てとてと さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
子供向けめいた楽しく優しいドタバタコメディー紀行
最強オレ様系な魔王の息子、天然ボケだけど愛の見習い天使、いい性格してる小悪魔娘が、魔界を旅する。
魔王だった父を毒殺され、その間眠っていて目覚めたら魔王の座狙う悪魔たちの賞金首にされていたラハール王子が、オレ様こそが魔王だ!と魔王城目指す道中記。
バトルもするが大半はギャグコメディー時々ハートフル。
【良い点】
深夜アニメよりも、朝夕に1年スパンで放送する子供向けアニメっぽい持ち味がある。
素朴で可愛らしい絵柄やコミカルな掛け合いが楽しい。
行く先々で悪い悪魔とバトルするがノリがコミカル。ペンギンぽい使い魔プリニーの存在感も良し。
ドタバタコメディーやギャグのノリが良くも悪くも子供向け?またバトルが不殺なのも良い。
ロケット団めいた地球勇者一味などテンドンネタ多用したり、コントめいている。
9話以降一気にシリアスになるが、ラハール王子が無敵なのと、ヒロイン組の呑気なボケツッコミなどでコミカルさ維持。
シリアスも序盤から丁寧な伏線があり唐突感は少ない。
キャラが可愛く魅力的。
ラハール王子は最強オレ様系のお子様、愛を否定し悪ぶっているが、子供っぽいワガママさの中に優しさ秘める。
最強の力で唯我独尊しながら随所に可愛げ見せた。
部下のエトナの反逆心を分かりつつ受け入れる、大魔王バーンめいた器。
天然ボケお花畑だけど、愛を解く慈愛は本物なフロンちゃん、
腹黒小悪魔エトナちゃんどちらも非常に可愛い。特にエトナみたいなちゃっかりしてる小悪魔系は稀有。
フロンちゃんがボケて意外と常識人?なエトナちゃんが冷静にツッコミ入れるパターン。
ラハールとの交流と絆もコメディーしつつ深まり、終盤ドラマもよかった。
ドタバタコメディー道中記やりつつ、全編通してのテーマや脚本も完成度高い。
序盤から随所に伏線あり、後半終盤綺麗に纏まっている。
完全にギャグ要員と思われた中ボスが、実はラハールの母への想い秘めている重要キャラなのは7話で匂わせたり、8話プリニーたちの反乱回で姉御肌プリニーが実は…などなど。
「愛」、特に親子愛を前半のドタバタコメディーから後半シリアスでしっかり描いた。
ラハールが愛を拒んでいた理由もちゃんと明かされ、序盤から愛を説いていたフロンちゃんの言葉が単なるお花畑ではない真摯な想い込められている事、フロンの影響や旅を通して愛を知っていく。
4話のゲストキャラ父子の親子愛エピソードが分かり易い、他にも随所に父母の愛を示唆するエピソードがある。
雑魚ギャグ要員と思われたプリニー(ペンギンぽい使い魔召使い)たちが、本作の世界観で重要な存在だと明かされる11話が印象的。
魔界、人間界、天界の三世界が絡むディスガイア世界を、輪廻転生で結ぶ存在がプリニーだった。
これを踏まえると俄然世界観に深みを感じる、8話含めたコメディーも見返すと(そういうことだったのか)と。
11話の母の愛はかなり泣かせるが、唐突と思いきや実は序盤から丁寧に構成されていた。
最終話の結末も世界観を活かしたハッピーエンドで後味良し。
キャラデザは素朴な子供向けぽく一見綺麗ではないが、エトナちゃんの小悪魔的な感情描写は他で中々見ない可愛さ。
主題歌もテーマをきちんと歌い上げていて好印象。
OPが分かりやすいが、EDも最後まで見れば世界観に根差している。
【悪い点】
コントのノリがやや好み割れそう。
テンポ自体は良いが、テンドンなコントも多いのをどう見るか。
愛を嫌うラハールがフロンの影響で徐々に、という流れは分かりやすいが、ラストで命と引き換えにする程大切な存在になっていたかはやや弱かったような。
無論泣かせる名場面ではあるが。
大天使ラミントンが報い受けていないのが釈然としない。
ここら辺の経緯に関してはラミントンや中ボスの掘り下げ不足。
【総合評価】8点
UHFアニメで放送圏が狭かった為かマイナーだけど、2006年の良作の一つ。
深夜1クールなのが勿体無い魅力あり。
評価は「とても良い」