「ONE PIECE FILM RED(アニメ映画)」

総合得点
70.7
感想・評価
112
棚に入れた
411
ランキング
1505
★★★★☆ 3.8 (112)
物語
3.4
作画
3.9
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ウタのライブで良いじゃん

いつもの敵の陰謀に巻き込まれて一度敗北からの一味がまた集まって各々が幹部や雑魚と戦い勝利するというプロットから離れて、一進一退の一筋縄ではいかない交錯する戦闘、ラストにはクロスカッティング手法を用いた二場面の進行という新しさに挑戦した作品

最初に言っておくとこの作品、内容に関しては“ワンピース”を観に来た自分にとっては思ってたよりは違かったと一回目観た時には正直思った。でも、2回目を観に行ったときには1回目より楽しめたし、なんならもう一回観たくなるくらいには興奮した
そもそもこの映画は初見だと、ウタの能力やシャンクスの不可解な行動、過去の話などの謎が多く、それが後半に明かされるまで結構モヤモヤしながら中盤以降を観ていて、それに加えて賛否両論ある歌唱シーンで中盤は何とか繋いでいるという構成だから、中盤は退屈な人にとっては退屈なんだと思う

ただ、初見でもライブシーンは凄いのでウタのライブとして観ると普通に楽しめたし満足
で、そのいつものワンピースから離れたはいいが、ウタの世界や計画、過去の話、戦闘経過はどれもどこかで見たことある様なツギハギ感があって、更にラスボスは人間では無い伝説の“魔王”というファンタジーとなっていて、それにワンピース的要素やファン向け要素を足して完成された作品という事になっている
そもそも赤髪が出てきて更にはその娘で更にはルフィの幼馴染を扱うということで、結構な過剰宣伝と期待を煽っていたのに、血筋の謎は出たが、出てきたものが拾った子供の壮大な計画をただ止めにきた父親で、ルフィの幼馴染要素もぶっちゃけウタの格上げの為に使われただけで、キーとなる要素とはなっていなかったかな。でも、アニメ連動エピソードを観て4/4巻を読むと良い関係なんだなって思った
足されていたワンピースのファン向けや原作要素も、キャラによって差があってなんだかなぁと言った感じだし、出てくるキャラも便利なキャラを取り敢えず集めました感はあるけど好きな人には好きなんだろうなと。ブルーノは好きになった。新キャラのゴードンさんは良い人で良かった。演技も凄い


メインとなっていたウタの計画。これはただ滅ぼす、消すという訳ではないので劇場一作品で扱うにはかなり難しく、ウタについての説明や過去話が多く、戦闘については各所にてちまちま発生している程度。その地味さをライブで吹き飛ばしているというバランス
ウタの計画は、全て自分が何をしてきたかを知った上で、皆が望んだ事を実現しようとしたと描かれていて、ただ純粋に良い世界を実現しようとした少女であるのは分かり、その苦悩も過去から現在どちらも描かれてはいたが、如何せん能力が強力すぎて、その能力を上から押し付けるだけで実現できるが故のあっさりさに、ウタが実現しようとする世界の重みが感じられなかったのが、この作品の賛否両論を分けた一番の原因だと思う

戦闘シーンに関しては、敵が魔王という人間では無い未知の生物であるしウタの能力もなんでもありすぎって感じで戦闘自体に燃えはしなかったが、前述したクロスカッティング手法を用いた麦わらの一味軍団と赤髪軍団のニ場面での攻撃は良かった
まぁ正直トットムジカ戦は足元を次第に崩していって最後にルフィ&シャンクスの一撃ドゴンではあったけれど、いまいち決着感はなかった

話題になったライブめっちゃ良かった。IMAXで観たが、初っ端の一曲目からPVでよく聞いた曲で掴みもバッチリで、映像もザ・ライブと言った感じの演出が成されていて、最初から引き込まれた
有名なアーティストを起用した劇中歌はマジでどれも良くて、それぞれがシーンに合った曲調でありながら各々の色が感じられて、個人的にFAKE TYPEが好きで期待していたらまんまいつもの曲調で、それがワンピースの世界で流れた事に感動した
あと期待していたのは澤野さんの曲だが、やっぱり凄い。激しい戦闘シーンにかかるいつものVO付き劇伴だけれど、見せ場のシーンにかかる壮大さにやっぱり燃える
ラストのエンドロールの曲も、ウタを表した曲って感じで締めとしても最高な曲調でありながら他の劇中歌に負けてない力強さもあった
これまた話題になった「ウタVo.Ado」実はAdoさんをちゃんと聴いた事は無かったが、凄かった。声の使い分けが凄く、どの曲も違った声を出せていた。まぁ呼吸とか声の力強い感じは似たように聞こえたし歌い方は同じなのかな
ただ、子供のウタの声には名塚さんの変化をとても感じたが故のAdoさんのそのまんま感は気になったかな(エンドロールの時の声と違うから多分別収録なんだろうけどそこまで子供っぽさは無かった)
最後の展開の後のエンドロール、ウタが遺した歌は聴かれ続けるという、歌でみんなを幸せにする歌姫の物語としては最高の締めだった。それに視聴者も納得出来る各楽曲のレベルの高さであり、これからもワンピースの世界でも、こっちの世界でも、聴かれ続けてほしいな

今までとは違う“ワンピース映画”の側面を気にいるかは別として取り入れた意欲作だが、内容の既視感とツギハギ具合は正直求めて無かったのがちょっと残念だったというのが内容に関して

持論だが、“映画”というものは必ずしも内容だけじゃない、見ることで得られる映画体験というのも結構重要だと思う
それは、映画館で体験出来る大迫力の映像や音響、美しい映像描写、アトラクション的体験など、映画を評価するにあたり内容だけではない、"映画館で見るから" "劇場版だからこそ"の部分も評価に加算されるべきだと思っている

ワンピース映画初のIMAX対応で、Dolby cinemaと迷ったけれど、公開遅いしアニメ作品だしという事でIMAXで観たが、4K&IMAX6 trackで堪能する極上のライブシーンだけで満足した!素晴らしい映画体験だった。音が綺麗なDolbyでも良いが、IMAXの大音量で音に包まれる体感は最高だった

今年のコナン映画は「いつものコナン」とは違った、映画としては邪魔になることもあるお約束を排除して普通に面白い作品が出来たと思っているが、ワンピースの場合は「いつものワンピース」の形である程度成功していたが、Z以降のマンネリ化を打破する為にそれを敢えて壊して新しい道を見つけようとする姿勢は応援したいと思う

最後に
{netabare}
別にそんなに年を食ってない自分がこうやってボヤくこと自体が意外だけれど、今作の宣伝方法や劇中歌の上映日より前の公開などは、言うなればネタバレガンガンしてでも話題性を保って上映日を迎えたという印象で、公開前に『ウタカタララバイ』(これは当日だけど)みたいな不穏さ全開の楽曲を公開して、なんとなくストーリーが予想されうる事を良しとする製作側や一般の空気感に置いてけぼりにされた
自分は初見で全て完全な形で出されるものを堪能したい派なので、第2弾PVまでは見たけれど順々に公開されるMVは映画を観るまで一切見なかったし、感想やそういう類の検索は避けていった

そういうSNSを活用した話題性の作り方やネタバレ有りでも知りたいという人を否定するつもりは全く無く、時代の流れをこういう所で改めて感じたというおはなしでした。おわり
{/netabare}

投稿 : 2022/09/14
閲覧 : 136
サンキュー:

6

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