「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中(TVアニメ動画)」

総合得点
69.9
感想・評価
309
棚に入れた
982
ランキング
1681
★★★★☆ 3.3 (309)
物語
3.2
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.3
キャラ
3.4

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ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

観終わった

まず最初に“勇者、辞めます”でも書いた文章なんだけど、共通した感想だしこれを踏まえた上での更なる感想って構成なので、勇者辞めますの方を読まれてない方はご一読して頂けると幸いです。
{netabare}
2022の4~6月に放送された作品のうち、複数に共通して「ん?」と思うことがありまして…いや実際は前からモヤっとしてたことがあって、それが確信に近付いたというか。
複数の作品にまたがった感想なのでどこに書けばいいのやら、また、どの様にまとめればいいのやら分からなくて、とうとう投稿するのが8月になってしまいました。
まぁ要はなろう『系』作品、“史上最強の大魔王、村人Aに転生する”“骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中”“乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です”そして厳密にはなろうじゃないけど「系」ってことで“勇者、辞めます”(ついでに“このヒーラーめんどくさい”)含め、これらに共通して思ったのが──

序盤「なんだこりゃ?」と顔をしかめる内容だけど、途中からマトモorマシになる

これは…“スライム倒して~”で痛感したことなんだけど、作者目線で考えたら、web投稿作品はとにかく閲覧してもらわないことには何も始まらない。
なので最初はプライドや拘りなんかかなぐり捨てて、とにかく注目を集めそうなその時の流行りのネタを散りばめて、閲覧数が目標(いくつに設定してるか知らんが)に達しなかったらさっさとボツにして次の注目を集めそうなネタでまたスタートを繰り返し、閲覧数が目標に達したらそこでようやく「とっておきの温めてたネタ」を始める…という方法が通例化してる?
そりゃあ書き出し時点で人気が無く、今後伸ばすのが難しそうな作品に「とっておきのネタを使え」と言うのは酷っちゃあ酷ではある。
だけど、既にある程度の人気が獲得できてる前提のアニメで「注目を集めそうなその時の流行りのネタ=くっそつまらんパート」をまるっと再現する必要はあるんだろうか?
──と考えたら頭をよぎったのが“クマくま熊ベアー”。
あのアニメは序盤ヘンテコな構成になっていて「どうしてこんなことを?」と不思議だったのだけど、ひょっとしたらアニメスタッフが必死に「くっそつまらんパート」をどうにか見れる形にしようと足掻いた結果なのかも知れない。
ただ、くまクマ~は個人的には中盤以降も「う~ん」って出来で途中脱落しちゃったんだよねぇ…。

あくまで「とっておきの温めてたネタ」は便宜的にそう言っただけで、ロクなアイデアを持ってなさそうなのも居るってのがこれまた厄介でして。
テキトーに始めたら閲覧数稼げちゃって、①そのままテキトーに続ける、②どうしようどうしようと迷う、③よっしここで温めてたネタを使うぞと真面目に取り組む…とタイプが別れるんだと思う。
さすがにアニメ化までなる作品は2・3番目が多いと信じたいけど、1番に該当する(と思われる)のもそこそこあって…結局、ある程度まで見てみないと分からないってのがなかなか大変なトコロ。
{/netabare}

で、この作品単体での感想~。
原作未読。
最初の印象としてはオバロの二次創作かな?と感じはしたもの、そこまで悪い印象は無い。
なんせOPの出来が良い。
テレビアニメはたまに「何故か最終回だけOPにSEを付ける」ことがあるけど、こっちは1話のOPからガッツリSE入り。
個人的には途中からSE入りにされると妙に違和感を覚えて──違和感を通り越して拒否感になってしまうことも──どうせ入れるなら最初からにしてくれと思ってたのでこれは助かる。
それになんか…懐かしいw
でもってOP最後の方、ヒロインらしきキャラが荷車にしがみつきながら振り回されて、最後目を回して伸びてる絵で終わるんだけど──
これは以前何かの作品の感想で書いたが、「ヒロインにはみっともない姿(残酷な姿とは別)をさせない」という強烈なバリアーをスタッフが施してるのを感じる作品ってありまして、そういうのってどうにも苦手。
個人的にはヒロインだろうが三下だろうが依怙贔屓せず同じ人間として扱って欲しい、ってかそうじゃないと「コイツは安全」が約束されててハラハラが無くなっちゃうじゃん?
なにより「みっともない姿を描くとヒロイン性(美少女性?)を損なってしまう」「どう?可愛いでしょ?可愛いでしょ?それ以外の部分は見るな」という作り手側の傲慢を感じ取ってしまい興醒めしやすい。
そんなのを見透かしてか、こっちではそもそもヒロインがOPでキメポーズしてるカットすら無い。
せ、攻めるなぁww


と、そんな感じでOPの力で結構好意的からスタートの本編の感想。

一応「魔物を暴走させる謎のリングとは一体?」という漠然とした陰謀は匂わせつつも、最初の頃は旅行く先々で悪人を退治する一話完結型の時代劇をイメージしてたんじゃないかな、“三匹が斬る”みたいなの。
けど人気が出たんだか欲が出たんだか、途中で急遽路線変更して連続モノへと舵を切った様に見受けられる。

そう思わせたポイントはまず4話、チヨメから受け取った悪事の動かぬ証拠となるエルフ売買契約書を、アリアンに何処で手に入れたのか尋ねられたがアークはその瞬間しらばっくれる。
じゃあ情報の行き違いから(協力者と知らず)チヨメとアリアンが一戦交える展開でもあるのかな?もしくはもうちょい規模をデカくしてエルフvs刃心一族による一触即発の危機になったりするのかな?
と思ったらそんなことは無く、8話でアッサリと明かして協力関係に。
「おいおいこれじゃあ何のために4話で勿体ぶったんだ?ってか4話から8話まで引っ張るネタか?」と思ったが、ひょっとしたら4話の構想段階では登場させる予定は無かったが、書き上がる頃には連続モノへ方針転換することになって強引に捻じ込んだ?
次の展開への伏線として後付けで配置したというか、まぁ付け焼刃感が強い。

次に、話数前後して3話、エルフ狩りをする賊を退治する訳だけど、その時ウドランを叩きのめしたハズなんだが…その後どうした!?
ザコと一緒に始末するなり、どう見てもリーダーなので締め上げて他のエルフの輸送先を聞き出すなり、やるべきことは色々ありそうな所をこれといった描写の無いまま3話は終了。
敢えて触れないってことは画面外で殺したのかな?と思ったら5話でシレっとディエント領主城へ戻ってやんの。
どういうこっちゃ?おめおめと捕り逃した??
3話段階で尋問すりゃ4話でチヨリと遭遇する必要も無かったのに…と考えると、むしろ遭遇させるために展開を無理に捻じ曲げたかの様。

繰り返しになるけどこの作品は最初は第2話のような一話完結型で、エルフ狩り云々の件も「ディエント編」で5話でひと区切り、次の土地では新たな悪代官を出してそれを退治する(それを繰り返す)──って方式のままだったら気にはならなかっただろう。
ほら、一話完結型の時代劇って「前回代官が殺されて大事件になってるハズなのに、次の週にはそんなことまるで無かったかの様に始まる」という現象がよくあるじゃない?あれにいちいち突っ込まないのと同様。
が、この作品は路線変更して連続モノにしようとして、変な歪みが発生してしまった。
冒頭のコピペ部分の①②③の分類にかけると、②かなぁ、と。
単体話をやめて連続話にしようとして、一話完結型時代劇へのツッコミネタ「代官を倒したらメデタシメデタシでは終わらんだろー」に安易に手を出してしまった、そんな感じ。
なにより愕然としたのが11話、アークが魔獣呪術師フンバと遭遇して「なんなのだこ奴は?捻り上げて情報を吐かせよう」と言うんだよね…。
3話でやれ3話で!
3話のウドランの件を気にしない様にしようと努めてた自分をおちょくられた気がして悲鳴上げたよ。
未読だが原作が路線変更すること自体は構わない、けどアニメはもうちょい地均しできんかったのか?3話で捕り逃したことを反省するシーン入れるとかさ。
ここら辺の統一性の無さはホントいただけない。


そして統一性の無さとして致命的に感じたのが…主人公はこの世界をどう捉えてるんだ?
現実なのか、ゲームの中なのか。
同期放送に“乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です”があったせいで余計に際立っちゃったのかも知れないけど、目の前に居る人物はプログラムなのか自我を持った人間なのか、もしくはそういう線引きをしないタイプなのか、それが全然分からない。
8話、宿屋で刃心一族の説明を受けて「600年前にもこの世界に迷い込んだ日本人が居たということか?」と驚き、更に後半森にて六忍の説明を受けて感動をする…あれ?なんか違くね?
驚いたってことは「忍者」はやり込んでたゲームには無い職業ってことだよね?
じゃあ「オレのやってたゲームには無かった設定だ」と恐怖を覚えたっていいじゃない、のほほんと旅が出来てるアドバンテージが揺らぐ出来事ちゃうんかい。
リクションがあまりにお気楽すぎて「さすがにそれは無い」と呆れた感情が先に出た。
「やり込んでたゲームのスキルが存在する異世界へ転移した」って設定が完全に死んでる、路線変更するにしてもこの設定は忘れちゃいけないと思うんだけどなぁ。
いや、忘れるなら忘れるで刃心一族の話を聞いてリアクションするシーン入れるなよと、中途半端。
よくよく考えるとケモミミ忍者が不必要というか、作品に馴染んでないというか、思いついたのをただ入れただけ感が強い。

こういうことの積み重ねから「あんまり考えてなさそう」って印象は強まり、王位継承がどうこう呪いを解く手がかりがどうこうといった話も茶番にしか感じなかった。
凄い乱暴なことを言ってしまうと、どうせアニメは途中で終わるんだし(その後の責任なんてどうでもいいので)、そこら辺もっとハッタリ利かせても良かったのでは?
あわよくば続編を~みたいなスケベ心が垣間見えるというか…事情は分かるけどさぁ…。


ってことで総評。
OPは好きだしアニメスタッフは頑張ったと思うのだけど、それでも力及ばず。
路線変更は致し方ないとしても統一性の無い取ってつけたようなエピソードの連続で、興味を維持するのもひと苦労。
完走できたのはOPで萎えかけた興味がリセットされたお陰といっても過言ではない。
OPを見てビビっと来なかったなら見なくて良いんじゃないかな。

投稿 : 2022/08/10
閲覧 : 201
サンキュー:

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