「無職転生 ~異世界行ったら本気だす(TVアニメ動画)」

総合得点
90.3
感想・評価
1085
棚に入れた
4510
ランキング
56
★★★★☆ 4.0 (1085)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

キョンくんてんせーい

『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』(むしょくてんせい いせかいいったらほんきだす)は、理不尽な孫の手によるライトノベル作品『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』を原作としたテレビアニメ。第1期は分割2クールで、第1クールは2021年1月から3月までTOKYO MXほかにて放送された(wikipedia)

まず初めに総評。面白いか面白くないかで言えばそれなりに面白いです。ただその内訳としては作画が4割、主人公の独白4割、ストーリー自体は2割程度と言った印象。とはいえ原作が2012年9月から始まったという点は考慮しないといけないのかもしれません。良くも悪くも「「小説家になろう」の主流である、異世界に転生した主人公が現代の知識や魔法を使って無双する設定のハイ・ファンタジーの先駆者的作品」という位置づけであるらしく、粗削りなところはある程度仕方がないのかも。

全体的な流れから言えばあまり論理的な作りではなくどちらかというと勢いで乗り切っていくタイプ。異世界転生自体は差し置いて、1クール中にも二度テコ入れしたのかと疑わせるような唐突な展開がありました。「なろう」なので人気獲得のために行ったのかもしれませんが、当時の様子を知らないのでこの点は何とも言えず。

物語はまず現世での主人公から幕を開けます。20年もヒキニートをやっている筋金入りのようですが、そうなるに至るにはあまりある同情の余地があります。彼は「クズ」との触れ込みですが、家での態度はともかく現代的な視点で見れば適切な治療を受けさせる必要があると判断されると思います。逆に言うとこの作品が書かれた2012年辺りはまだそういった風潮がなかったということなのかもしれません。作品の時代設定がどのくらいかわかりませんが、中学生がガラケーを持っているところを見てもミレニアム以降なのでしょう。もっともあの描写自体はアニオリなのかもしれませんが。(wiki見ると高校生とありますが……20年って言ってなかった?概算?)

さて、「クズ」な彼は両親の葬式にも出席せず自室にこもって悠々自適の生活を送っていたところ、おそらく親族だと思われる人々から襲撃を受け強引に外へと追い出されます。
描写の様子では主人公は両親の死を自覚していません。しかしながら葬式をしているということは通常死後二日は経過していると思われます。もっとも最近では死の翌日にはもう葬式を行うケースもあるみたいですが、いずれにしろ床ドンして食事が出てこないのによくキレもせずお腹もすかせなかったなと思います。
「クズ」な彼が電話も出ず両親の訃報に取り合わなかった可能性は高いです。しかし親族にしても家に入り込めるならまず彼を葬式に引きずり出す方が普通だと思います。なのにそれもせず部屋を荒らした挙句に追い出すとは……これは作品的には「クズ」を引き立たせるためのシーンなのでしょうが、結果的に死なせた(仮に死んでなくても重大な事故に巻き込まれた)以上親族もタダでは済まないんじゃないでしょうかね。明らかに部屋を荒らした痕跡までありますし、後は実行犯だけか全員で話し合っての結果かで揉めそうです。
実行犯が兄弟なのかただの親族かまではわかりませんが、あの様子だとご両親遺書も用意できてないでしょうし、ということはあの家に関しても主人公の相続持分はある筈で、そもそも強引に追い出す権利があるのかどうか。仮に遺書等含めてあったとしても、もう20年も外に出ていない状態の人間を突如「野に放った」ことになるんですよ。トラック側からすればそこを主張するでしょうね。本来なら避け切れたところを主人公が予期せぬ行動を取ったからハネたとか何とか。
作品の描写上はどうしようもない「クズ」が義憤に駆られた親族によって追っ払われた、よって自業自得というようにも映りますが、客観的に見ればどうしたって相続の問題が絡んでいるとしか思えません。そんな状態の主人公を外に出したら遅かれ早かれこういう結果になることは目に見えていたのにわざとやった、つまり初めから殺意があったみたいな感じで言われるんじゃないでしょうかねえ。あの家に同居していた兄弟とかなら話は別でしょうが、親族がいくら「家にこんなのがいて困ってる」みたいなことを涙ながらに訴えても情状酌量の余地は多分無いんじゃないんでしょうか。結果的に主人公は期せずして強烈なカウンターをお見舞いした形となっています。今後この親族に平穏が訪れる日は当分無いでしょう。
ここまで(つまり親族もまた「クズ」であり、そして自業自得であるというように)計算して作られていたのなら大したものですが、正直自分にはこの時点で細かいディティールにはこだわらずに感情に訴えるシーン重視の作品なのだろうなと見受けました。

転生そのものについては今更どうこう言う事はないでしょう。ひょっとしたら最後の善行に異世界の「悪い龍神」が応えたのかもしれません。また転生後まで人格と記憶を保持し、母親に対してはエロい気分にならない一方赤子であるのに性的なことに興味津々なのもこの際とやかく言いません。父親のパウロに対してネット的な「はい論破」のノリで言いくるめてしまうのもアリでしょう、特に彼は剣と女のことしか頭にないテストステロンお化けですから少々の屁理屈で丸め込まれるのもある意味リアルと言えるのかも。
なのでルーデウスがまだ7歳でありながら5年も遠くにおいやられたとしてもおかしくないと言えるでしょう。パウロからすれば折しも二人子供が産まれたことですし一人ぐらい減ってもどうということはないwぐらいの感覚だったのかもしれません。実際問題幼い子供を旅立たせるといった事もこの異世界では案外普通のことなのかもしれませんが、いずれにしろ男子が本家に持っていかれるような権謀術数渦巻く伏魔殿に我が子をわざわざ送り届けるわけですから実にパウロらしい浅慮だと思います。ただ、物語の展開としてはやはり唐突と言わざるを得ません。
二度目の唐突な展開は唐突に現れた空に浮かんだよくわからないモノが唐突に暴発して唐突にエリスごと魔大陸に送られるというもの。あれを唐突に出すということはそのタイミングに意味があると思いたいですが、そうでないなら書籍化にあたって当初からあった、みたいな感じにして欲しかったところです。
そういえば父親のことばかりとやかく言っていましたが、このルーデウス君も中身は所詮元ヒキニート、せいぜいネット論破しかやってこなかったせいか立てる作戦がとにかくザルです。恐れられし「スペルド族」のルイジェルドを街で受け入れさせるため彼の取った作戦が「偽装したルイジェルドをスペルド族だとあえて誇張することにより偽物と思わせ安心させる」というもの。結果的にはそれ自体は上手く行きますが、そのせいでむしろ余計な危機を招くという本末転倒もの。更には恩を売るために別チームを助けるのをじらした挙句無意味に一人を殺してしまうという始末。ただこれ自体は皮肉ではなく展開としては特に間違ってないと思います。というのも、この作品おそらくテーマ自体は「異世界行ったら本気だす」という点で現状徹底してると思われます。なので、初めから無双決め込まずにポカやらかしまくるのはむしろ評価ポイントです。

さて1クールはこれで終わりましたが差し込まれたシーンを見るに原作を相当はしょってるんだろうなという気がします。本作は「なろう」異世界転生もののパイオニアであるにもかかわらずここまでアニメ化が遅れたのは尺配分の難しさみたいなものもあったのかもしれません。
ただどちらかというとエロ描写の方が障壁になってたんじゃないでしょうかね。正直あのような年齢設定の人物相手にセクハラどころかワイセツを行う描写が現代の地上波でやれるとは思いませんでした。しかもルーデウスの中身は事実上40代、アニメ化に中々ゴーサインがでなかったのもそれが理由なら納得です。
……逆に言うと何故今になって出来たのでしょうね?

ところで今更ですが、我々世代からすると主人公ルーデウスの心の声は「涼宮ハルヒの憂鬱」でおなじみの「キョン」くんのものにしか聞こえませんでした。しかもエリスのキャラはどことなくハルヒに似ていますし父親のフィリップの声が古泉と同じと来るもんだから特にです。果たして2クールには長門と朝比奈さんも登場するのでしょうか、こうご期待(?)

最後にメイドのリーリャさん。不貞を働いたことはともかくとしてあのタイミングで妊娠告げるってそれはないでしょう。マウント?あてつけ?そーいうの止めましょうよ(;´Д`)あーいう場合まずは不倫相手とこっそり打ち合わせをして……って、そういう問題じゃない?
まああんなえちえちなのを一つ屋根の下に置いてるゼニスさんの脇が甘すぎなのも確かですが。まさかお宅の旦那の手癖の悪さ知らないの?過去既に二人が関係持ってたことも?

投稿 : 2022/08/27
閲覧 : 240
サンキュー:

20

無職転生 ~異世界行ったら本気だすのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
無職転生 ~異世界行ったら本気だすのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

エイ8が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ