「薔薇王の葬列(TVアニメ動画)」

総合得点
62.1
感想・評価
74
棚に入れた
220
ランキング
5074
★★★★☆ 3.1 (74)
物語
3.1
作画
2.8
声優
3.3
音楽
3.1
キャラ
3.1

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 2.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

歴史ものとしての面白さはあるが、終始暗い

 原作は未読。
 英国史はあまり詳しくないが、こうやって薔薇戦争辺りの歴史を知れるのはありがたい。
 まあ原案がウィリアム・シェイクスピアの戯曲ということで史実と異なる部分は多々
あるのだろうが、それでも大きな流れが分かるだけでも嬉しいところ。
 リチャード三世というといわゆる英国史では悪役扱いされる人物で、そういった見方を変える
研究もあったりするが、本作も自身の出生から始まる悲劇の人物として描かれている。
 とは言え、悲劇の人物だろうが、リチャードも王位に魅せられた一人であり、彼も含めた
本作で描かれる王位を巡る権力闘争はかなり陰湿なドロドロとしたもの。
 「まあ権力闘争というのはそういうもの」と言われてしまえばそうなのだろうが、とにかく
醜いの一言に尽きる感じで、リチャードも含めて、王になった、あるいはなろうとした者で、
「王にしたい」」と思えるようなキャラが一人もいなかった。

 歴史もので史実とは異なる性別にすることで、新機軸を打ち出す作品があるが、本作では
主役のリチャード三世を両性具有にするというかなり大胆な設定。
 先に書いたような史実とは異なる性別に設定された作品においては表向きは史実の性別で通し、
本当の性別を秘す作品がよくあるが、本作は男性として振る舞うも、女性として振る舞うも
いずれも本当であり、嘘であるといった複雑なものになっており、ヘンリー六世や
バッキンガム、あるいはアンとの関係性の感情は男女間の恋愛的なものにも、同性愛的な
ものにも思える。
 こうした複雑な関係性に加え、両性具有で生まれたこと自体が母であるセシリーに
代表されるように忌み嫌われるようなものであり、そのために他者や世間にそれを
隠すべきこと自体が重荷になっていたりと、より苦悩が深いものになっている。

 表向きは男として振る舞い、王位にも就くことができたリチャードだが、基本的展開自体は
本作の下敷きになっている「ヘンリー六世』」と「リチャード三世』と同じものであるために
最終的にはバッドエンドは避けられないもの。
 リチャードだけでなく、かなり多くのキャラが悲劇的結末を遂げるが、こういった盛者必衰的
展開は洋の東西を問わないようで、テレビ放映時に同時期に放映された「平家物語」に
通じるものがある。

 王位に執着せず、一人の女性として生きたら幸せだったのか?、と考えてみたりするが、
それはそれで父であるヨーク公リチャードの意を継げなかったと終始苦悩していたように思え、
「どちらに転んでも幸せにはなれないのかな?」という感が。
 結局のところ、幼い頃から生じた苦悩が呪縛となっており、王になってもそれが払拭できず、
結局は死によってようやく解き放たれたように思える。

 割と歴史ものが好きなのでそれなりに楽しめたが、終始悲劇的展開が続き、それに伴う暗さが
漂う作品で、ある程度のカタルシスを求める人には不向きな印象。
 この作品の雰囲気を反映してか、作画カラーは終始暗い感じ。イギリスの天候自体どんより
曇っている印象があるが、そういう点でもこのカラーは合っているのかな。
 あとストーリーはともかく、アニメとしては絵的にはパッとしない。
 この手の歴史スペクタクル作品は合戦シーンなどが見どころの一つだったりするが、
こういった部分は止め絵を多く使用した紙芝居状態で迫力なし。

2022/09/18
2024/10/27 加筆・修正

投稿 : 2024/10/27
閲覧 : 212
サンキュー:

2

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