かがみ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「ミリタリー萌え」の金字塔
「ミリタリー萌え」なるジャンルは2006年に創刊された萌え軍事専門誌「MC☆あくしず」や2007年に放映されたアニメ「スカイガールズ」などを経てゼロ年代のオタク系文化の中でニッチながらも一定の知名度を得ることになった。こうした中でスカイガールズのキャラクター原案を手がけた島田フミカネ氏が2005年からコンプエースで連載していたイラストコラムを原案として2007年にOVAが発売され2008年にテレビアニメ第1期が放映された本作はミリ萌え作品としてはこれまでにない規模のヒット作品となった。第二次世界大戦期を思わせる世界を舞台として謎の侵略者ネウロイと戦う「ウィッチ」と呼ばれる魔法少女たちの活躍を描く本作は、そのモチーフを実在した第二次大戦期のエースパイロットと戦闘機に求めるミリタリー要素と、ケモノ耳と尻尾とあの衝撃的なコスチュームに象徴される萌え要素に、友情・努力・勝利を地でいく少年漫画の如き燃え要素を極めて高度な次元で統合することに成功した。こうした本作の特異的達成が「ガールズ&パンツァー」や「艦隊これくしょん」といった2010年代におけるミリ萌え作品の成功を準備したともいえるだろう。これほどまでに見かけと中身が異なる作品もそうそうは無いと思う。そして2010年に放映された本作2期は主人公である宮藤芳佳が師匠的存在である坂本美緒を乗り越えるという前作以上に少年漫画的な王道展開を軸としつつ、その他のウィッチ達にも光を当てることで作品の世界観をより深めていく構成になっている。深夜アニメ史上屈指の神回の一つに数えられることもあるエイラーニャ回は言うに及ばず「ローマの休日」を下敷きにしたルッキーニ回や本作のスピンオフ作品「アフリカの魔女」からマルセイユをゲストに迎えたハルトマンとのトップエース対決回もまた素晴らしい出来栄えである。後にワールドウィッチーズと呼ばれる華々しいシリーズ展開の基盤を成す世界観はまさにこの2期によって確立したといえるだろう。