タマランチ会長 さんの感想・評価
4.4
物語 : 2.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
反抗期の女子中学生の成長物語には不釣り合いな壮大すぎる映像体験
19年の劇場作品ですね。AT-Xで観ました。
中学校の部活で暴れるような女子中学生が、宇宙や生命の起源を思わせるような壮大な体験を経て、悟りを開くみたいな話でした。
あにこれのレビューを見ると、劇場の大画面で観ればその壮大な体験ができる、理解するようなものじゃなくて感じるものだということらしいです。なるほどそうなのだろうと思うのですが、納得はできませんでした。
こういう壮大な映像体験をした過去の作品と比べます。たとえば「2001年宇宙の旅」。最初から最後まで映像体験のような作品でしたが、そのクライマックスで、宇宙空間にスペースポットで漂う主人公か仲間の亡骸を宇宙空間に放り出した後、宇宙の始まり、星の誕生などを体験します。一切のセリフ無し。そのスピード感や恐怖感は当時の映像としてまさに唯一無二で、息をするのも忘れるくらいの迫力でした。オネアミスの翼は、人類初の有人人工衛星の打ち上げに成功し、宇宙空間に一人漂うシロツグが、宇宙から地球を見下ろし、人類の歴史に思いをはせるようなシーンでした。
例に挙げた2作と本作の違いは何なんだろうと思うと、必然性と尺の長さかなあと。2001年もオネアミスも、宇宙空間に一人、浮世の喧騒から切り離されて孤独や不安の中で体験したことで、それだけで共感できるものがありましたが、本作の「海の祭り」が、生命の誕生?宇宙の始まり?世界中の海生生物が一堂に集まるとか、まあ、共感するには分かりにくい印象です。
また、先行する2作は、その映像体験の時間はだいたい10分前後だったと思いますが、本作は長い長い。途中いろいろあったりして30分くらいは続いていた印象です。これ、疲れちゃいますよね。
というわけで、中学生が、不思議な体験をして成長するってのはよいとして、それにあれだけ壮大な体験はいらないだろうなと。富士山にでも登れば事足りることだったように思えるんですね。
冒頭からリアリティ溢れる等身大の中学生の日常描写とか、不思議な少年との出会いからふれあいまで、とても自然で引き込まれたのですが、大風呂敷広げすぎたかなと。いい作品だったとは思うけど、自分にとってはちょっと残念な作品でした。