てとてと さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
韓国のゾンビパニックホラー映画。ゾンビ物としてはギリ及第点だけど、社会批判と娯楽性が噛み合わない
ソウルでゾンビバイオハザード発生して風俗嬢やホームレスが逃げ惑う感じの92分のゾンビ映画。
「フェイク~我は神なり」のヨン・サンホ監督作品、実写映画の前日譚との事。
【良い点】
ゾンビパニックホラーとして王道な怖さやパニック感あり、ゾンビ物として普通に面白かった。
予定調和ではあるが期待は裏切らない。
作画もソウルの雑踏の描き込みや路地裏を立体的に逃げ回るシーンなどアニメ的な見応えもあり。
ホームレスや風俗嬢など底辺層に冷酷な社会情勢や人間模様を徹底的に描いている。
こういう生々しさは不愉快ではあるが真に迫っているのと、キャラがクズなのが許されるジャンルなためか、お約束と見ればギリ許容範囲だった。
ゾンビパニックホラーという題材を免罪符としてうまく使った印象。
キャラの言動や行動が愚かなので、不謹慎ではあるがギャグめいて笑えるシーンちらほら。
ゾンビが迫ってきたと思いきやヒステリーおばさんだったり、折角安全な救急車に救助されたのに暴れて台無しなど。
シリアスな笑い。
テーマというか監督が描きたかったのは(他の方々も書かれている通り)ゾンビではなく、冷酷で狂った社会への批判と思われ。
ホームレスが「国に尽くしてきたのに云々」と国への不満言って射殺されたり、軍や警察が平然と市民撃ち殺したり、徹底して社会(国家?)への不信と怒りを感じる。
描きたいテーマが一貫しているのは見事。面白いかはともかく。
【悪い点】
ゾンビ物としては予定調和で単調。
立て籠もったり、コミュニティー崩壊したりなどのキャラドラマが乏しい。
そもそも、ゾンビを娯楽作品として楽しませようという意欲が無い。
ゾンビパニックをダシに社会批判や人間批判に偏執する作風、楽しかろうはずがない。
善意を徹底否定。誰か助けようと善意見せた奴から死んでいく。
勧善懲悪のセオリーに反するので楽しくない。
社会批判はいいが、個々人の善性まで全否定する意味が分からない。
社会(韓国?)へのドス黒い怒り憎しみをひたすら表現した作品の凄みは理解できるが、共感は難しい。
キャラに共感できない。
単に性格悪いならいいが、皆エゴ一辺倒でキャラ描写が単調。
この点は同監督の「我は神なり」はクズなりに人間の切実な弱さ活写していたのに比べて雑。
おじさん途中まではボーイフレンド助けてたのに終盤豹変してたり。
ゾンビパニックというジャンルならば許される免罪符が悪い面にも出た感じ。
ヒロインが全く可愛くない。
そういうの求めてないのは分かるが、娯楽映画としてはイマイチな点。
【総合評価】3~2点
レビュータイトルの通り。
やりたい事は理解するし素晴らしい力作だと思うけれど、面白くはなかった。
同監督の「我は神なり」の方が不愉快ながら魅力感じる、ソウルステーションはなまじ娯楽性求められるゾンビ物なのが求めてるのとは違うと思った。
「我は神なり」は視聴後得るものがあったけれど、ソウルステーションは虚無感。
評価は悪いは付けづらいので「普通」にしておく。