てとてと さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態：観終わった

疑似家族演じさせられる狂気のホームドラマ。支離滅裂だけど自分は好き

偽の記憶与えられ家族を演じる男女が、外の世界でホームドラマとして中継されるが実は…な感じの狂気的ディストピアSF?
1話25秒で全53話合わせて28分31秒。
佐藤大氏の脚本家デビュー作との事。
※作品データベース様より転載

【良い点】
まるで危険ドラッグ中毒で悪夢の幻覚に囚われているかのような、狂気的な作風。(無論自分はドラッグなど知らんので、例え話)
25秒の超短編を脈絡無く流していく特異な構成も、混迷を深める一方で、その狂気と混乱を助長するのは作風に合っていた。
狂気とディストピア感満載な映像も見応えあり、奇麗ではなくとも引き込まれる魅力を感じる。一種の映像芸術。
作風は全く違うけれど2020年の「アクダマドライブ」的なディストピア感。
故・広瀬正志氏はじめ豪華声優陣。

アメリカ映画「トゥルーマン・ショー」に先駆けた設定。
永久家族 1997年4月
トゥルーマンショー 1998年6月5日
トゥルーマン・ショーが真実の愛と自由の尊さ的なテーマはっきりしているのに対し、永久家族は狂気の中に家族愛と一抹の切なさ。
設定は似ていても、作品に込めたテーマは差別化出来ていて、前後云々に拘る事はあるまい。

前半は狂ったキャラたちが悪夢のような日常を脈絡も無く繰り返し意味不明ながら、狂気のホームドラマ?
後半、視聴者に真相が判明、永久家族を再び閉じ込めようとするTV局?の魔の手やら、市民と家族の狂騒が続く…
前半は戸惑うが、後半から本作のコンセプトが何となく分かる構成は上手かった。
狂っているのは永久家族だけでなく、この世界全てが狂気。
記憶も人格も狂い狂騒を続ける最中、偽りの家族が引かれ合い引き裂かれる様は滑稽にして、一抹の切なさを感じさせる。
全編通して悪夢の如く脈絡無く分かりづらいが、通して見れば、何となくテーマは家族愛的なモノなのでは?と。
ストーリー性やテーマ・メッセージは明快ではないが、映像に込められた意図は、何となく分かる気はした。

【悪い点】
非常に難解。支離滅裂と紙一重、分かり易いドラマ重視する視聴者にはとっつき難いと思われ。
何となく家族愛的なテーマは感じるが、それをドラマに出来ているかといえば脈絡が無さ過ぎる、やっぱり難解。
全員重度の狂人なのもあり、感情移入が難しい。
結果、何となく凄いモノを見た…とは感じても、凄く良かった!かはよく分からない作品。

【総合評価】7点
面白くはないが、魅力感じる、狂気的短編アニメ。
考えるな感じろ、けど少し考えさせられる。
好みが割れそうだけど、映像作品としては非凡だと思う。
評価は悪い系からとても良い、いずれも当て嵌まりそうだけど、「良い」で。