てとてと さんの感想・評価

3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

サテライト制作のオリジナルのSF(一応ロボット?)アニメ。全13話

遺伝子調整で役割に特化した世界観で、宇宙船とロボットで謎の敵と戦ったり、人類の在り方巡って対立したり?
※作品データベース様より転載

【良い点】
粗は多いかもだけど、真面目にテーマ性ある題材扱ったSF作品。
ロックな楽曲(音楽に疎いのでジャンルは知らない)と3DCGで凝ったメカニック、硬派な?SF感が合わさり独特な雰囲気。
CG作画は2001年当時の未熟さはあれど、むしろそこも捨て難い。
SF要素は説明不足ながら燃える。雰囲気が好み。

2004年の「機動戦士ガンダムSEEDディスティニー」のディスティニープランめいた社会システムが常識と化した未来(23世紀)を舞台に、
人の役割やアイディンティティーが遺伝子で決定、愛など不要と切り捨てるディストピア(我々古代人視点では)を
宇宙船で謎の敵と交戦する任務中のヒロインたちの会話劇やドラマで描いている。
情報量が多く親切とは言えないが、淡々と任務遂行していく彼女たちのやり取りを見ていれば自然に分かる感じ。
遺伝子のみで役割が固定されているハズの世界で、各キャラの個性や感情の揺らぎが徐々に見えてくる
過程で、遺伝子だけではない可能性?愛?など色んな生き様を通して、テーマは分かり易い。
6話でタイムスリップしてきた21世紀人との交流がターニングポイント、視聴者と感覚が近い21世紀人視点で
世界観や価値観の特異性やヒロインたちへのアンチテーゼやアイディンティティーを揺さぶる展開。
7話以降内ゲバになるもドラマは中々の盛り上がりを見せた。各キャラの思惑や感情出てくる後半の方が面白い。

キャラクターや会話劇も淡々としつつ軽妙で、そこそこ個性的。無口幼女ながら腹話術なブラック上司ドルチェとか。
主人公の女の子ミカ・セイドウはじめキャラたちは設定に反し感情的だったり葛藤を抱えているが、
そうした矛盾こそが作品テーマを雄弁に描けている。
主人公たち特に副艦長マリオに病的なまでに敵愾心燃やす狂ったショタ・ジャンの在り方とか、理想的遺伝子社会の歪みと思われる。
ジャンは成人だがあえて子供の姿(そういう事が可能な世界観だと分かる)、一人称が自分な幼さなど。
主要キャラの過去絡みのドラマも十分あり、遺伝子で決められるだけじゃない何かがある結論に説得力はあった。

遺伝子的に感情抑えられたオペ子のベアトリーチェ可愛い。
機械人形のように無感情に効率優先志向→徐々にデレる、お約束ではあるが萌える。
キャラクターは実質主人公だった副艦長マリオが魅力的だった。

【悪い点】
終始説明不足なまま淡々と進行。個々の話は引き込まれる面白味があるものの、唐突に進行していき、エピソード間の繋がりが淡泊。
細部の設定が難解で分かりづらい。
目的が人類の敵たるリング(宇宙に現れたエネルギーの輪?意思あり?)との戦いなのは分かるものの、
途中から内ゲバになったり、本国のゼーレっぽい上層部の思惑やら、裏切り者で人類滅ぼそうとする奴とか、話が込み入っている。
モノ言わず人類滅ぼすリングと戦うのか?黒幕の主張崩すのか?どちらも曖昧。
11話がピーク、以降謎の敵と淡々と戦うが盛り上がりに欠いたままラスト。

テーマは良かったが、ではどうするのか?の結論部分で軸がブレでいた印象も。
愛に関してはベアトリーチェなど女性陣のドラマは良かったが若干パンチが足りない。男性陣は愛を語るだけで途中退場多い。

ミカがいまいち主人公していない。
悪くないキャラなんだけど、キャラドラマの中心になれていなかった。
レミィと特に交流深くなかったり、後半以降の各キャラと関わりミカこそ要だ的な流れの割にあまり説得力が無かった。
艦長のヒロトも地味、一応幼少期の掘り下げでミカと関係は深いものの、ラストの結末にあまりカタルシスがない。
ヒロト途中から寝ていて、起きて黒幕と対峙するのも唐突だったり、キャラの見せ場が惜しい。
全般的にキャラ間の横の交流が弱い。

ロボットアニメとしては戦闘が地味すぎる。
絵的にも設定的にも何やってるのかよく分からず、盛り上がりようがない。

【総合評価】6～5点
粗は多いものの捨て難い持ち味がある、WOWWOWのSFアニメ。
評価は普通以下が妥当かもしれないけれど、かなり自分好みなので贔屓目承知で「良い」