作品の『シュナの旅』を原案にしている。
監督は、宮崎吾朗。
【あらすじ】
エンラッドの王子のアレンは、賢王と呼ばれる思慮深い父親を刺殺して宝剣を奪い出奔。
旅先の砂漠で狼の群れに襲われているところを、
アースシーの魔法使いで大賢人のハイタカ(ゲド)に助けられる。
ハイタカと旅をするアレンは別行動をとっているときに、剣を持った男たちに襲われている、
顔に火傷の痕のある少女を救けたり、その報復で不意打ちで敗れて奴隷として売られるなど、
波乱万丈の道程で奴隷を輸送する馬車からハイタカによって再び救出される。
アレンがハイタカに連れて行かれた先は村であり、そこの一つの家には、
ハイタカの昔なじみのテナー、そして彼女に育てられているテルーがいて、
その、テルーはアレンは男たちから救けた火傷の少女だった。
その家でアレンはハイタカたち三人と寝食をともにして農作業を手伝う日々。
そこからアレンはいろいろなことを学ぶのだった。
一方で、ハイタカへの復讐を企む長髪の魔法使いがいて、部下である前述の男たちを用いて、
ハイタカの居場所を探っては、良からぬことを企んでいるのだった。
【感想】
何度かTVで観る機会があったのですが、途中で寝てしまったりパスしてた作品。
今回、初めて最後まで観てみました。
ハイファンタジーの金字塔と言われている原作小説を全く知らないですが、
その原作とはかなり内容が違うみたいですね。
原作ではアレンは父殺しをせず、その父親の命令でハイタカに会って導きを得る目的の旅。
アニメでのアレンは、立派な父王や王子の身分などが抑圧だと感じていて、
言葉に出来ない無意識の衝動で父殺しをすることで解放されたかった?
人間の鬱屈・劣等感・心の闇を強調することで、
人間の真実を描いた芸術()でも表現したかったのかもしれません。
しかしながら、キャラクターの特徴がジブリ風味に変えられたりストーリーが違っていたりで、
原作のテーマ性を全く理解できてない、そのアニメ映画に原作者は激オコのようでして、
原作には全く無知な自分としても、殺人衝動を抑えきれないネクラにされたアレンなど、
単に露悪で辛気臭くて登場人物全員に魅力がなくて、つまらないどうでもいい映画でした。
読解力の問題でなくて、原作への敬意を欠く改変と視聴者目線を欠いた表現の問題ですね。
庵野秀明氏がシン・エヴァで碇シンジが再びエヴァに乗るまでの展開、
こじらせ少年が農業生活を経て価値観に変化を生まれる過程は、ゲド戦記の影響があるのかな?
とか、そのへんを考えると、ちょっと面白くもあるのですけどね。
原作によると本来の主役はハイタカでヒロインはテナーなのですが、
脇役王子のアレンに主役を変更して、
原作では幼女のテルーをアレンと年齢が釣り合ったジブリ顔のヒロインに変更してまで、
歌ありきのキャスティングで起用した手嶌 葵(てしま あおい)の演技が本当に棒読みであるとか、
生命を扱うテーマの物語が、父親を殺してしまった罪悪感や良心の呵責がこみあげてくるでもなく、
立ち直り(開き直り)でまっすぐ前を見る強さの話になっていたり、
訪れる死への恐怖に怯える悪役を説教して倒してオシマイ!と安直さが否めず、
言葉のひとつひとつが全く刺さらないのであるとか、
思わせぶりの台詞を羅列したつもりが勧善懲悪っぽくなっているだとか、
監督の宮崎吾朗氏が親の七光りがどうとか一切関係なく本格的に面白さがなにもないですね。
監督の言うことが絶対のジブリで“世界の宮崎”の息子というだけで、
作画演出などの肩書でサポートがあるにせよ、
アニメ制作未経験者に実務的な段階を踏まずにいきなり監督・脚本をやらせるのも酷い。
天才個人の作家性が大事とかで監督を巨匠扱いにして一人に色々背負わせて、
TVシリーズなどで演出家を育てることをあまりやってこなかったアニメ会社が、
いざ次!を考える時期にきて失敗した。その歪(いびつ)さを体現してるかのような作品でした。
レビューを書いてても全然楽しくないですし、観てる間に睡魔と頭痛を併発していまして、
もう二度と見るものか!というのが、正直な今の思いでしたね。
ということで、これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。