Triazole さんの感想・評価

4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

カッコいい構図！

■ 作画について
私が宮崎駿以外で初めて、作品を「監督」で意識することになった作品です。
とにかく構図と作画が圧倒的に「カッコいい」です。
以降の『トップをねらえ2』『龍の歯医者』などでも言えることですが、鶴巻和哉監督作品の特徴として、この “構図のカッコよさ” があると思います。
キャラクターが動かないシーンでもいちいちカッコいいのがにくいのですが、もちろんアクションシーンではより顕著です。試しに2話や5話の戦闘シーンを随所で一時停止してみると、あれだけ激しく動いているにも関わらず、1コマ1コマではまるで漫画の扉絵のようにポーズ・構図がきまっているのが分かります。
一部冒険的な作画や演出も見られ、遊園地のアトラクションに乗っているような視聴感が楽しい作品です。

■ キャラクターについて
どのキャラクターもあまり深堀りされず、適度に「そっけない」のが逆に好きです。ニナモリ推しではありますが、基本的にどのキャラクターにも味わいがあり魅力があります。
というわけで3話ラストの「伊達よ」には参ってしまいます。

■ ストーリーについて
全6話と短め、且つ1話ごとに区切りがつく上、大筋のストーリーもかなり大味なのでストーリーの評価は難しいです。そもそも本作の主人公はいわゆる「巻き込まれ系」なのですが、主人公を巻き込む台風の目とも言えるヒロイン・ハル子やその敵などについて、これらも例にもれず掘り下げられないので、唐突に出てきた単語や意味深な描写から背景にある物語を推測するしかありません。
単純なボーイミーツガールと捉えればシンプルにはなりますが、それではこの作品の魅力を損なってしまうようで、安易に片づけたくもないという変なジレンマに陥ります。
とりあえず、これまた鶴巻監督作品によくみられる、「終わり際の『別れ方』の秀逸さ」はいかんなく堪能できますので、なんだかいい物語を見たような気にはなります笑。

■ 音楽について
新海監督の映画『君の名は』で、『RAD WIMPS』が全編にわたり音楽を手掛けたことで話題になりましたが、個人的にはそのハシリがこのFLCLだと思っています（そしておそらく本作以前にもそのような作品があるのだと思いますし、「こいつ何言ってんだ」というご指摘はあまんじて頂戴します笑）。
本作では随所でロックバンド『the Pillows』が挿入歌を手掛けており、作品の世界観を醸成することに成功しています。のちに色々なアーティストにカヴァーされる『ハイブリッドレインボー』や、イントロの入りが完璧な『Funny Bunny』など、FLCLを語る上では欠かせない要素の一つです。