てとてと さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
箱庭セカイ系ラブロマンス?設定は面白いが、アニメ史上稀に見る不倫系ヒロインがきつい
井上喜久子ボイスの27歳人妻魔法少女が、上位世界?からの管理者として街を管理?
街は管理者が創造する世界で、管理者が代替わりすれば消滅してしまう。
(箱庭?ゼーガペインの舞浜サーバーとか、グリッドマンのアカネちゃん的な?よくわからんけど)
ヒロインは魔法少女の適齢過ぎていて後進に譲らねばならないが、母から継いだ街を愛するヒロインは拒否する。
魔法少女はキスすると資格失う為、夫とのキスを拒み続け、更に若い男と惹かれ合っていく。
若い彼氏との不倫愛や、夫、後進の若い魔法少女との確執や交流ドラマな感じのストーリー。
【良い点】
設定がユニーク。人妻魔法少女(27歳)など類を見ない。井上喜久子氏はまり役。
ラブコメとしては、人妻と若い男の不倫という題材は良くも悪くも珍しかった。
作風は「はぴねす!」や「ウインド ア ブレス オブ ハート」などの00年代の恋愛ゲーム原作アニメの雰囲気と少し似ている。
日常系と恋愛劇に魔法などのファンタジー要素混ぜている感じ。
(多分)箱庭セカイ系?のファンタジー要素を終盤回収しており、最後まで見ればストーリーは良く出来ている。
モデルとなった山口県萩市の情緒を活かしており、御当地アニメとしては中々。
ヒロインの嬉子(うれしこ)よりも、22歳新人編集者の彼氏と、12歳の次期管理者さやかちゃんのドラマが良かった。
未熟な新人編集者な巽(たつみ)が嬉子の夫である保との修羅場や、作家と編集者の真剣な関係で成長したり。
吉田松陰を引き合いに出し、後進に志を託すテーマも何気に良い。
巽は倫理的な是非はともかく、男としては気骨があった。
さやかちゃんはクール系小学生で可愛い。巽に恋して、魔法で大人(高校生?)になり切ないアプローチかける、可愛い。
さやか(クルージェ)は転校生で孤立していたが、最初イジワルな男子や友好的な女子と少しずつ学園生活で変わっていく。
嬉子とさやかの管理者権限を巡る確執で小競り合い続くが、その過程で街や愛する人との関係を互いに気持ちの整理付けていく流れは悪くなかった。
後半(9話くらい)~終盤のストーリーは中々。
魔法世界(上位世界?)の幹部たちからルール違反(適齢期過ぎても後進に譲らない)を糾弾されるが、彼らも嬉子を思う親心あり、これまでの嬉子の独りよがりで頑なな在り方を気付かせ反省させている。
ヒロインダメじゃん…という疑念をきちんと叱ってくれるため、最後まで視聴すれば納得感はある。
主題歌は良い。EDは井上喜久子氏。
【悪い点】
不倫系ヒロインが許容しがたい。
キスできないのはやむを得ぬ事情だけど、終始説明不足かつ身勝手。夫が可哀そう。
マイナー故かあまり話題にならないけれど、自分の知る限り恋愛物ヒロインの中でも非常に悪印象。
母から継いだ街が好き云々も、街を愛している描写や掘り下げが乏しく、行動原理に説得力が薄い。
終盤も不倫相手だけ逃がす行動、他の街や人々は消えてもいいんかいと。
設定や世界観の説明不足。
魔法少女はグリッドマンのアカネくん的な存在?と朧げに理解しているけれど、実際どうなのか?
説明不足なまま嬉子の我儘や不倫が続き辟易。
この設定活かしたドラマチック展開は終盤中々ではあるが、遅いため、唐突感。
ここら辺は構成が拙い。
さやか視点のドラマはまずまずだが、序盤イジワルした男子と終盤幼いラブコメするのが唐突。
メインが嬉子視点で、より魅力的なさやかちゃんの陰が薄かった。
他論客の方が指摘される通り、さやか主人公の方が無難だった気がするけれど、企画条件上仕方がないか。
総じて終盤突入するまでが退屈かつ不愉快。
終盤は終盤で夫が不憫でハッピーエンドとは思えず。
通してみれば一定の完成度はあるものの、悪印象を払拭するには至らず。
変身バンクがダサい。
キャラデザは悪くないが良くもない。
【総合評価】2~3点
オンリーワンな持ち味はあるものの、難点が多い。
この世界観のまま、さやかちゃん一人に絞っていればセカイ系の感動作になり得たような。
評価はとても悪いか迷うところ、魅力もあるので「悪い」