「メイドインアビス 烈日の黄金郷(TVアニメ動画)」

総合得点
81.5
感想・評価
435
棚に入れた
1649
ランキング
409
★★★★★ 4.1 (435)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

出オチ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

(面白さが)遠ざかってくみたい

つくしあきひとという平成の稀代が構築する"アビス"とは、慟哭と絶望だけが木霊する団子の様な世界で強迫観念、自己破壊、新たな価値観の創生を情に訴えながら僅かながらの愛を添える、最後には快哉を叫びたくなる確かに大穴と呼ぶには言い得て妙な世界である。

しかし、黄金郷にはそれがない。
鼻を摘みながら度し難いと膝を叩く様な激情が生まれない。

だって、対岸の火事だから。

ナナチ、プルシュカはリコと強い握手で結ばれた切っても切れない仲である。では、ヴェコはどうだろうか。リコからすれば村の成り立ちとイルミューイを知る重要人物というだけで特筆する繋がりはない。先述した二名に該当するキャラは"マアアさん"である。
そんな見知らぬ人物とイルミューイの擬似親子関係をまじまじと見せつけられても・・・マアアさんの別れのほうが悲しくならない?というのが俺くんの本音である。

唯一無二の作家性ないしつくしあきひとというベースメントは強固な物ではある。それ故にメイドインアビスという題材からはかなり乖離した外伝の様な異物感を汲み取った。(ドラクエ4とトルネコの大冒険みたいな。)
古代文字と高潔な精神、これまでの人生経験から六層の知識を継承したナナチ、白笛を完成させたリコ、純粋強化のレグ、ファプタの獲得(?)と、成果だけ見れば黄金郷の価値も確かに担保されているだろう。しかし、それが為にガンジャ隊・イルぶる・ファプタを巻き込んだ話に1クールも使うのか、そもそもこんな話じゃなくても別の基軸でスマートにやれたのではと疑問が残る。
ファプタも結局はレグとの関係性も口約束程度。オーゼンの語ったライザとの共通点のほうがレグという象徴的側面に触れているのではないか。

至上命題は存在せず、あるとすれば使命と復讐の果てにある存在証明をファプタ自身が自認する事であろう。故に話の推進力はまるで無く、どこか知らない世界をふわふわしながら、適度に映し出される露悪ポルノを白けた顔しながら脳内に刻みこまれていき、気づいたら着陸していた、そこは最終回だった様な感覚。

演出面でも疑問が残る。
パッコヤンはヴェコと一晩かけておがみ倒す仲であったが、カットされている。(そりゃそうだ)
故に最終回の再開も原作勢じゃなければ「誰だよ(ピネガキ)」と思わざるを得ないだろう。
ベラフ。記憶を取り戻した描写が無いため、人によっては気が変わっただけと解釈するのが正解だろう。
最終回。とにかく感動ポルノ。独白と回顧が入り交じる白昼夢からの解放もここまでされては逆に情に縛られて妙な不快感しか残らない。
ワズキャン。「やるだけやらないとダメ」「ただ祈るだけの者に何を与えるかな?」という発言から、諸悪の根源を取り除いたウイルクの様な存在だが、如何せん吐き気を催す邪悪に仕立て上げるにはキャラが弱く、リコ由来の既視感がある。クズと呼んでる手合いは美樹さやかや上条恭介を嫌ってそう。

批判ばかりだが良いところもある。
マアアさんは可愛いし、OP・EDは原作補完を交えた神懸かり。作画は油断なく再度まで同じクオリティを維持している。素晴らしい。声優の血の通った演技も熱のこもった心持ちにさせてくれる。

だからこそ、絶望的に話が面白くないのである。

総評としては、無駄な贅肉を削ぎ落とした結果、心のボディまで削ぎ落としてしまい、気づいたら露悪・感動ポルノしか残らなかった。露悪好きのスノビズムなら感動するだろうが、アビスの神秘に酔いしれたい側からすれば肩透かしを食った、といった所か。

投稿 : 2022/10/04
閲覧 : 262
サンキュー:

5

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