退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
科学的に魔法が使われる世界で兄妹が向かう先は…幸せを掴むために現実に立ち向かう物語
2014年4月~。原作 佐島勤(ラノベ)。制作 マッドハウス。全26話(2クール)。関連アニメ アニプレックス配信 YouTube版 よくわかる魔法科 全6話(ショートアニメ)。シリーズ全話視聴済。原作未読。
【まえがき】
物語はご存知「主人公最強!!」もの。当初、理解できなかった点も多かったが、~追憶編(2021年12月~)を視聴し、達也、深雪の関係性、親子関係、世界観、十師族、魔法の科学技術的扱いの意味を改めて知り再視聴しました。技術、テクノロジーに興味のある方向けで、やや難解。
本作を理解するには、追憶編をご覧になってからが良いかもしれません。
【本編の内容・視聴ポイントなどについて】
本編の構成は
1~7話︰入学編。
9~18話︰九高戦編。
19~26話︰横浜騒乱編。
時代は2095年。地球環境の急激な変化で、枯渇した資源・食料等を巡り大規模な世界戦争が勃発。それは20年に及び人口が30億人まで激減した35年後の世界。核兵器などよる環境汚染を免れたのは魔法師が貢献したからとされる現世と異なる時空間(パラレルワールド)。
魔法とは「情報体・事象を改変する科学技術」で、それを扱う資質ある者が魔法師だ。
魔法師は兵器として開発された経緯から、常人に畏怖され、人種の優劣や差異的描写も多い。英語版タイトル「Irregular」は、異能、異端の意味でもありそれを踏まえてご覧頂きたい。
{netabare}
1話~3話
司波達也の無双っぷりはいきなりのトラブルでエレメンタルサイト(精霊の目)︰魔法では無く異能。知覚系魔法の最上級ランク、キャストジャミング(妨害魔法)を発動させ、騒動に駆けつけた七草 真由美(さえぐさ。3年生。生徒会長)、渡辺 摩利(3年生。風紀委員長)を驚かせる。
柴田達也は学科では学年トップ、妹の深雪(容姿端麗・頭脳明晰な学園のアイドル的存在。一科生)だが二科生として格下扱いされる。超ラブラブ兄妹っぷりも序盤から炸裂し、腰が引けるユーザーも多いかと…。
二人の体術師匠の九重八雲(天台宗 僧侶。忍術使い。古式魔法・幻術の使い手。様々な人物や組織に関する情報にも長けている)は、達也、深雪が共に礼を尽くし指導として尊敬するを人物だ。
深雪は、やや天然で普通のJK的な面も見せ、達也の同級生(二科生)にも分け隔てなく接する性格良い少女だが、ひとたび達也が貶(けな)されると感情制御ができずトラブルを頻発!!それは達也も同類で、新入生が生徒会副会長(一科生。2年生)に模擬戦挑んじゃうの...?!
その実力を買われ、風紀委員に抜擢された達也は学内のトラブル解決に尽力する。
カフェで達也の凄さを語り合う友人
・西条レオンハルト(二科生︰1年生。硬化系魔法の使い手。体力バカ)
・千葉エリカ(二科生︰1年生。剣術の達人。少し意地悪キャラ)
・柴田美月(二科生︰1年生。特殊な眼力で物体・物体・事象を見分ける能力者。天然癒しキャラ)
との会話と、ラブラブ兄妹の描写、各キャラのボケ・ツッコミ描写はコミカルで微笑ましい。達也はオフレコとしてキャストジャミング(本来は特殊な鉱石が必要)の秘密を打ち明ける。会話中、深雪に「俺が優柔不断のヘタレだと言っているのか?」と言うなど、達也の感情表現力が着いてきた様子がみられる。
風紀委員として活躍する達也はに、二科生の劣等感につけ入り学内に反魔法組織の人間が入り込んでいる事を突き止める。
国内の反魔法組織は、日本を魔法が衰退した国にしようと画策する敵対国の機関と結託し、魔法に関する高度な情報を盗もうと学内テロという卑劣な手段を画策する。
5話。
魔法は科学技術だが、その発動には自身の魔法力を要する。達也は特殊な能力しか持ち合わせて居ないため、通常の魔法師を評価する尺度では下位だが、魔法をエネルギー開発に用いる技術習得を目指していると語る。その志に感服する美月。こうして着実に達也の仲間が増えてゆく描写は安心出来る。
剣道部の壬生 紗耶香(みぶさやか。二科 2年生。剣術に秀でた美少女)に、二科生も魔法以外の面でも評価されるべきと同志加入を請われる。達也は、学校に求めるのは技術的資料の閲覧許可と卒業資格だけで、その他の事に期待していないと伝えると共に沙耶香が反魔法団体に関わっていると見抜く。
沙耶香は抗議同盟の首謀者となり放送室占拠事件を起こす。達也は生徒会長 七草、部活連会頭 十文字が交渉に応じると了解を得て沙耶香を説得するが、深雪には「悪い人」と咎められる。
事件は、七草が生徒衆目の討論会を開き、抗議同盟を論破することで収束されるかに見えたが…。
討論会で七草は敢えて禁止用語を使った上で「意識の壁を取り払う努力を惜しまない。人の心を力ずくで変えることは出来ない、してはならない」と演説し多くの賛同を得るが、ついに学内で騒乱が発生してしまう。
6話。
狙いは学校が保有する魔法に関する機密文章。
テロリストと共に、特別閲覧室で極秘資料を盗む手伝いをする沙耶香だが、その行為に疑問を感じる。
テロリストは達也、深雪の活躍で取り押さえられ資料も無事だが、沙耶香は自分の気持ちと行動のギャップを詰められず逃げだすが、待ち構えていたエリカに叩き伏せられる。剣術家としての信念を好意的に思っているエリカが、沙耶香の心を解放する描写にほっとする。
治療中、洗脳されていた事を知らされ悔いる沙耶香に達也は告げる「純粋に剣技に磨きを掛けてきた一年はけっして無駄では無い」と。感極まる沙耶香。それをドアの外でそっと聞いている桐原 武明(剣術・高周波ブレードの使い手)は沙耶香の剣に掛ける姿に惹かれていた当時の想いを取り戻し愛するようになる。達也達に頼もしい仲間が増えたのだった。
達也は、テロ集団ブランシュを潰すと宣言する。警察に任せるべきとする七草達。しかし警察が介入すれば、沙耶香は強盗未遂で逮捕される。十文字は「相手がテロリストである以上、生徒に命を掛けろとは言えない」と説得するが、達也は「深雪との生活空間がテロの標的になった。何人であれそれを害する者は全て排除する。これは最優先事項だ」と怒りを顕にする。
7話。
テロ組織の壊滅作戦が断行される。深雪の凄まじ広域魔法「ニブルヘイム(液体窒素の冷却力をも上回る)」が炸裂する。十文字克人のファランクスは銃弾はおろか対戦車ミサイルをも防御する多重障壁魔法と桐原の剣技とスピード。達也は敵を粉砕しつつ、組織のバックをも看破する。達也が本物の戦場を生き抜いてきた証でもあるシーンだ…。幸い死者はおらず、深雪強力過ぎた魔法も達也が解いていた…。深雪はまだ15歳の少女なのだと改めて思わずにはいられなかった。
沙耶香の退院日。沙耶香の父から「娘が立ち直れたのは、達也の言葉に救われたから」と感謝される。紗耶香は「隣で一緒に歩んでくれる人が良い」と桐原を恋人に選んだことをうちあけ、それをいじり倒す面々…。和む描写だ。
8話。
深雪は八雲の元で、九高戦に向けた鍛錬に励む。達也は授業のサッカーを通じて吉田 幹比古(みきひこ。二科生。1年生。喚起魔法︰古式系精霊魔法の使い手。エリカの幼なじみ)と出会い仲間となる。エリカの体操服姿がブルマーだと説明され「箒みたいな名前だな…?」と、達也の天然ボケにクスッと…。
九高戦を前に、技術スタッフの選定に悩む生徒会は理論や技術にも長けた達也に目をつけ、深雪をダシに強引に選出する。
再視聴で好感度アップした中条 あずさ。通称あーちゃん(2年生。生徒会 書記。後の生徒会長。2年生)はリスの様な小動物を思わせる可愛らしさと、重度のデバイス・技術オタクのギャップに萌える。達也とあずさの技術談義に過剰反応し、タイプエラーのビープ音を鳴らしまくる深雪には爆笑できる(笑)
その時点では、魔法で空を飛ぶ事だけは実現されておらず、あずさはその問題点と課題を研究しており、七草に助力を頼む。
しかし、その問題を達也が難なく回答し周囲を驚かせるが…あーちゃん!!レポートは?!(笑)
魔法師の分身とも言えるCADデバイス(魔法を実行するための触媒)の調整を任せるのに難色を示す九高戦主力メンバー。
第一高校は連覇を常とされており、その為には技術スタッフはとても重要なファクターとなる。十文字は達也の能力を検証すると提案し、その役に桐原が立候補する。彼は先の騒乱で達也の実力を目の当たりにしており、病院でのやり取りから人柄にも好感を抱いていたからだ。結果、難易度の高い調整作業をクリア。上級生の技術スタッフから賞賛される程の腕前を、あずさは強くする推薦する。懐疑的な意見が相次ぐが、当初、敵対敵だった服部副会長の正当な評価が十文字の決断を引き出し、チーム入りすることになった。達也が更に学内に溶け込む良いシーンだ。
達也は新たな飛行術式を完成させ、勝利への可能性を見せる。
9話。
FLT社での飛行実験の成功により、更なる進化を確実にするが、偶然再開した父と側近との間の会話で、四葉本家との確執が明らかになる。達也と深雪にとって四葉家とは…?
校内では、技術スタッフに選出された事で二科生全体から賞賛を受ける達也。発足式を経て九高戦に臨むのだった。
しかし、移動中のバスが敵対者の攻撃を受ける事件が発生!!
10話。
炎上したクルマがバスに突っ込んでくる!!冷静に対処する十文字だが消化までは無理なため、深雪が鎮火しようとする…。
結果、バスも生徒も無事に済んだが、深雪は達也が放った「グラムディスパージョン(術式解体)」によるものである事を黙っていた。それは、達也が使う魔法は全て秘匿されるべきものだからだ。渡辺は、事故を防いだ魔法に違和感を感じるが、慌てた生徒達が同時に魔法を発動しようとした事を叱責する。魔法は無秩序に発動させる危険性を指摘する。
ホテルに到着した一行。先んじて潜り込んでいたエリカ達に驚く深雪。懇親会場で深雪に近ずけない一科生をみて、達也が「俺は番犬か?」の描写やエリカのわちゃわちゃ感にクスッと。しかし明るく振舞うエリカにも、様々な葛藤や不満はあるのだった。
深雪は他校生からも注目を集め、特に一条将輝(第三高 1年生。一条家長男。爆裂系魔法の使い手)に一目惚れされる。
魔法協会理事 九島 烈(老子と称され、今日の魔法体系と十師族の序列を確率した人物。87歳。現役時は世界最強の魔法士の一人。日本の魔法師の模範的存在)は、大規模な精神干渉魔法を披露し語る「魔法は手段で目的では無い。魔法は工夫する事が重要だ」と諭す。
夜間、1人で魔法の訓練をしていた幹比古は悪意を持った侵入者を察知し、精霊魔法で対処するが予想外の効果に驚く。それを支援したのは達也だった。
11話。
賊の侵入を察知した達也は、幹比古の魔法にも気が付き間に合わないと判断し、支援魔法で援護し賊を確保する。そして幹比古の術式は強力だが、無駄が多すぎるため発動スピードが遅いことを指摘する。自分の術式を否定された幹比古は納得できずにいた。
そして、九高戦が幕を開ける。
一校選手は様々な分野の得意魔法を披露しつつ、各種目で順調に勝ち進む。達也もエンジニアとして貢献するが、女性陣に人気であるとの自覚は全く無く、キャラ的には美しさに秀で、多彩な魔法で魅惑を振りまく七草にさえ無反応…。唯一、深雪を除いては…。そしてエンジニア作業の傍らで、新たなデバイスも作ってしまう凄腕っぷりを見せる。
12話。
新デバイスはレオに授けられ、その威力と効果が彼にマッチしていることが確認された。
一校の主力を担う渡辺のバトルボード決勝で大事後が発生し、彼女は肋骨を折る怪我を負い、以後の試合を欠場となる。
それは外部から妨害を受けた事だと判明する。不自然な水面の陥没から、CADへの細工が疑われ調査する達也達だが決定的な証拠は確認出来ずにいた。
渡辺の欠場で本戦のポイント獲得リスクを考慮したスタッフは、深雪を本戦のミラージュバットに抜擢する。
新人戦が始まり、達也のエンジニアの実力が素晴らしいものだと評価され、達也の人気は急上昇するが深雪だけは不機嫌に…(笑)
13話。
達也の技術力により、新人戦スピードシューティングで1~3位独占の快挙に湧く一校メンバー。しかし、達也は開発した新種魔法の開発者としての登録を競技者名とする様伝える。達也は「自らが使えない魔法の開発者が自分という恥を晒したくない」と理屈を付けるが、本当の理由は司波達也=トーラス・シルバー&四葉家だと公にできないことだった。
九高戦を妨害しているのは、賭けの対象として儲けを企む国外の犯罪シンジケートだと判明する。奴らは一校が勝ってしまうと大損となり粛清されるため何としても引きずり下ろしたいと画策し妨害を続ける。
深雪は新人戦 アイス・ピラーズ・ブレイクの初戦で「インフェルノ(氷炎地獄。A級魔法士でも成功例が少ない超高難易度魔法)」で相手を一蹴。光井ほのか、北山雫の活躍も含め、一科生の女性陣からも人気を集める達也に、敵対心を露わにする一科生の森崎の心理描写は優越の意味を語ったシーンだ。
14話。
新人戦では、光井ほのかがバトルボードで優勝。深雪、雫、明智 英美が揃って決勝リーグに進出。大会委員会は同率優勝を提案するが、雫は深雪と対戦する事を決める。全力で挑むが、深雪の放つニブルヘイム、インフェルノで一蹴される。敗北し悔しがる雫…。ほろ苦い…。だが、友情は変わらないことに安堵した。
新人戦は女子チームは好成績を収めていたが、男子チームがふるわず、更に犯罪シンジケートの仕業で、森崎チームがモノリスコードで大怪我を負ってしまう。
協議の末、達也、レオ、幹比古が代役として抜擢される。
一条将輝は最強ランクの爆裂魔法の使い手。威力に制限はあるが、食らえばタダでは済まない。加えて吉祥寺真紅郎の頭脳とインビジブル・ブリッド(重力魔法)とのコラボを相手に達也はどう立ち向かうのか?九高戦での最も熱い試合が幕を開ける!
15話。
達也はグラムデモリッション(術式解体)を使う。現存する最強の対抗魔法を目の当たりにした七草、渡辺達は驚愕する。レオは、達也から授かった新デバイスと持ち前のパワーを活かして防御役。幹比古は幻惑・幻術・遠隔探知と操作を駆使しチームは勝利を重ねる。
ちよっと一息シーン。エリカも兄が大好きなブラコンだとの描写に和める。
さて、強いであろう一条将輝+吉祥寺真紅郎の試合は…おぉ~いっ!!爆裂系4種類に加え、十文字のファランクス並の防御力もあるんかい!!。達也の魔法は手加減できないんだよぉ~っ…。対戦が草原ステージだったら達也チームは非常に不利だ…。
決勝前日…。幹比古は霊峰 富士山を拝みにゆく…エリカが居る…。エリカは幹比古が、ある施術の失敗から自信を無くし、それをずっと引きずっている事を知っており、立ち直って欲しいと強く願ってもいた。この試合を通じる幹比古が既に今まで以上である事を知り、活躍を願い激励する。
「幹比古くん…感じる?霊峰の息吹を」エリカらしい強気の激励…。かっこいいぜ2人とも…。
16話。
決勝当日。ステージは草原。不安が過ぎる…。しかし達也が深雪を悲しませない事が最大の力になることを誰も知らない…。
更にヘンテコだが意味の有りそうなデバイスをレオ、幹比古に手渡した。エリカは大爆笑するのだが…。そんなにかっこ悪くないと思うけどなぁ…??実はめっちゃ強力なんだぜ!!
吉祥寺が仕掛け、それが弾かれた時、一条は彼の防御に力を使う。その一瞬の隙を突いて突撃する達也!!
それに無意識に反応した一条は致死量の爆裂を放ってしまう!!
直撃を受けた達也は…!!
最終奥義「自己修復術式オートスタート」。
達也が不死身である本当の理由が明かされる瞬間だ…。
そして…その間隙をぬって幹比古、レオも相手を倒し…勝敗は決した…。
勝利した三人を迎える大喝采。
達也は片耳を潰し、レオは数分間の気絶、幹比古も怪我を負っていたが晴れやかなトリオを涙で迎える深雪だった…。
新人戦優勝確定!!
17話。
一高の優勝阻止を諦めない犯罪シンジケートにより、女子の試合で再び事故が発生するが、美月の眼力により選手のCADに細工がされている事を突き止めた達也。
深雪の試合前のCAD検査で、大会役員(検査員)の不正を見抜き取り押さえる。そのブチ切れっぷりに騒ぎになるが、九島閣下の介入で乱闘は免れた。
九島の説明では、CADに不正混入されたのは電子金蚕(でんしきんさん)と言う国外で生み出された遅延発動術式と判明。騒動を聞き心配して駆けつけた深雪。達也のシスコンっぷりを七草が冷やかし笑いに包まれ、ひとまず安堵。
そして、試合に臨んだ深雪は、達也が新開発した世界初の飛行魔法を披露して、周囲を驚愕させあっさり予選を通過する。
犯罪シンジケートはもはや手段を選ばず、ジェネレーターによる虐殺騒動で大会中止を目論むが、警戒にあたっていた軍特務部隊に制圧され事なきを得る。
決勝戦を控えた深雪は達也に甘え、暫しの休息をとる。穏やかで優しいシーンだ。
決勝戦。飛行魔法術式は平等性確保の為全選手に渡るが、生来の魔法力の大きさの違いから、深雪は難なく優勝し、同時に一高の総合優勝が決定する。
18話。
深雪の優勝と一高の総合優勝が祝われる席に達也は疲れて休んだとの理由で出席していない…。九高戦を貶めたシンジケートを潰しに向かったからだった。
九島は国防軍 独立魔装大隊長 風間少佐を訪ね、達也の扱いや四葉家の在り方を話し合う。九島は四葉家が自らの家系を兵器として捉えすぎているとするが、風間は達也が戦力として一条将輝と格が違い、より優れているとし、その力の管理責任を達也に委ねることが人として酷であると主張する。
このシーンは、本作での達也の存在意義や能力の特殊性を改めて明らかにする描写で、次話以降の彼の振る舞いの布石となっている。
同時刻、達也は怒りパワー全開で、問答無用で組織を葬る。大会施設に戻った達也は、軍関係者と対話する。そして、世界の犯罪組織で、人間の脳が魔法増幅兵器の素として用いられている恐ろしい事実を知らされ、その供給源だった組織を潰した功績を称えられる。
十文字は家柄の宿命から十師族の強さを誇示する試合をする事を求められ、凄まじい威力で完勝し九高戦は幕を閉じる。
全校参加の華やかなパーティで、達也、深雪がモテモテなのだが…達也は十文字に七草と婚約するなり、以後の立ち居振る舞いを忠告される…。十文字ですら四葉家との関係を見抜けずにいたが、唯一それを見抜いたのは九島だけだった…。
19話~26話。
此処からは、達也は九高対抗の論文コンペの補佐として抜擢され、エネルギー開発のための魔法の在り方を研究する立場として振舞う描写に変わる。
しかし、またしても、その技術資料・情報・物理的要素を巡って、敵対国が暗躍し様々な事件の末、魔法に関する機密情報を盗み出そうと画策する。
新たな不満分子が洗脳され、学内等が乱される。学生を含めた戦闘描写も増えるが、九高戦以降の一科、二科の壁は薄れ、学友の絆の向上や、精神的、技術的成長、他校との親和性の向上も描かれるので作劇のバランスは保たれている。
救いなのは、学校生活を通じ、友達を理解し、感情の一部を達也が取り戻した様に感じる描写が増えたことかと…。
論文コンペ当日、ついに国内に潜伏していたテロ集団と国外の揚陸艦からの侵略攻撃により論文コンペは中断を余儀なくされ、強大な敵対勢力が横浜襲い戦場となる。
そして、本話で初めて一高生に達也が国防軍所属の身分である事が明かされると共に、深雪により達也のリミッターが外される。
原作小説をアニメ版が省いている可能性もあるが、戦闘描写は戦場のそれであり苛烈を極める。
被害も甚大で危機的状況も描写されるが、結果的に達也を筆頭にした国防軍と、十文字が率いる魔法協会所属の魔法師、一高生他の優秀な学生魔法師等の団結により敵国を退けることで幕を下ろす。
{/netabare}
最後に深雪が語る…。
横浜騒乱事件。灼熱のハロウィン。後世の歴史に刻まれた軍事史の転換点で歴史の転換点。機械兵器とABC兵器に対する魔法の優越を決定付けた。魔法こそが勝敗を決する力だと明らかにした出来事。それは魔法師という種族の栄光と苦難の歴史の真の始まりの日でもある…と。
「Irregular︰劣等生」= 異能・異端の本当の意味。これが物語の本当の始まりに過ぎないのだと…。
【司波達也の秘密】
{netabare}
四葉家長男でありながら、元々の魔法師の素養が低く、分解・再構築(再生)しか出来なかった為、6歳の時、母(司馬深夜︰みや。本作では他界している)と双子の妹四葉真夜(まや︰叔母)による人造魔法士実験により、人工魔法演算領域を与えられた唯一の成功体。
その世界屈指の戦略級魔法士の能力者に改造された際、代償として感情・衝動の殆どを失った。残されたのは、妹 深雪への兄妹としての愛情のみ。母、深夜は実験による感情欠落のリスクを承知しており、それでも母として誰か1人を愛せる気持ちだけを残すことを決断し、それを深雪と定めた。達也が母や父、家族への愛情も失い、深夜も母としての感情を無くす結果を受け入れたのだ。なんと言う非情…。それを達也は認識しており深夜の死後、冷酷な真夜(叔母)、四葉家を何れ潰すと心に誓っている。己の全てを深雪の為に捧げる事だけ、深雪を守るため、自分たち兄妹の幸せを守るためなら、世界を滅ぼすことも厭わない人間として改造されてしまった過酷…。
生来の莫大なサイオン量(所謂MP)により、あらゆる無系統系魔法の使いこなすが、世界を滅ぼす力でもある為、その制御の鍵を深雪が担っている。
沖縄でのクーデター戦で13歳にして、物質を元素分子に分解する「ミストディスパージョン」質量をエネルギーに分解する戦略級魔法「マテリアルバースト」を発動させるが、それも深雪を危機に追い込んだ相手への憎悪の結果だ。そして、その発動を支援した桜井穂波(調整体。その防御力は十文字家のファランクスに匹敵する)の意志を汲み看取ったのだ。13歳の少年が…。
本作中ではFLT社の専属エンジニア、天才トーラス・シルバーでもある。その母体は四葉家(元老院がスポンサー)で、十氏族中での異質性・隠密性が際立っており、戦闘に特化した魔法師の育成にのみ魔法を行使する異常な氏族と恐れられている。
{/netabare}
【司波深雪の秘密】
{netabare}
幼少期から実の兄が無感情で母 深夜(実験の際、自身も母としての感情を失った)からも使用人扱いされる事を不思議に思っていた。しかし沖縄に旅行に出向いた際、軍のクーデターに巻き込まれ、銃撃され深雪は1度死亡する。だが、深雪の危機に直面した13歳の達也は全てを掛けて深雪と深夜、身内、仲間を再生する。その能力の秘密を母から聞き、その過酷さ、達也が本当に愛する者は深雪だけだと知らされ悟る...。1度死んだ私の全ては兄 達也の為に...と。
達也の魔法能力のリミッターを解放する際、その解除が額へのkissとして儀式的に描かれる。これは、深雪も達也を護る為にと願って行う、兄妹の愛の儀式なのだ。
そして、深雪自身も日常で自らの魔法力を達也の暴走抑止に使っており、それ故に強い精神的負担を負っている為、兄 達也に甘える事だけが、唯一の慰めとなっている過酷を背負わされている。そして、それを可能にする力は…深雪も四葉家によって生み出された世界最強の調整体(遺伝子操作によって生み出された人工的な人間)なのだ…。
{/netabare}
【あとがき】
1クール OP曲 「Rising Hope」歌唱︰LiSA。作詞︰LiSA、田淵智也。作曲︰田淵智也。編曲︰堀江晶太。アニメ楽曲としてLiSAが初めて作詞をし「大切な人のために強くなりたい」思いが込められている。
2クール ED曲 「Mirror」歌唱︰安田レイ。作詞︰yumeiroecho、田中秀典、玉井健二。作曲︰林奈津美。編曲︰玉井健二、釣俊輔。
独特の歌声で好きになった。
人の身体の伝達は電気的信号よることは知られている。本作でデバイスとして使用される、CAD︰術式補助演算機(Casting Assistant Device)ウェアラブル機器等により実用化が始まっている。魔法が科学技術で成されるとは思えない...。それは魅力的な不思議な力、ファンタジーの世界でのみ描かれ用いられて欲しいと願わずに居られない。科学技術は平和的利用にだけ貢献して欲しい...。映像作品、小説で描かれる事はかなりの確率で現実化しているので有り得ない事では無いかもしれない…。