てとてと さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
イタリアの児童文学原作の仏伊合作映画、82分。面白いかは分からないが含蓄がある?
旅芸人の親子が老熊に語り聞かせる形式の童話調の物語。
前半は親子が語り、熊王が息子探しに熊一族引き連れて冒険、後半は人間の街の王になった熊王と人間に染まった息子の話を老熊が語る。
【良い点】
欧州の童話、欧州版昔話みたいな語り口と雰囲気。
特徴的な作画やイタリア?フランス?(詳しく知らない)の民謡?に乗せて旅芸人の軽妙な語り口やミュージカルとも少し違うが吟遊詩人の吟遊めいたノリが独特で引き込まれる。
良くも悪くも日本アニメとは異質な趣。
後半の海蛇とのバトルはかなり迫力あり。
前半は息子攫われた熊王がクマ一族連れて冒険遠征、悪い人間領主の軍勢と戦争したり、怪物とバトルしたり。
良くも悪くもクマらしくなく、武器使ったり地の利活かしたり、戦争シーンがコミカルで面白い。
魔法使いや怪物など西洋ファンタジーの童話らしい展開で飽きさせず。
後半(42分頃)から今度は老クマが芸人親子に続きを話してくれる第二部。
息子トニオが主人公、おそらく後半が本題。
人間の政治権力や欲望に染まっていく熊たち、自然と人間の関係がテーマ?人間といすぎちゃダメ?
魔法や陰謀絡みの波乱ありつつ、ラストはクマも人間もいるべき場所へ的な結論に。
本作のクマは良くも悪くも人間と変わらないのもあり、異なる民族間の確執的なテーマも感じる。
シチリアのマフィアを思わせる悪い熊とか、イタリアらしさか。
親しみやすく飽きさせない物語展開から、色々とメッセージを感じさせる内容だった。
ラストは老クマが芸人少女に耳打ちでこっそりと本当の結末を教えるが、内容は父と視聴者には開示されない。
あえて全てを語らず、果たして本当の結末とは?想像の余地を残す。
少女の楽しそうな様子からして、ポジティブな結論だったと思われ、後味良し。
おそらく、老クマはトニオだと思われる?が、そこも視聴者に想像させる辺りが上手い。
視聴者(読者?)に考えさせようとする作劇は良いと思った。
【悪い点】
あんまりクマである必要なくね?と思ってしまった。
良い点と裏腹、テーマやメッセージを込め過ぎている。
別に説教臭いわけではないが、なんというか、西洋的な欺瞞を少し感じる。
人間らしさをネガティブに捉える視点ばかり、トニオと女の子の交流で多少は人間の良い面も見せてほしかった。
人間もクマ(自然?)もかくあるべし?児童文学の良し悪し、ちょっと面白味が無かったかなと。
【総合評価】6~5点
面白い事は面白いんだけど、西洋児童文学のニガテな要素も否めない。
後味が良いはずなのに手放しで絶賛できないというか…
評価は「良い」