nyamu さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
祈りで作られたアニメ
作中に出てくるいくつかの謎につい明快な答えは示されない。それ故に雰囲気アニメとも称されたりするかもしれない。けれど原作・シリーズ構成・脚本全話を務めた安倍吉俊さんの中には明快なものかあるのだろうと私には感じられる。
答えの決まっていない謎を散りばめて「さぁ考察してください」というアニメではないと思う。
灰羽としてグリの街に生まれたラッカ。
ラッカ「私たち人間じゃないの?」
レキ「私たちが何者なのかは誰にも分からない」
(中略)
レキ「あなたがあなたのいた世界を思い出せないようにこの世界の誰もあなたを覚えていない。ここはそういう世界」
ラッカ「なんで私なの?私、何の取り柄もない普通の女の子だったはずなのに」
レキ「どうしてだろう。理由は誰も覚えていない」
知らない世界で私たちはラッカとともに微かな不安を抱く。けれど、レキをはじめとした同じ灰羽達に暖かく迎えられこの世界を知っていく。
淡い色を基調とした背景の中で前半はゆっくりとした雰囲気が流れそれは後半への布石となる。
灰羽とは何か、グリの街はどこなのか。おそらく見た人の答えはだいたい一致すると思う。ので、それほど難解な物語ではない。
最終話の13話は物語の締めくくりとしてストーリーもセリフも演出も秀逸。
音楽も素晴らしい。特にAiles Grisesは何度も聞きたくなるような、灰羽連盟の世界観を見事に表した名曲だと思う。
灰羽連盟についてはここやAmazonのレビュー他、各ブログなどで語られており、それを見ればどのような評価をされている作品か分かるはずだ。
私のレビューなど全くそれらに至らないので書く意味もあまりもないのだけれど、2002年という今となっては少々古い作品になるため、もしもこのレビューが掘り起こしとなって誰かの視聴のきっかけになればと思う。
派手さも萌えもない。今風なかわいいキラキラしたキャラでも作画でもない。
けれど、素朴な雰囲気の中で物語が紡がれるこの作品が忘れられない作品になる人はきっといるだろう名作。