てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シリアスな錬金術抗争やりつつ、本命は優しいハートフル。児童文学寄りな良さ感じる?良作
平和な街や商店街の住人たちと、若本ボイスの超強い石像が交流したり、錬金術絡みの陰謀と戦ったり。
ハートフルコメディーな雰囲気だけど、かなりシリアスな内容も。
【良い点】
見た目石像、若本規夫ボイスの威厳、超絶戦闘力なガーゴイルのユニークさ。
この絵面と声そして平凡な街や家庭に馴染んでいるシチュエーション自体がシュールで面白い。
呑気なコメディーと思いきや、ほぼ全編に渡りシリアス、話の内容が良く外れ回が無い。
錬金術(魔術みたいな?)絡みの陰謀やバトルが激しく目が離せない。
無敵の石像が立ち向かう頼もしさと絵面のシュールさの他、ハートフルなキャラドラマも真剣。
吉永家の主役な双葉(小学3年生)、その友人のミモリちゃんと、父の盲導犬エイバリー少尉(後に中尉)の真剣なドラマなど、序盤からかなり泣かせる。
ミモリが賊に遭遇する危機に吠えず、ミモリの信頼を失った忠犬エイバリー少尉の本心…
優先するのは誰かを守る事、その冷静な判断と在り方は、ガーゴイルに影響を与えた。
造られしプログラム思考で融通の利かないガーゴイルが、エイバリーや双葉たち街の住人との交流で成長する話でもあり。
序盤エイバリー少尉のエピソード、次の錬金術の被験体として育てられた薄幸のリリちゃんと彼女を救おうとする怪盗百色の交流、7話のAiロボット・デュラハンとリリのハートフルときて、終盤悪の命令に染まったケルプ(ガーゴイルのライバル)がガーゴイル打倒以外の命令受けていない故に生身のエイバリー中尉ら動物に敗れる展開、一連のエピソードで「作られし命とアイディンティティー、本当に守りたい大切な想い」辺りがテーマとして明確に込められていた。
なんでもアリな展開に見えるがテーマに纏まりがある。
6話の植物を擬人化視点で会話できる機器での双葉と花の少女との交流が白眉。かなり泣かせる。
花少女役が故・松来未祐氏というのも泣かせる。
人間は植物の声が聞こえない故に生きていける、という視点は鋭かった。
シリアスに一切手を抜かないにも関わらず、ご町内ハートフルコメディーの優しい気風に包まれているのも魅力。
シリアス7コミカル3くらいなのに、コミカルでハートフルだったかと錯覚する。
ここら辺が不思議な作品。
うまく言えないが、ライトノベルよりは児童文学的な優しみを感じる。
吉永家や商店街住人などのキャラが良いためか。
序盤地味だった兄が終盤妹以上に存在感見せたり。
胡散臭いインド人錬金術師ヒッシャムが特に面白く、中盤以降の面白味を支えていた。
声優陣は若本ボイスのインパクト大。
OP主題歌「オハヨウ」が優しくハートフルでテーマに沿っている。
【悪い点】
ハートフルコメディーの皮を被って終始シリアス。
絵柄やキャラを見てお気楽さ期待していると思いのほか重くて面食らう。
良い作品ではあるが、やや疲れる。
錬金術絡みの陰謀劇や関係者のドラマも中途半端。
ここは本題ではないとはいえ、ガッツリとシリアスに絡んでくるので、ここが手薄なのは物足りず。
魅力的キャラは多いが、キャラ個別の交流掘り下げはやや弱い。
双葉ちゃんは花子との交流あるが、ミモリちゃんは序盤のみ、リリちゃんも見せ場はあるが双葉やミモリとの絡みが薄い。
怪盗百式やイヨも含めて、折角の良キャラを十分掘り下げる暇が無かった。
1クールしかない尺でシリアスに忙しかったのもあってか、群像劇としては勿体無かった。
終盤のデパートと商店街対決がうやむや。
父の友人とのドラマが中途半端。
兄と後輩ちゃんのラブコメとか、終盤詰め込み気味。
キャラデザがラノベというより児童文学寄りな素朴さ。
それ自体はむしろ好ましいが、絵的にキャラ萌えできるタイプではない。
吉永家がハンコ絵で区別付きづらかったのも難。
【総合評価】7~8点
2006年の隠れた人気作?
本サイト含めて各所で好意的評価が根強い印象。
確かな魅力あり名作といって差し支えないけれど、絶賛するには色々惜しい。
こういう作品は昔ながらの長期放送で持ち味が増していくタイプ、1クールの制約が残念。
評価は良い寄りの「とても良い」
※セレナーデ氏のレビューがとても参考になりました。
【余談】
意外とシリアスバトルなのにハートフルコメディーといえば「我が家のお稲荷さま」も似ている。
刊行はお稲荷様が少し早い。アニメ化はガーゴイルが先。