薄雪草 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人生を映し、表現に生きる
大女優が回想するのは、千年を重ねた人生。
それは演じ分けてきた役柄の喜怒哀楽のこと。
それを演じ続けてきた役者の喜怒哀楽のこと。
分厚い台本と、発止と響くカチンコから生み出される体当たりの演技が、そう。
エンドロールに浮かんでは消える兵(つわもの)らと膝をつめ合った夢想の結晶も、そう。
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女優は人生に花を咲かせ、観客はその花を人生に添える。
過去から未来へと苦楽を往来させながら、自分を明日へと踏み出す気概に変える。
観客にバトンされた女優の意志は、やがてあまたの人生を色めかせる糧となるのです。
千年の光明となり、万人の千引きとなるのです。
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この上なく引き締まったエンターテインメントです。
きっと男女の色もようがしっかりと下支えしているからでしょう。
行きずりのちぎりに恋を追いかけ、永遠の愛へとわたしを貫いていく。
それが鍵と共に生きてきた彼女が、ようやく見つけた "幕の下ろし方" なのだろうと思いました。