あすは さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「幸せ」系3大アニメのひとつ
物語の設定から、もうかなしいことにしかならないとしか思えないんですが、つい見てしまいました。
そういうの結構苦手なんですよねぇ、涙もろくってw
もう最初から(1話のCパート)、「フラグ」についてメタ気味に語ってますが、まさにこの「フラグ」だらけの作品です。こういうお話ですよっていう自己紹介だったことに、あとから気づきます。
たとえ平穏な日常の描写であっても、絶えずなんとなく不穏な音が流れ続けているのですが、クトリの(後半になればなるほど)感情豊かな表情のおかげで、見続けられます。
クトリのヒロイン力(といっていいのか? いやいわゆる「ヒロイン」とは違う気がする)がとにかく圧倒的ですね。
他の登場人物たちも、けっして背景ではなく、ちゃんと生きてる存在になっているのだけれども、もうクトリの魅力全振りです。
記憶の配分を髪の色で表現しているのは、実にいいですね。アニメってやっぱり一番大事なのは絵だと思うし、その絵で心の状態を表現しているのは見事。
すべての事象は、最終回に向けて積み上げられていきます。1本の川が海に向かって流れ、河口で一気に開放される感じ。あちこちとっちらかることがないように、あくまで本流メインで、支流は数少なく、注意深く除かれているような。
クトリが思う「だからきっと今の私は、誰が何と言おうと世界一幸せな女の子だ」。
幸せってなんだろうと、思わざるを得ないですね。これほど強烈に、この疑問を叩きつけてくる作品は、そうそうないと思います。わざわざ画面でクトリのこれまでの楽しかった、つらかった数々の思い出の映像を流す必要もないかも。見てる人の多くは、自分の中でそういう映像が流れていたはず。
死ぬことが「バッドエンド」なら、地球のすべての生命はバッドエンドですよね。
子どもが死ぬと、若いのに。。。と嘆きますが、そうなのかな? 生きた時間の長さも、多分「幸せ」の大きさとは関係ないんじゃないかな。
だからといって、生きた長さよりも質、なんてことでもないと思う。というか、そんなこと軽々しく口にできない。結局それは他の人との比較でしかないし。。。(ちなみにこの疑問に正解なんてもちろんありませんw)
でも、クトリは自ら幸せだと言えたけれど、ヴィレムは幸せではないですよね、多分。。。下手すると、さらなる後悔の種になってしまうおそれすらある。
「ハッピーシュガーライフ」のしおちゃんは、やっぱりあとに残されたけど、その違いに愕然とする。。。
戦う女の子&記憶系といえば「ガンスリンガーガール」を思い出しますが、あちらの宗教的ともいえるような深淵の最終回ともまた全然違っていて、なんだかいろいろと考えてしまいます。どれがいい悪いという話じゃなくって。人をさらなる思索に導く作品ということでいえば、どれも上級品です。
この3作品をもって、「幸せ」系3大アニメと言いたいw
あと最後に、「スカボローフェア」使うのは卑怯としかいいようがないね。
ビッテンフェルトみたく、思わず「卑劣な!」と叫びたくなるわw