てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ユニークにして出オチではない良作。三国志以上に若手アーティストの青春劇として良し
諸葛孔明が現代日本に転移して若きアーティストたちの夢を叶えるべく軍師(マネージャー)となる。
【良い点】
孔明が渋谷のアーティストの軍師(マネージャー)やる時点で極めて奇抜でユニーク。
シュールな存在感でコメディーとして楽しく、軍略をアーティスト売り出し戦略に応用するアイディアも面白い。
三国志ネタの使い方が絶妙。なるほどそう来るか!と唸らされる。
孔明が素早く順応する事で、ありがちな異文化ギャップコメディーは回避。
軸足をアーティストの青春劇に絞っている。
単なる出オチに留まらず、若手アーティストとの真摯な交流や青春劇としても完成度が高い。
裏表なく純真無垢に夢を追いかけ、孔明を信じるシンガーソングライター・月見英子との主従の信頼感はエモい。
他にもプレッシャーに弱い内面を無理して壊れかけていたラッパーのカベ大人の成長劇、
そして英子の好敵手で歌手の夢より売り上げ重視な大手音楽事務所の意向に苦悩する七海。
1クールで三者三様な若手アーティストの青春模様を後押しして爽やかに描いたのは見事。
後半は三国志要素は薄くとも、人心を巧みに掴む機微は流石は孔明。
特に英子と七海の女性シンガー同士の交流が王道で良かった。
悪徳マネージャーと思われた唐澤も真摯にアーティストを想う人物なのも好印象。
孔明は知略だけでなく、年長者としての圧倒的な信頼感。彼をマネージャーにした発想は素晴らしい。
英子や七海の可愛さも申し分ない。
三国志フリークな店長がいいキャラしていた。
赤兎馬やカベ大人の友人たちなど良キャラ多し。
キャラデザなど作画はP.A.WORKSにしては一見垢抜けないように見えるが、止め絵や歯を見せる眩しい笑顔、ディフォルメ多用の喜怒哀楽など、一目見て英子可愛いと思わせる。
ライブやラップなど要所の見せ場は申し分ない。
楽曲はアーティスト作品として申し分なく、声優と歌唱分けつつ違和感感じさせない。96猫氏見事。
あとラップも良かった。
【悪い点】
殆ど孔明がお膳立てする作劇故か、若干予定調和に思える。
三人の若者が導かれて良い結果に帰結するのは心地良いが、波乱がありそうでいて意外と予定調和。
後半は三国志ネタの外連味が薄れたのもあってか、完成度が高い反面やや盛り上がりに欠いたか。
とはいえ要求水準を厳しく見た場合。概ね面白かった。
ゲリラライブについては、事前に孔明が根回しする描写がちゃんとあるので無問題なはず。
やや分かり難かった模様、分かりやすければ文句なしだった。
【総合評価】8~7点
奇抜に見えて安定感があった良作。
P.A.WORKSアニメとしては異色だったけれど、面白かった。
評価は「とても良い」