退会済のユーザー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
【更新】私達は絶対折れない!!…全てを掛けて夢に挑む若者の物語
2020年1月~。原作 猪ノ谷言葉週間少年マガジン連載作)。制作 Ezo'la。全話視聴済み。原作未読。
【まえがき】
この作品は、ファッションに敏感な女性向けですが、仕事を知る男性にもお勧めできる良作です。プロの世界の過酷。その困難を乗り越える力のある者だけが生き残れる世界が描かれ、力強いメッセージを感じます。印象は夫々だと思いますが、私には忘がたい作品の一つです。お勧めです。
【本編・見どころなどについて】
小学4年時で158cm。目指すは175cm。プロのショーモデル(以下、モデル)として将来を嘱望された彼女は過酷な現実に直面していた。足りないのだ。第一素質が。
ちっこくてはモデルになれなぁ~い!!
1話。
クビになった父の事務所のオーディションに挑み続け、全く相手にされ無いが折れない・諦めないポジティブ女子!!だって、他の事務所じゃダメなのだ!!
藤戸千雪(明るく容姿端麗な高校三年生)
第一志望「ハイパーモデル」!!。なんだそりゃ?!
進路表の回収を任された千雪に、都村 育人(千雪の同級生。おカッパ。母子家庭で三人の妹がいる。母が入院し経済的苦境にあるが、極めて高い服飾センスの才能の持ち主)が話しかける。
育人が服作りが好きだと知り「成れば良いじゃん?ファッションデザイナー(以下、デザイナー)。ちゃんと専門学校で勉強しないと無理だと思うけど」と…。
モデルは服を魅せる仕事と改めて覚悟し、大手事務所の契約を蹴って、ミルネージュのオーディションに又も挑む千雪。諦めるまで振り落とすしか無いと決めていた審査担当の成岡 雫(元トップモデル)は、千雪の変化にオーラを感じ驚愕する。「諦めちゃったら私じゃなくなる」と告げる千雪。
ミルネージュ(Mille neige)…千の雪。父が創設・経営するパリコレモデルを輩出した憧れの舞台。私はそこで夢を叶えるの!!だって父がくれた私の名前だもの…。新人契約成立!!…だが…?!
{netabare}
千雪が事務所前で街角ショットに撮られた服が、ミルネージュの服だと偽ってしまったが、可愛いとネットで話題となり、問い合わせが殺到する。社長である千雪の父は、その服を作ったのが育人と知り、服を買い取ると共にデザイナーとして雇うと申し出るが…。
2話。
育人が高校生だと知り、雇用の話はおじゃん。千雪が見栄を張って「作ったのは服飾芸華大学生」と嘘をついていたのだ。悪女…。「服を作って、それを着て喜んでくれる人が居るならデザイナーになれなくてもいい」と告げる育人に「素人が作った服は要らない」と返す千雪。
ブチ切れる育人!!「貴方が作れって言った!!変な見栄張って人を振り回して、なんなんだ!!まるで僕が悪いみたいに!!」
その勢いに本音を告げる千雪。夢を諦めて欲しくないと。育人は「僕がプロに成れたら又着てくれますか?」と…。
自分で作った服を着て、ミルネージュを訪ねる育人。そして想いを精一杯告げる。やはり高校生は雇えないとしながら、その素質に光るものをみた社長はプロのデザイナーの元での修行を勧めるのだが…。
シリアスな展開の後、笑いと千雪のツンデレ描写が楽しい♪
デザイナー 柳田 一を訪れ、仕事を指示されるが、仕上がりの悪さに叱られる。そして育人が高校生で紡織も自己流だと知り「素人に要は無い。帰れ」と言い渡される。しかし、引かずに食らいつく育人は「僕はデザイナーになりたい」と願い出る…。
柳田は日本最大のファッションの祭典「東京コレクション」に挑んでいる真っ最中だったのだ。何とか仕事を任されるのが…。
当日、モデルの一人が到着せず、代役として訪れた千雪にブチ切れる柳田。「この日を最高のショーにする為に半年の時間を掛け、スタッフが成功を望んで此処にいる」腹をくくれ!!背負え!!と委ねられる千雪。本物のプロの現場を目の当たりにして腰が引ける育人。背の低い千雪に合わせる事が出来ない服…。疲れで倒れるソーイング・スタッフ!!そして育人が名乗りをあげるだが…。
3話。
ブランドイメージを崩さない事の難しさを初めて味わう育人。プレッシャーに押し潰されそうになる。コレクションがスタートする。時間が無い!!
千雪に「得意でしょ?私に似合う服作るの」と諭され我を取り戻す育人。ランウェイに向かう千雪。その身長にザワつく会場。
高鳴る鼓動。ヒールが折れ倒れそうになり焦る千雪!!...が。
服が形を変え蝶が舞ったような演出と思わせる!!
大喝采の中、柳田のショーは大成功に終わった…。
何という緊張感と高揚感!!素晴らしい描写に惚れたわ…。
4話。
柳田は問う。「お前何故デザイナーになりたい?」と。
「好きの先に何か見つけないと、待ってるのは挫折だけ。お前の野望はなんだ?」と。
帰宅し、妹 ほのかに給料を渡す。でも、ほのかは「誰かの犠牲の上に進学して夢を叶えたって何も嬉しくない!!」と泣く。二人の口論を聞きつけた次女 葵、末っ娘 いち花。いち花が育人の作った服を引っ張り出し「これを着れば笑顔になれるよ」と号泣する…。育人は答える。
柳田はデザイナーで、実はその下で働いており、ファッションデザイナーを目指していると告げる事が出来た。育人グッジョブ!!
柳田にも「自分の作る服を喜んでくれる人がいる。着た人が笑顔になれる服を作れるデザイナーになりたい」と答えるのだった。
先の柳田のショーで、育人の活躍と才能を見出し、手を差し伸べる人達と出会う。その一人、服飾芸華大学の学園長からショーのオファーが舞い込む。そこで大学トップデザイナー綾野 遠(とお︰日本のトップデザイナー綾野麻衣の孫)と出会い、育人の観察眼に興味を示す。後輩の長谷川 心(こころ︰大手モデル事務所所属。芸華大インターン生。将来デザイナーを目指している)と共に柳田ブランドを手伝うのだが…。
プロは結果が全て。どんなに努力をしても成果に繋がらなければ居場所は無くなる。スペシャリストであり続ける気概・知識・スキルを発揮した高いパフォーマンスが求められる。
本来は高卒生が踏み込める世界ではない。それを補えるのは才能と努力、そして覚悟とありったけの勇気…。
で…成功者には必ずオマケが付いてくる。
嫉妬・妬み・謗り・縛り・期待・プレッシャー・アクシデント。
育人、千雪、心たちチャレンジャーは乗り越えられるのか?!
5話。
心との会話で、彼女のモデルデビューが綾野麻衣のショーだと知り驚く育人。しかし心はデザイナーを切望している知る。
育人は、迷い・葛藤する心に芸華祭に出ることを勧めチャレンジする道を示す。そして芸華祭が始まる。
デザインのヒントを得るため千雪宅を訪ねる育人。
モデルはデザイナーの服を魅せるために演じる。日々アスリート並のトレーニングをこなし、ボディーラインをキープする。自分を抑え服を際立たせる為だけに歩く事に全力を尽くす。
なりたい自分の為に努力を厭わない、美しさへの表現が良い。
6話。
千雪は語る「目指したい自分を目指すと、それ以外事は捨てちゃう。でも育人は捨てない。何も捨てないって覚悟がある。私には無理。出来ないから尊敬し負けたくないと思う。だから勝って。勝たないとその努力は証明できない」と告げる。
芸華祭。育人と心は壁を乗り越え、本戦に勝ち進む。
同時期…千雪は自らを売り込む事に必死で動き回り何とか仕事をゲットするが...。そこに現れた主役は…心だった!!
7話。
モデルに求められるのはオーラ。胸を張り、瞳に魂を込める。
どんなに努力し本気で挑んでも、素質という壁に阻まれる悔しさ。顔出し無し…。挙句撮影から外される屈辱。悔しく切ない。胸が熱くなる。素質があって向いていると言われても、やりたくない人も居る事の矛盾に腹が立つ!!
私の覚悟を何だと思ってるのよ!!
涙腺に歯止めが掛からない...。
えっ?!此処で描写変えるとかずるい!!
でもね千雪。それでも歯を食いしばって積み上げた努力を見て、支えようとしてくれる人もいるんだよ。
心...。何かを任された時は集中しないと大失敗に繋がるんだよ。
人を雇い、使う立場の人の信念と育てる事の難しさの表現描写も上手い。
ねぇ育人…心が本戦に勝ち上がって来たら本気で戦える??。
君は優しいから。でも、これは勝負なんだよ。
{/netabare}
8話。
一通の手紙を残して、育人の母はが!?。胸が傷んで言葉にならない。幸い手術が成功し大事には至らずほっとはしたが、私がやばかった。マジ振り回しすぎだって!!焦ったわ...(笑)
育人...。プロの世界は奪うか・奪われるか、勝つか・負けるか。勝負の世界。力もお金も必要。まだ高校も卒業していない君には、周囲は勿論、自分すら守れない。
心…。君の思い・願いはどうやって叶えるの??。
ミルネージュ社長 千雪の父から突然呼び出される育人。
千雪がパリから帰って来たと。何処からも相手にされず、1mすら歩かせて貰えず、お金も尽きて凹んでる。だから娘を励ましてやってくれと。そして連れていかれた部屋には!?
育人が初めて千雪の為に作った服がずらり!!社長は当初の約束通り、この服のデザインを200万円で買い取ると。「君がデザイナーにならないことの方が驚きだよ」と。そして千雪を頼むと。
ほんとに、どう言う展開なんだよ…顔の筋肉がとっちらかったじゃんか…。
{netabare}
9話。
大型台風 千雪、発生!?引きずられる様に柳田のアトリエに謝りに行くが出て来たのは、心...。
千雪は「この人だよ。私が言った凄いモデルって」と。心は挨拶もそこそこに撮影があると行こうとするが、千雪は猛然と追撃し「本気なら今!!抵抗しろぉ~っ!!」と吠える!!
心はマネージャーの手を振りほどき本心から頼むが、マネージャーは取り合わない。育人にも「そんなのと連むつもりなのか?チビはハンデにしかならない。全力でやれよ。親の病気をおしてまで出たかったんだろ?」と。
千雪は「ハンデの私を背負ってショーで結果を出せたら、それは紛れも無い天才よね?育人…いい?」と。
「長谷川 心のショーに出る!!次はライバルだ」と宣言する!!
マネージャーは優勝を条件にする。うわぁ~っ!!どないするねん!!
ぽっかぁ~ん…状態の育人。千雪モデル前提なのでデザインが全く出てこない。さぁ時間が無いぞ!!
育人ぉ、ママの手術が成功して一安心なのは良いけどさぁ…やっぱ…心にトップ譲る気なんじゃん??…。
母「その手紙に私が死ぬまでにしたい事書いてある」とか!!
そこに書かれた母の想い。育人のショーを観に行く。
負けられない!!さぁ育人!!本気でで勝負だ!!
「僕は、綾野 遠をぶっ潰す!!」あれっ!?心は…。
{/netabare}
10話~12話 芸華祭当日。
母は無事退院し家族で観覧♪めでたし♪
ファッションデザイナーは、その服を着て欲しい人をイメージして作品を作る。
服の素材感まで伝わる描写。モデルが本気でランウェイを歩む時の姿と表情。作画・陰影の絶妙な描き方は素晴らしい。
【育人のショータイム】
躍動する、着る者の気持ちを輝かせる育人がデザインした服たち。それを生かす夫々の役割を担った仲間達。
立派になった育人を激励し号泣する母…。
【心のショータイム】
ウォーキングは演技。モデルは服に合わせて歩き方を変える技術で服を際立たせる。
千雪は14着の服をランウェイで着替える演出で、他のモデルを使うことなく1人でやり遂げる。158cmのモデルが放つオーラに会場が魅了される。コンセプトは風!!
その立ち居振る舞いに千雪が小さかったと今まで感じさせない程、心の服を際立たせる事に会場は驚く。
折れず、挑む事。それは人の気持ちをを揺さぶる。
フィナーレで千雪に贈られる称賛の拍手。私はモデルに挑めると確信する千雪。デザイナーとして覚醒した心。優勝おめでとう!!
そして…全力を出し切った育人は…まさかの11位。惨敗...。
最有力とされた綾野 遠は、麻衣の記録を越えられなかったと棄権し最下位…。
波乱の結末。でも遠と育人の出会いは二人の成長に繋がると…。
結果に凹み項垂れる育人。己を鼓舞するが...。
千雪は自信満々で育人を煽る「私、新しい雑誌の専属モデルになるよ。どうよ?」
「悔しいです…めちゃくちゃ悔しい!!もう誰にも負けたくない!!」と素直に認める育人。なんか清々しいじゃん...。
そして、夫々が憧れのパリを目指し新たな覚悟で歩みはじめるのだった…。
【2022年9月6日(火) 追記】
{netabare}
私事で恐縮ですが。実は、本作視聴のきっかけは長女。娘は高校まで体育会系で、進路志望で初めて「デザイナーになりたい」と言った。確かにオシャレには敏感だったし、ファッション誌もよく読んでいた。私のスーツやネクタイ選びにも注文をつけたりもした。そんな彼女は服飾大学を経て、階段を上り、何とか名のあるブランド会社にたどり着いた。小さな店舗の売り子からの再スタート。ノルマに喘ぎ、帰宅も深夜が続く毎日。それでもデザイナーの勉強はし、企画書やデザイン画も提出も何度もチャレンジした。けれどデザイナーへの道は閉ざされた。辞めようと悩み、苦しむ姿が忘れられない。それでも、洋服の仕事に携わりたいと決めて、今は大きな店舗の責任者として頑張っている。
だから...この作品を観ると娘と重なり胸が熱くなる。成長して元気に頑張って居る姿に勇気を貰うこともしばしば。男親なんて、娘のお財布として連れ回される事に喜びを感じる情けない生き物さ...。{/netabare}
【あとがき】
OP曲 「LION」歌唱︰坂口有望(作詞・作曲)。編曲 江口亮。
ED︰「Ray of Light」歌唱︰ジェジュン。作詞︰矢作綾加。作曲︰真空ホロウ。編曲︰佐久間誠。
人を魅了する姿・強さは、誰かの人生をも変えてしまう力がある。素晴らしいことだと思える。この作品との出会いに感謝を。二期観たいなぁ…。