退会済のユーザー さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
【更新】SF・科学技術的要素・複雑な背景・広い世界観を求める人になら...
2020年10月~。原作 佐島勤(ラノベ)。制作 マッドハウス。全13話。シリーズ全話視聴済。原作未読。
【まえがき】
魔法をファンタジーでは無く、科学的テクノロジーとする本作シリーズはSFとされている。
しかしエンタメ、物語として楽しむには如何かと...。作風やキャラ表現は少し古目だが、描写やスピード感、エフェクトを含めた表現力は悪くない。複雑な背景を読み取り、テクノロジーを理解できる方には向いていると思う。再視聴した感想を書きます。
【本作の概要・本編について】
2095年10月31日。未観測の戦略級魔法により東アジアの軍事都市が消滅。灼熱のハロウィンと呼ばれるこの日、世界は新たな戦略級魔法師の登場に震撼した。それは、世界を巻き込み、人間主義と魔法師との対立の火種となる事件とされるのだった。
魔法師は政治、軍事など多方面に強い影響力を持つ師族と呼ばれる集団に属するが、十師族をはじめとするナンバーズと呼ばれるエリート家系とそれ以外とでは魔法師にも格差が生じている。
人間が戦闘兵器として開発し、その開発組織は様々な国家機関だが、魔法師の力は今や国家をも凌駕し、コントロールできる程強大とったが故、師族間での優劣をも生み出し、一部の魔法師による覇権争い、魔法力で劣る国や人間が、魔法師を世界から排除して、魔法の影響の無い世界で復権を目論む組織の暗躍し、魔法の賛否が問われる世界が描かれる。
本作では、魔法の科学的要素に加え、異能(スピリチュアル)的能力と存在がキーとして描かれる。魔法師としては達也、深雪等に続き、古式魔法の使い手 幹比古、九重八雲の描写も多く描かれる。
作者へのインタビュー記事、説明内容等から作劇で重要視したとされる事項を要約すると次のようになる。
{netabare}
●主役が最強で負けない=不死の設定が全ての問題を解決する手段と設定され、それを崩さない事が第一としている。
●最強を維持し容易に戦闘を熟すには、感情が薄い必要がある。だが人間味も必要。恋愛感情では不自然なので兄妹愛とした。
●あの話はどうなったんだろう?と疑問を抱かれぬ様、整合性を追求した。
●高校生を主役とし時系列の整合を取るため、日常、授業、イベント、卒業、入学等の描写が必要で、必然的にキャラが増える。教師は作劇の手間を省くため描かない。
●国家、様々な団体、組織を描くのでキャラは更に増加し、キャラ毎の設定も不整合が生じないよう詳細となった。
これらの説明は本作内容を詳細に記しているwiki等の内容からも、その情報量の膨大さから納得出来る。特に登場キャラ及び設定を把握するのに大変な時間・労力を必要とする程だ。
{/netabare}
結果的に、魔法や能力、技術等の全ての描写の前後で毎回説明・解説される為、以外感やワクワク感が薄れて、クライマックスシーンなのにのめり込めない。キャラは個性が有るのに、それも理由が説明されてしまうため、想像力を働かせる必要が無くなってしまう。
原作を無視しては作品が成立しないので、無理かとは思うが...。もし、この物語の結末迄の間に、四葉真夜が達也と深雪の真の味方で、四葉家を中心とした魔法師家系が、世界を清らかで平和に導く導線として活躍してくれたら...とても素晴らしい物語となるだろう...。
{netabare}
1話。
Xmasシーズン。USNA(アメリカと呼称される)で異変が発生していた。スターズ(USNA軍 魔法師部隊)の脱走兵による連続殺人事件が多発する。
同時期の日本。北山 雫がアメリカに留学するため、送迎会が行われていた。魔法師の渡航は許可を得るのが難しいが、交換留学生という名目で可能となった。期間は三ヶ月限定。
スターズ総隊長 アンジェリーナ・クドウ・シールズ(シリウスの名を冠する世界屈指の戦略級魔法師。少佐。通称リーナ。16歳。美少女。必要に応じ大人の姿に変身できる)は、灼熱のハロウィンの容疑者を探り出す任務とし、交換留学生として日本を訪れ一校に編入する。その事は、四葉真夜により、司波達也、深雪に事前に知らされていた。
達也、深雪は同級生、九重八雲を伴い、初詣に出向いた際、ヘンテコな装いのリーナと接触する。帰宅したリーナは同居する側近に、装いが「アニメやコミックに出てくるオタク系」だと指摘されるシーンはコミカルで和める。
翌日、リーナは一高への留学生として(レオ曰く、魔法少女)達也達に紹介される。
一科生となったリーナは、魔法実技の授業で深雪と対戦する。何度やっても勝てないが、その実力と可愛らしさから注目を集める。
達也は真夜からの事前情報と照らして、リーナが、スターズ総隊長 アンジー・シリウスだと見抜くが、その目的は不明...。
リーナは、達也の実力を試そうと挑むが、あっさり躱(かわ)され、挙句、自分からスターズ関係者だとバラしてしまうおっちょこちょいさを露呈する。
更に達也にリーナの正体に興味が無いと言われ膨れる描写は可愛い。
しかし、リーナに本国から新たな知らせと命令が下る...脱走兵が日本に渡航したため、その抹殺を命ぜられる。
2話。
達也達は、国内で発生する不可解な事件(吸血鬼事件と呼ばれる)を調べた結果、アメリカでも同様の事件が発生していると知らされる。
脱走兵を追跡、戦闘するスターズとリーナだが、魔法が通じず取り逃す。
偶然通りかかったレオは、脱走兵の一人(白覆面の女)に倒され傷つけられて入院するはめに...。
見舞いに訪れた達也達に同行していた幹比古は、これはパラサイト(寄生物)だと説明する。
七草、十文字もこの事件を調べており、被害者が七草家の人間を含め、全員が魔法師である事から、魔法師を狙った事件として七草、十文字家は共闘する約束を結ぶ。
3話。
事件の犯人を、独自に追跡するエリカと幹比古は、犯人と交戦中のリーナ達を見つけ、戦闘となるが、押し負けそうになる寸前、達也の介入により犯人、リーナには逃げられるが、エリカと幹比古は無事だった。
達也は七草、十文字らの調査に協力することとなり、彼らの情報から犯人は複数存在すると判明する。
独自の調査により、犯人の行方を突き止めた達也は、又も犯人とリーナの交戦に介入。
犯人は逃げるが、達也はリーナの正体を暴くことを優先する。
4話。
達也はリーナの攻撃を退け、リーナ=スターズ総隊長 アンジー・シリウスだと明らかにする。リーナは正体を知られた以上、達也を生かしておけないとするが...。
深雪と九重八雲の介入により、達也とリーナの交戦は一時的に保留される。
達也はリーナと勝負し、勝ったら全ての情報を明かすことを条件に戦おうとするが、深雪が、その戦いは自分にやらせて欲しいと申し出る。
リーナをライバルと認めつつも、達也に殺意を向けた事を許すことは出来ないし、リーナは自らをシリウスの名を冠する世界最強の戦略級魔法師と自負し、深雪との勝負を受ける。
九重八雲が審判となり、相手を死に至らしめない事を条件にした最強の女同士の戦いが始まる。
達也は、リーナの実力は侮れないと考え、深雪に己の力を分け与える。
戦いは、お互い最大級の魔法のぶつけ合いとなり、勝負の結果を見抜いた達也が割って入り、リーナ、深雪は無傷で済んだ。
リーナは負けを認め情報を話す。
しかしリーナは達也と深雪の正体と本当の実力を知らずにいたのだった...。
アメリカ留学中の雫は、達也に頼まれ事件の情報を集めた結果、協力者から事件の真相を聞き出す。
それは、USNA軍が行ったブラックホール実験により、異空間からがパラサイトを呼び込んでしまった事によるものと判明する。
達也は、七草、十文字ら犯人の追跡、捕獲、に関わる者を集め、パラサイトが元USNA軍所属の脱走した魔法師で、2~10名になると説明するが、対応は夫々に任せるとして退席してしまう。
それは、スターズの関わりとリーナの存在を気にかけての事だった。
深雪は、達也が友人であるレオや、一時的とはいえ同級生となったリーナを無意識に思いやる達也の感情の変化を喜ぶのだった。
5話。
雫は自分が掴んだ情報を達也、深雪に伝えた。パラサイト発生の原因を伝える。
ついにパラサイトは、一高内に侵入する。
追跡チームは、パラサイトがリーナと接触している為、リーナも敵と誤ってしまう。
交戦となる中、ミア(ミカエラ・ホンゴウ。USNA国防軍所属研究員)が白覆面のパラサイトだと知らされる。
リーナの誤解は解け、深雪の魔法で捕獲したかに見えたが、ミアの身体から抜け出したパラサイト本体の攻撃に晒され取り逃してしまう...。
6話。
USNAのニュース番組で、今回のパラサイト騒動が報道された。報道は軍による実験の失敗がデーモン(パラサイト)を呼び出し、根本的な原因として、軍が魔法師を統制しきれなかった事によると解説し、魔法という、いつ暴走するか判らない超自然的な力を利用することが、本当に国益に適うかどうか疑問が持たれるとした。
その意図は魔法師排斥が本音だと、達也は理解した。
リーナの話では、秘匿されるべき軍事情報がリークされたのは、混乱を面白がる謎の組織
七賢人によると説明される。
そして、バレンタインのイベント描写となる。(詳細割愛)
7話。
リーナがスターズ総隊長シリウスとして、達也に敗れた事の責任が問われ、面目躍如の名目で、パラサイト追跡・排除を中断し、灼熱のハロウィンの術者 達也の確保、不可能なら抹殺の命令が下る。
そして、ほのかの達也への恋心、思念を媒介とし、パラサイトが人間以外のロボットにも寄生することが判明する。
リーナは部隊を率いて、達也確保作戦を実行する。その際、戦略級魔法兵器ブリオネイクを使い達也に挑むが...。圧倒する達也に「軍を辞めるべき。優しすぎる」と指摘され、意識を絶たれる。その間、達也はバックアップ部隊全てを排除し、リーナだけを生かしたのだった。
そして、パラサイトに興味を抱き捕獲を企む別部隊が居ることが判明する...。国防軍 防諜三課を操る七草家だった。
8話。
再度、パラサイトとは何かをロボット(以下 ピクシー)に寄生したパラサイトと達也の会話、行動で明かされる。そして敵対するパラサイト達が、ピクシーを狙って攻撃してくるが、ピクシーの謎の覚醒で敵を退ける...。
9話。
達也ら、ピクシーの覚醒の様子をモニターしていた国防軍 藤林(九島の姪。軍組織での達也の先輩)と九島 烈(国防軍防諜第九課、国防陸軍を操る)はパラサイトがロボットにも寄生することでロボットの使い道を思考し、パラサイト捕獲を画策する。
捕獲したパラサイトをエリカを通じて、警察組織に引き渡そうと待機していたところ、偽の警官が現れる。素早く見抜いたエリカ。レオ、幹比古と共に応戦するが、七草家の部隊に横取りされてしまう。
その内の一体が、元USNA軍魔法師である事を、四葉家系 配下 黒羽によってUSNA国防軍 大佐(四葉家と密約を交わしている)にリークされ、リーナがその抹殺を命ぜられ実行する。
その模様を確認していた達也に、七賢人を名乗る者が接触してくる。
アメリカで猛威を振るい、世界に飛び火しつつある魔法師排斥運動は、七賢人の一人 反魔法団体組織 ブランシュの総帥によるものだとリークし七賢人とは何かについても語る。
そして、ブランシュが魔法の無い世界で覇権を握る事を企んでいると教える。
そして、彼はパラサイトの駆逐に手を貸すとも。日本に残る全てのパラサイトを、翌日、一高の裏手に全て集めるので殲滅して欲しいと。それはリーナにも伝えてあるので共闘するかはご自由にとも。
10話。
七賢人の情報通り、パラサイトが集結し始める中、リーナも参戦するが、リーナは達也達に敗北したことで自暴自棄となり、パラサイト本体の殲滅ではなく、寄生された人間を倒してしまう。それではパラサイト本体は逃げてしまい、事件の解決にはならない事を承知しているが殺戮を止めない...。達也達の説得に応じず暴走するリーナ...。
更に、九島にパラサイト確保を命じられた国防陸軍の特殊部隊も参戦し混乱を極める。
残ったパラサイトは、ピクシーに宿ったパラサイト奪取を狙う巨大化したパラサイト本体。深雪はこの状況をリーナの不始末と叱責する。己の力不足を認められないリーナは、闇雲にパラサイト本体を攻撃するが全く歯が立たない。
達也は、幹比古が魔法で10秒間パラサイトを抑え混んだ間隙をぬって、深雪に視認力を授け、コキュートスを発動させる。
パラサイトは飛散し消滅した...。
達也はリーナに「もし軍を辞めるなら力になる」と告げる。それは達也が無意識にリーナを自分と同じ境遇で、これまで自分で何かを選択することさえ許されなかった事から解放してあげたいと願っての事だった...。
一方...封印された二体のパラサイトは、四葉家の配下黒羽と九島に奪われてしまう...。
11話。
春。七草、十文字、渡辺らは卒業し、雫の帰国を出迎えた達也らは、帰国するリーナを見つけ言葉をかける。リーナは達也と深雪の言葉に心の置き場を見出すのであった。
達也、深雪達は二年生に進級。そして、これまでの学内での達也の活躍・貢献により新たに魔法工学科が設立され、二科で優れたメンバーで編成された。
一方、四葉真夜(秘匿情報の入手力、素早さから七賢人の一人と暗示される)は魔法至上主義を訴える過激派団体 新人類フロント(魔法師こそが未来を担う人類の進化形だと唱える)が、新築されたハイパービル 東京オフシュア・タワーの竣工記念パーティ当日、ビルの爆破を企んでいるとの情報から、配下の黒羽家から黒羽 亜夜子、文弥を呼び、後の深雪の付き人として、桜井水波を真夜の側役として選び、側近 葉山と共にタワーの警備を命じる。この描写の中でエクストラ=ナンバーズ(魔法師族のエリート家系)の家系・関連性が体系的な図表として表示される。
12話。
パーティ当日。過激派組織は、ビルの電源遮断を試みるが、待機していた黒羽 亜夜子、文弥により阻止される。
しかし、過激派組織本体はビル内に潜入しており、管制室を占拠し、館内放送で魔法師の無秩序な労働者扱いに異を訴え、ビルを爆破すると宣言する。
13話。
パーティに出席していた達也、深雪は水波と共に行動を起こすが、偶発的な地震の発生で、避難中の一般人らを乗せたエレベーターが停止してしまう。その中に雫、ほのかも含まれていた...。
過激派の説得に赴くが、交渉、制圧に失敗し、過激派リーダーの魔法で爆破機能が発動してしまう。食い止めようと手を尽くすが、地震の影響も重なり倒壊が始まってしまう。
達也は、深雪を守り、信頼に応えるため己の生命を掛けて再生を発動する。
再生された現実を目の当たりにした水波は「これは人に許された力なのですか...!?」と驚愕する。
そして、新入生には又も十師族に関わるキャラが加わり...水波も四葉の影として入学するのであった...。
{/netabare}
【あとがき】
OP曲 「Howling」歌唱︰ASCA。作曲︰Saku。作詞︰toku。編曲︰Suku。
ED曲 「名もない花」歌唱︰佐藤ミキ。作曲︰イワツボコーダイ、maeshima soshi。作詞︰佐藤ミキ。編曲︰maeshima soshi。
原作情報によると、既に作劇は真夜により、四葉家当主が深雪、達也は真夜の息子として、深雪の婚約者として描かれるところまで進んでいる。本シリーズの本当の面白みを理解するには、原作小説を読むことをお勧めする。