蒼い✨️ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ああ人生に涙あり。
【概要】
アニメーション制作:C2C
2021年7月7日 - 9月22日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、「小説家になろう」に連載していた(現在は削除済)web小説であり、
現在はアルファポリス社から刊行されている、ライトノベル作品。
著者は、あずみ圭。原作イラストは、マツモトミツアキが担当。
アルファポリスの公式Web漫画として、
木野コトラの作画によるコミカライズ版が連載中。
アニメ版の監督は、石平信司。
【あらすじ】
中津原高校二年生の深澄 真(みすみ まこと)は、美形揃いの弓道部の副部長で、
自身は十人並の凡庸な顔立ちであることをネタにされていた。
どころか、両親や姉妹も顔がいいのに家族で一人だけ平凡な容姿。
それが、ある日学校から帰宅して自室でくつろいでいると、
まえぶれもなく唐突に異世界召喚。召喚したのは異世界の女神ではあるが、
その前に一旦は地球の神の一柱である月読命からの説明と詫びを真は受けた。
真の両親はもともとは異世界人で、世界を超えて地球に来る際の両親と女神との間の契約で、
子どもたちの一人を捧げるルールがあったらしく、
面談で月読命に呼ばれたのが真だったらしい。
断れば姉か妹が異世界行きということで、自分が行くことを真は伝えたのだった。
その決意を受けて、できる限りの力を月読命は真に与えた。
その次に異世界の女神のところに転移させられたのだが、
その女神は身勝手で我儘で性悪。美男美女以外には酷薄であり、
女神の趣味で美形種族に調整されたヒューマンが、魔族らとの争いで大ピンチなので、
契約の子供を勇者としてヒューマンの手伝いをさせようとしたのだが、
女神の美的感覚では真はキモくて汚いらしく、
保険として美男美女の勇者を二人選んで攫っておいたので、真は用無
自分で呼び出しておきながら、もとの地球に真を還すでもなく、
異世界の隅っこで大人しくオークやゴブリンと暮らしてなさいと、
ヒューマン以外の種族とは会話ができる加護のみ与えて、
女神が寵愛するヒューマンとは関われないように会話ができない状態で、
戦闘向きの加護を与えず、異世界の最果てにゴミのように真を捨てた女神なのだった。
その後、月読命から聞かされた話では、真は元々が異世界人の肉体で、
精霊や神々の加護の届かない地球で生まれつき脆弱な身を鍛練をし続けて、
更には月読命が最大限の加護を今回与えているので、
女神の加護が無くても精霊や神々の加護の届く異世界では真は超人だという。
女神に勝手に呼び出されて女神に勇者の使命を剥奪されて捨てられた真に対して、
月読命は、この世界で自由に生きて良い許可を与えるのだった。
【感想】
小説は読んでませんが、アルファポリスの漫画版はだいたい内容を把握しています。
主人公無双+魔物と街づくりということで転スラと比較したり、
更にはパクリ扱いする心無い人もいますが、なろうでの開始はこちらが1年早い。
見た目は冴えない主人公に、押しかけ女房たちといった構図が古き良きサンデー漫画っぽい。
特別にも、動作面では秀でてるわけではないですが、
原作の映像化という一点では作画崩れもなく、制作会社のC2Cは及第点だとは思います。
ただ、感情表現やアクションといった演出面では妙に古臭いと感じました。
漫画版からイメージを膨らませて、わざとやってるのでしょうけどね。
舞台は西洋風のファンタジー世界ですが、妙に日本の時代劇を意識したようなBGMであったり、
特殊EDが水戸黄門だったりとで狙っていますが、
それが面白いかと言うと人を選ぶでしょうか?
個人的にはアニメを見て物足りなさを多分に感じたのですが、その理由は明白。
シリーズ構成の猪原健太氏は、原作等の長いストーリーを枝打ちして、
1クールにまとめる能力に長けた、なろう向けの脚本家なのですが、
その切り落とされた部分がマズい。
漫画版の第27話にありますが、主人公の協力者となる大商人のパトリック=レンブラント。
一見は人格者の彼には人を欺き陥れて数多くの人間の心と生命を踏みにじってきた過去があり、
成り上がる過程で大商家に取り入り、その主人を謀殺して傷心の娘を籠絡して、
先代のあとを継いで商会の代表となった娘と婚約。
その娘も盗賊に襲われたように装って商隊ごと皆殺し。
予め商会の人間を手なづけておいて、婚約者を失った悲劇の男を演じて商会乗っ取り完了。
更にはレンブラントの裏の顔を知る本命の彼女を計画通りに妻に迎える。
その殺された商会の娘の元恋人が彼自身もレンブラントの被害者であり第7話冒頭の呪術師でもある。
その彼の元恋人の無念を晴らすべくレンブラントの悪事への因果応報と言える人生を賭けた復讐劇。
真らの手によって呪術師による重度の呪いで苦しんでいるレンブラントの妻子を救うのですが、
アニメでは呪術師にスポットライトが当てられずに回想シーンがカットで、
何があったのか具体的に語られずに、レンブラント氏にも裏の顔があるかもしれない!
とだけ軽く触れられて、この話は終了。
その他にも主人公・真が異世界転移前の弓道場の師匠らとの話であるとか、
女神に攫われて勇者となった、音無 響(おとなし ひびき)と岩橋 智樹(いわはし ともき)
の物語がアニメでは省かれていたり、真視点以外を伐採したアニメの構成に不満なのですよね。
第2期の製作が発表済であり、1期で省かれた多くのエピソードが用いられるのなら良いのですが、
そうでなければ、このアニメは失敗作だと思うのですよね。
女勇者・音無響の仲間である「銀髪鬼」の二つ名を持つ女傭兵ナバールと、
魔将イオとの命がけの一騎打ち。これがアニメで見られなかった不満がかなり大きいです。
何もかも2期でやるのか次第ということ、疑問や不満が解消されると良いなということで、
評価は先送りにせざるをえない部分が多いというのが、このアニメを見て感じたことでした。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。