エイ8 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
非モテ陰キャじゃない和泉くん
『可愛いだけじゃない式守さん』(かわいいだけじゃないしきもりさん)は、真木蛍五による日本の漫画作品である。
2022年4月10日から7月10日まで朝日放送テレビ・テレビ朝日系列『ANiMAZiNG!!!』枠ほかにて放送。(wikipedia)
意外と言っては失礼かもしれませんが、思った以上に出来の良い作品でした。ぶっちゃけ〇〇さん系の中では自分至上一番でした。ラストはやや予定調和的で盛り上がりに欠けましたが、せっかくなのでお気に入り棚に追加しとこうと思います。
最初はよくある軟弱男子がしっかり者女子に世話焼かれる話……と思ってました。ええのうワシの世話もお願いしたいもんじゃのうデュフフwとかいう下心で観ようと思ってたのですがコレ少々趣が違いましたね。
主人公の和泉くん、確かに表向きは「〇〇さん」系随一と言っていいくらいヒロインの式守さんから世話焼かれっぱなしなのですが、ただ彼はレビュータイトルでも書いた通り非モテでも陰キャでもないんです。イケメン設定というほどでもないのでしょうが、式守さん狙いで他のクラスから押しかけて来た女子達からの反応も「かわいい」というもの。ありがちな「え、何でこいつと付き合ってんの?」「釣り合わねー」っていうタイプじゃないんです。和泉くんはどちらかというと少女漫画系にありそうな「薄幸の美少年」だとか「呪われし王子さま」的ポジションに近い気がします。それでいて式守さんが美少女とイケメンの狭間をうろうろするようなキャラなので、ある意味BLと百合の合の子みたいな内容なんじゃないかなと思います。ぶっちゃけ和泉くんを女子にしようが、式守さんを男子にしようが成り立つといえば成り立つでしょうからw
和泉くんは「不幸体質」とのことで、まあ確かにありえないレベルの不幸が多数舞い込みます。ただ正直いくらかは普通に避けられる範囲のもあるので、その辺は単に注意不足と言わざるを得ません。また不幸の多くは物理現象のため人間関係はその範疇にないようで、彼の周りにいる人間はみ~んないい人達ばかりです。猫崎、八満、犬束……全員が和泉を疎んじることなく平等に接します。「皆が楽しむの「皆」にはお前(和泉)も入ってる」でしたっけ?いやあいい奴らですよね。その一方でただただ和泉くんに都合のいいだけの存在じゃないところも評価高いです。もっとも犬束は多少そういうきらいがあるのですが、そのせいで式守さんにライバル視されるというトバッチリを受けるという羽目に。正直こういう展開の作品は個人的には目新しいですw
そういや彼らの名前には何か理由があるんですかね?猫崎、八満、犬束だけの時はそれほど気にしてなかったんですがサブキャラとして現れたカミヤさんの苗字が狼谷だなんて……これだけ動物名が揃うと何か意味を込めてる気がしてくるもんです。ただその一方八満に関しては、まあ作中でも蕩けてる描写とかあったんで単純に蜂蜜を意図してるかもなんですが、だとしたら何故彼女だけ婉曲的な漢字で表記されてるかという謎もあります。ついでにちょっと「名字由来net」さんの方で調べてみたんですが八満だけないんですよね。ということは明らかに何かを意図して当てられた苗字なんだと思うんですが何なんでしょうね?落語家の月亭さんとことも字が違いますし或いは「八幡」の方を意識してる?……というかぶっちゃけそんなことより狼谷が実在する苗字だという方がビックリなんですがねw
ついでに言うと和泉は言わずもがな式守さんも実在する苗字のようです。有名なのは相撲の行事の家系?みたいなんですが、さすがにここに由来するということは無いですよね。その式守の名自体の由来が「式とは何ぞ法を取るの名也」とのことなのですが……うーん、これも関係なさげっぽい。単に「守」という字がついた苗字を使いたかったとかそんなとこでしょうか。「式」という字と先ほどの動物名から式神か何かを意識してるのかとも思ったのですが推測の域を出ません。
彼女が「式部」さんだったら和泉くんと合わせて「和泉式部」に出来たんですがw
本作の構造はちょっと特殊で、ラブコメとしては珍しく最初っから付き合ってる設定。で、そこにちょくちょく過去描写が挿入されるというスタイルでした。とはいうもののこの二人がどういう経緯を経て付き合うようになったかはイマイチよくわかりません。まあせいぜい小動物っぽい彼に母性本能が目覚めた的な流れかなとは思いましたが、それにしては式守さんの方もやたらと彼にベタ惚れ。なのでやっぱりこの辺は軟弱男子を読者に想定した作りをしているのかなとも考えたりしたわけですが、終盤になってようやく明らかになった彼女のパーソナリティー「主体性」の無さがキーになってる気はします。
とはいえ、元々お姫様になりたかった筈の彼女がどこをどう間違えて王子様になったのかは最後まではっきりしませんでした。出会いの時は何やらガサツな自分を受け入れてくれそうな感じが良かったようにも映りましたが、ぶっちゃけ式守さんほどのルックスなら仮に性格がどうであったとしても引く手あまただったでしょうから、この辺の設定が実際のところどうなってるかは一番気になります。まあ最終的にはやっぱり不幸体質にもめげないところに心打たれた、てとこでしょうか?でもそういえば彼、高嶺の花の狼谷さんからも好かれてたんですよね。彼女視点では不幸体質はあんまり関係なかったでしょうから、単純に色々と魅力がある人なのかも。
それにしても狼谷さんにはもうちょっと悪女になって欲しかったですよね。作品的に嫌な奴を出したくないというのがあるのかもしれませんが、せっかく「狼」の冠を被ってるわけですから羊を装って和泉くんをぱっくんちょ、と言う流れも見たい気がしますwもっとも彼女の狼は「一匹狼」が由来になってる気がしますが。
とはいえ式守さん、正直ちょっと余裕ぶっこき過ぎじゃないですかね?狼谷さんの和泉くんへの想いを汲み取るとか、あんなの敵に塩を送るどころの騒ぎじゃないでしょどちらかというとマウント行為でしょ。この作品で狼谷さんがそういう感じに受け取るということは無さそうですが、実際なら有難迷惑どころか屈辱とすら思われそうな気が。
それにしてもいくら和泉くんに不幸体質があるとはいえそれで式守さんと出会えて付き合えるんならむしろ人生プラスなんじゃね?ていう気がしなくもないです。ただ彼のご両親は心配なんでしょうね、一生懸命式守さんを囲い込みに入ります。まあわからなくもないですが彼女の方のご両親からすればたまったもんじゃないだろうなコレとか思いながら観てたんですが、終盤に現れた式守さんの母親の怖いこと怖いことw最初あまりうまくいってないご家庭なのかと思いましたよwそうかと思いきや式守さんむしろお母さんに頼り気味で、主体性の話はともかく仲は悪くない様子です。
まあこの母親なら「そんな非科学的なことありえない」とか言いそうですよね。ただそうだとするとこれは和泉くんのたまたまの不運が重なったのと「不注意」が原因ということになるので、正直お母さまからすればあまり彼は好意的に映ることはなさそうな気もします。もし仮に彼の不幸体質を証明「できてしまえば」それはそれで母親としては娘を近寄らせたくないということになりそうですし、ジレンマですね~。
現実には和泉くんと式守さんのような関係の男女というのは少ないでしょうが、和泉くんのご両親は巷に溢れてそうですよねw若くて美人だけど天然な母親と、野暮ったくて年配でパッとしない父親。最初はそういう嫌味な目線でレビュー書いたろ!とか思ったんですが、作品が良かったのでやめましたwまあお父さんの明貞さんもスペック自体は低くないので案外過去はモテてた可能性も。だけど彼氏のご両親を名前呼びする彼女って現実にいるんですかね?
現実ついでに言えば序盤に式守さんが腕時計見る描写あったんですが、最近のJKって腕時計つけてるもんなん?