芝生まじりの丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
現代版ウテナ
かげきしょうじょ!とかいうのと紛らわしいが別の話。
ざっくり説明するなら、女優養成学園で少女たちが昼は舞台練習を重ねながら、夜に永遠の煌めきを放つ"トップスター"の座をかけて歌って踊って戦う不思議なオーディションに身を投じる話。
キャラデザや第一印象の部分ではアイドルもの系っぽくて眼中になかったのだが、内容を耳に挟んで興味を持ち、実際に見たらかなり面白かった。
幾原の下で働いてた人が監督をしているようで幾原系のエッセンスがかなり強い。ストーリーの骨子もウテナとあまり変わらない気がするので幾原作品とかが好きなら見て損はないだろう。プリンセスチュチュとかも比較的近い。
劇中劇的なノリが好きな人、演出を重視して作品を見るような人にもおすすめできる。
個人的には序盤が一番完成度が高く面白いと思っていて序盤が合わなければ無理してみる必要はない。
演出やアニメーション作品としての表現、話の作り方としてはかなり好きな部類。
1話で最初にレヴューの変身シーン演出から勝利のポーズまでを見せられたときはかなり衝撃を受けた。{netabare}赤バックのアタシ再生産というデザインセンスも良いし、男性的な工業的な服飾の生産と女性的な衣装や化粧の魔力をかき混ぜたような演出も良い。1話は歌との調和もかなりとれていたこともあり倒した純奈の背中を男らしく華麗に抱く華恋ちゃんのところとかもとても好き。男としてそこが萌えポイントでいいのかわからないけど、{/netabare}
また、青春群像としても、夢を追うこと、スターの座を勝ち取ることの残酷さをしっかりと描いていて胸を抉ぐるものがあった。{netabare}これしかないと思って力を傾けてきた努力家が、それでもぽっと出の才能ある人間に簡単に負けてしまう残酷さ、自分にない輝きへの憧れ、時間をかけて努力して、それでも何かを掴めなかった後でくるぞっとするような無気力、夢を失う虚しさ{/netabare}、単に表面をなぞる以上のものを感じられた。なんというか個人的にタイムリーに共感するところがある内容だったというのも大きいが。
一方で、大きな欠点は主人公2人の魅力のないことで、それは特に動機付けが不十分なことに起因している。他の登場人物は動機付けがそれなりに描写できているのに対して「二人で一緒の舞台に立ちたいから」はあまりに弱いし、最後、ひかりが{netabare}贖罪のために塔に閉じこもった{/netabare}のも動機が見えなかった。何度か繰り返し二人の関係性の掘り下げを行おうとはしているのだが、(別でもっと長年の絆の深そうな幼馴染ペアがいるのも相まって)二人の絆はあまり見えなかった。華恋の意欲の変化や、ひかりの舞台への情熱の喪失も心理の機微があまりうまく描けておらずもったいないと感じた。
また、歌劇と言うだけあって、毎回レヴューでバックにキャラの歌が入るのだが、これがわりとダサいと感じるときがあった。キャラ・歌によるのか、演出の仕方の問題なのかわからないが。あと、どうせならもっと殺陣的要素を減らして身体表現や演出の方に重きを置いた方が自分好みではあった。(初期の方が踊ってたと思うが後半は凡庸なバトル調の描写が増えたと感じる)
欠点を重ねて述べるなら正直声優の演技が微妙だと感じる部分があったというのもある(自分はあまりそういうのは気にしない部類なのだが)。例えば声優だけの問題ではないかもしれないが天堂真矢のカリスマキャラとしての風格があまり感じられなかったりとか。
最後にもう一点言わせてもらうなら「スターライトしちゃいます!」という主人公の決め台詞はキャッチーで可愛いが、いかにもアイドルもの的なバカっぽさが強くて個人的にはどうかとも思った。聞いてて微妙に背筋が寒くなるのを感じた。
色々文句も書いてしまったが自分の趣味に合う作品で、個人的にはかなり評価は高い。映画版の続編もあるらしいのでそれもみようかと思う。
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2回目に見たが義務感で見たこともあり、期待を超える面白さはなかった。
ただ、初回のときは終盤のへんで微妙に色々見逃していた箇所があり、スタァライトの歌劇との二重構造とか、ひかりが舞台少女として何を願ったかとかをちゃんと認識できていなかった気がするのでそのあたり理解できたのは良かったかな。
クレールClairはフランス語で光を指しフローラは花の女神である。