退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
機動戦士Z世代ガンダム
「一般大衆が楽しめるロボットアニメ」へ回帰した新生ガンダム。
過去の遺産を切り売りして食い繋いでるだけの他社は見習って欲しい。
バズ狙いのあざとさも満点だが自然に魅せる技術は流石老舗。
他所なら鼻についてたまらんかったと思う。匂わせもクドい。
物語・キレキレの自虐と皮肉を利かすも筋立ては正統派SF
作画・流石の品質。ちゃんとメカもバトルアクションもカッコいい
声優・史上最高の仮面キャラでは?
楽曲・OPのYOASOBIはちゃんとロボアニメらしくて最高
キャラ・今のキャラ消費ニーズにも応える柔軟さは凄い
00「蝋燭みたいでキレイだね」
老害に配慮したジャブ。こんなの今更ガンダムでやるなよってガッカリ。
01「宜しくね、花婿さん。」
見せ場を詰め込みながらもキレイにオチをつけた初回。新世代に相応しい名台詞。
02「自分で決めたことくらい責任持って守りなさいよ!大人なんでしょッ!」
実に痛快。アニメってこうでなくては。ツッコミは野暮でしかない。
03「だったら私もスレッタの力ってコトでいいよね」
実家の太さも才能。盤外戦も戦術。小手先の思惑を打破する、重なる想い。
04「誰の想いも背負ってねえ奴がッ邪魔してんじゃねえッッ!」
密度の高い脚本。タイトルの掛詞。チュチュのヘアスタイルの意味。
05「エアリアルは大切な友達で、家族なんです」
エランくんはノーテンキでお花畑なスレッタにイラついてしょうがないでしょうね。
06「そうか…そうだったのか」
もうヒント出た。そしてお約束の胸糞。ロボットアニメでもしっかり比喩が機能してる。
07「ごめんねぇ…とうとうバレちゃったぁ(テヘペロ)」
イキリお嬢の船出。しかしガンダムincって…。スレッタのフガッが最高。
08「されるように頑張ったんだよ」
ホームレスグエルくんの運命やいかに。やはりマシな親が一人もいない。
09「居たんだ…」
やり方を間違ってもリカバリできる社会ってほうがいいですよね。
10「スレッタ、忘れった(迫真)」
ようやく周囲が動き出したが一行は未だ蚊帳の外。がんばれボブ。
11「わたし、花婿ですから」
もうここでぶっちゃけ展開。早かったな。そしてボブの見せ場はまだお預け。
12
「なんで…笑ってるの…」
はいはいなるほど。分割で時間空くのでヒキは大事。
話題性こそが絶対的KPIなこの時勢にショッキングな締めはマーケティング()的には最適解。11話で百合百合てえてえとホンワカしてた層を無慈悲に奈落へと突き落とし、古典的だが効果的な鉄板演出上げて落とす芸により若者は「鬱展開!神!」とキャッキャとハシャぎまわり、従来のファンでも「これって戦争なのよね」とか言っちゃうような本質()語りポエマーを量産、訓練された富野信者においては「ククク…ヌルいわ、これなら〇〇の方が〜」と老害マウントでイキリ散らすべくSNSでわかってる俺アピールに奔走する。結果抜群の話題性を発揮したままで第一部の幕を閉じるという完全勝利。時代に完全対応した老舗の底力を見せつけられました。ものすごい完成度。
親の庇護下の安全圏で戦争ごっこや会社ごっこしてぬくぬく生きてきた学生たちに冷酷な状況を突きつけて散々ビビらせといてのアレ。初遭遇の戦禍に死にたくないと逃げ回るボブくん。パニックに陥るのみの仲間たち。足がすくんで動けないスレッタは優しい(腹黒い)お母様によるアサーティブな激励(詭弁)により奮起する。能登さん凄い。アレどっちにも聞こえるんだよ。
「コレジャナイ!」「これはこれで」と物議を醸し満を持しての最終回。
ハンドル握ったら性格変わる、みたいに環境は各個人の本性を暴き出す。学校生活では露にならないので当たり前だが振り返って考えればこれまでスレッタの倫理観や死生観には一切触れられてきていない。ようやく打ち解けてきたと思ったところでとりまく状況は一変し、ミオリネはこれまで培ってきた信念とは裏腹に、否が応でも思い知らされる。スレッタは魔女だったと。なんやかんやでようやく心が通じ合えたと思った相手がモンスターだった。最後の最後、数秒だけでこれまでの全てがひっくり返される。いやーこれがSFの醍醐味ですよね。スレミオてえてえは後半まで引っ張るのがこの構成ならセオリーでしょう。11話は落とす角度をつけるための演出とサービスとしてのアメでしょうか。実に上手い。
考えて備えてたつもりになってた平和ボケした民衆が有事にあっさり翻弄蹂躙される様子も世界大戦勃発が危惧される今の世相を反映しているのもこれまた凄い。ほらほら備えてないと危ないよってな増税啓蒙アニメかな()。これまでのガンダムなら初回で済ませる危機的状況との遭遇までを1クールかけてじっくり彼らの日常を映し出しては未曾有の危機に対し「え?マジで?」と状況を即座に飲み込めないディティールまでを描き出す本作はまごうことなき戦争アニメであった。こんな前代未聞の構成は大手のビッグタイトルでもかなりの賭けだったと思う。
難癖つけるなら
地球陣営小娘パイロット2人の小物感。踏み台展開が透けて見える。
男連中もまだまだ見せ場は作れるがボブはいつまで引っ張るのか。
ボブのお父さんの無理やり感は流石にいただけない。
ロボの見せ場作りとしてもロングバレルにする意図が不明。カッコよければよかろうなのだ。
模型界隈では平手パーツの販促アニメとも。明け透けで「あーはいはい」てな嫌味は感じる。
SFのギミック的な面白さはない。まあガンダムに求めるものでもないが。
期待感を維持したままで満足度も高めな全方位で高水準な作品。二期はよ。