「プラネテス - ΠΛΑΝΗΤΕΣ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.7
感想・評価
3121
棚に入れた
15596
ランキング
50
★★★★☆ 4.0 (3121)
物語
4.3
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

宇宙時代になっても変わらない

 原作は未読。
 ジャンルとしては宇宙SFの範疇に入る作品だが、巨大ロボットも異星人も登場せず、舞台も
太陽系内に留まるもので、近い将来に起こり得そうな内容。
 もっとも個人的には宇宙開発のペースは遅くなっている感があり、有人宇宙飛行から
アポロによる月着陸、そしてスペースシャトル辺りまでのスピード感なら、今頃は月に
居住施設があったり、ISSより大規模な宇宙ステーションができて、民間企業による活動などが
始まっていそうなものなのだが。。。
 そう考えると本作のような世界が現実になるのはまだまだ先なのかな。

 テクノーラ社という民間企業を主軸にストーリーが展開されるため、その内容は企業小説、
およびそれらを原作としたドラマや映画などを思わせるような内容で、お仕事もの側面が強い。
 企業内部の暗部的な部分も描かれるが、こういうところは現代の地球上も、近未来の宇宙も
そう変わらないものらしい。
 もっとも原作にしろ、本作にしろ、20年ぐらい前のものゆえか、コンプライアンスを
始めとする倫理道徳観や社会通念などは近未来が舞台なのにいささか古臭く感じられてしまう。

 原作者を同じくする「ヴィンランド・サガ」もそうだったが、本作にも社会的弱者に対する
慈愛のようなものが感じられるが、この辺は原作者の幸村 誠の思いなのかな、という気が。
 ただ、両作品とも安易な解決には至らず、思いは思いとして、現実を冷静に見るリアリスト的
側面も感じられる。

 中心となるのは星野 八郎太(以後、ハチマキと表記)と田名部 愛(以後、タナベと表記)の
二人で、ハチマキは主人公らしからぬ擦れた態度、一方のタナベは現実を知らない頭の中が
お花畑といった感じで、いずれも出だしこそ好感度が低かったのだが、一見醒めた風の
ハチマキの根底に熱いものが感じられたり、タナベの頑なまでのひたむきさが自体を
好転させたり、そしてハチマキとタナベが互いに良い影響を与えていくことで、それぞれが
変わっていくと同時に、二人の関係性が深まっていく過程を見るのも楽しかった。
 この辺の展開はラブコメの王道といったところだが、さすがに二人とも社会人としては
幼すぎで、このキャラ付けなら「宇宙飛行士訓練校の学生あたりにした方が
良かったのでは?」という感も。

 他のキャラもデブリ課の面々を始め、それなりに掘り下げられているキャラが多く、
群像劇までは行かないにもしろ、印象深いキャラが多々。
 メインの二人も含めて、多くのキャラが良い面悪い面の双方が描かれており、その辺が
キャラの生々しさを感じさせる。

 作風的にはシリアス要素とコメディ要素がバランス良く配分されているが、コメディ要素の
中に作品世界の本質があったり、以後のシリアス要素の伏線が入っていたりと結構気が抜けない
感も。
 前半は1話完結のショートストーリーが続くが、ここでゲストキャラだと思われたがキャラが
後半で再登場することも多く、ある意味後編への伏線にもなっているような。
 後半はフォン・ブラウン号の木星往還船開発計画を軸に、ハチマキの迷走・暴走やタナベとの
すれ違い、宇宙防衛戦線の暗躍など、マクロ的要素とミクロ的要素が入り混じった目が離せない
状態が続く。
 ハチマキの問題に関しては、人の繋がりという王道的な考えにより解決をみた感じだが、
宇宙という広大な世界ではよりこのことが意味を持ってくるという点で、良い結論だったかなと。

2022/09/19
2024/09/17 加筆・修正

投稿 : 2024/09/17
閲覧 : 200
サンキュー:

4

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