蒼い✨️ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
心が温かくなる。
【概要】
アニメーション制作:BN Pictures
2021年12月3日に公開された109分間の劇場版アニメ。
監督は、綿田慎也。総監督は、水島精二。
【あらすじ】
福島県いわき市のヘアサロンの娘の夏凪日羽(なつなぎ ひわ)は、
学校の帰り道にミニストップで友人らと進学や就職について語る中で、
ひとりだけ高校卒業後の進路が白紙だった。
面談を来週に控えて、気まずそうに友人から視線をそらして目に入ったコンビニのポスター。
それは、姉の真理がフラダンスのプロダンサーとして仕事をしていた、
「スパリゾートハワイアンズ」のものであり、そのポスターを目にして、
東日本大震災以前の、自慢の姉と一緒だった日々を思い出す。
姉に教わってダンスの真似事をして、両親に見守られていて笑顔だった頃の気持ち。
それを思い出した日羽は、姉の後を追うようにしてフラガールの新人採用試験に応募する。
日羽はフラダンスの経験は真似事だけの素人同然だったが合格。
日羽は、同期で採用された鎌倉環奈、滝川蘭子、オハナ・カアイフエ、白沢しおんと一緒に、
五人一組のチームでフラガールのレッスンを受けて、やがて舞台に立つことになる。
だが、日羽はダンスの基礎すらできてない素人なので、ちっともリズムとれないし表情が硬い。
経験者である他の4人も気持ちがバラバラで、チームとしては全然だめだった。
失敗して恥をかきながらも5人は、先輩や職員らに支えられながら技術面や精神面で成長して、
チームとしてまとまっていくのだった。
【感想】
第一印象としては、年齢は高卒一年目と若干高めながらもニチアサ的空気の絵柄の作品。
キャラクターデザインが、やぐちひろこさん。
↑平日夕方ですが、女児向けアニメの「アイカツ!」のスタッフが結構入ってると知って納得。
ちなみに、私のお気に入りのキャラクターはハワイからやってきた女の子のオハナちゃんです。
スパリゾートでショーを見せるフラガールのアニメで何を伝えたかったのかというと、
被災3県(岩手県・宮城県・福島県)を舞台とした、地元民が見て元気になれる話のひとつ。
震災の傷を心に負った人間が、亡くなった人たちや復興の歴史を胸に刻みながら、
当たり前の普通の日常を取り戻して、しっかりと明日へ未来へ向かって進んでいる。
未熟で頼りなくて失敗だらけでも、それを受け入れてくれる人々の温かい心。
それに甘えず、努力を重ねて成長していく日羽たちの姿に応援したくなる気持ちを駆り立てられる。
台詞回しも展開もプレイン(飾り気のない,質素な,地味な,あっさりした味の)そのもので、
目新しいことが何一つない挫折と克服と青春の話。
序盤は日羽が不器用で未熟すぎて可哀想になるぐらい彼女が涙目の失敗だらけで、
それに共感性羞恥が刺激されて、きつい部分がありますけどね。
でも、その飾り気の無い言葉や物語だからこそ、シンプルに心に染み通ったかな。
そこのあたりは、日常ものを得意としている吉田玲子脚本の持ち味が生きていますね。
それとハワイアンズのフラガールの、お仕事アニメとしての話がメインで、
震災の話は地元・福島が頑張ってきたことなど大事なことを伝えながらも、
それを前に出しすぎない。過去の延長線上に今を懸命に生きる人間が主役であり、
作品のメッセージ性にキャラが押しつぶされない塩梅。
だからこそ、ダンスが上手くなりたい、お客さんを笑顔にしたい、
気持ちを知ることで、一緒に踊る仲間とohana(家族)同様に仲良くなりたい、
といったキャラの心やストーリーがスッと心に入ってきて、感情移入が出来て泣ける。
映画としては全然売れなかったですが、若いうちの心の輝きがぎゅっと凝縮されていて、
個人的には「たまゆら」にも劣らない、心が温かくなる良い作品だと思いましたよ。
ただ、フラガール5人娘のうち、日羽以外のエピソードが薄いかもしれないですので、
そこを気にする人は気にするかもしれないと思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。