てとてと さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
アーストよりもバイストン・ウェルぽい印象な54分のOVA。本編と独立したファンタジーロボット
ガリアン本編とキャラ名流用しているが全くの別人で別のお話。
マーダルが父で覇王だけど人格者、兄王子がハイシャルタットで弟王子がジョルディという設定。
覇道を焦るハイシャルタットが邪神兵(悪の意思持つロボット)に唆されて?骨肉の戦乱に発展する。
【良い点】
なんとなくバイストンウェル(聖戦士ダンバイン)の外伝小説や外伝コミックめいたファンタジー感。
ロボットをこの世界で忌むべきものと捉える感性もダンバインぽい。
メカデザも大河原邦男氏が抜けて出渕裕氏のカラーが濃く、オーラバトラーめいたカッコ良さ。本編よりスタイリッシュ。
ハイ・シャルタットの乗機である飛行兵の堕天使めいた翼羽ばたかせる描写などカッコイイ。
侵略先の鳥一族の谷の描写や、ダンバインのシュット(ナウシカのグライダーぽいやつ)みたいな飛行メカ、マーダル軍の杭をロケット砲めいて打ち出す兵器(ダンバインだとボゾンのガッシュの連射版?)、対する鳥一族の原始的なロケット砲火薬兵器、高低差活かして火のついた袋落とすなど工夫された戦術や兵器体系で、ファンタジーの独自世界観の戦争描いていて面白かった。
ここらの雰囲気もガリアンよりダンバインぽい印象。
ストーリーは覇王だが諸行無常を悟り慈悲深い父王に、二人の息子たちの確執と、古典めいた物語。
息子の父殺しという古典的題材でファンタジーとロボットアニメやってみた感じは好き。
兄ハイシャルタットは、真面目に父に尽くし覇業を支えんと焦るが故に魔に取り憑かれていく。
対する弟ジョルディは秩序と慈愛を重んじる。
そんな父と弟に対し、兄は次第に本能寺ゲージが…
キャラクターは短い描写で性格や立ち位置分かり易いため、親子兄弟の破局の流れは納得感あり。
マーダルは良き王にして良き父、存在感ある。
ハイシャルタットは本編の良い子ちゃんよりは、OVA版の怨念に憑かれてる方がイイ男。
マーダル(見た目と声はアズベルぽい)は人格者で息子たちを愛していた、ハイの謀反も覚悟して受け入れる。
妹のチュルル姫が美少女で可愛かった。
終盤の鉄巨人無双が圧巻。
黙々と剣を振るい巨大ロボぶった切る、重厚で迫力満点。
飛び道具なしでパワーとパワーの真っ向勝負の泥臭いバトルで見入った。
BGMを排してストイックにロボットバトル見せるのも良い。
効果音も良かった。
【悪い点】
尺不足でストーリーやキャラの交流掘り下げが駆け足で雑。
予定調和かつジョルディ覚醒もご都合感でイマイチ。
終盤の無双バトルは良いが、何の事前説明も無くハイシャルタットの部下?たちが総攻撃してくる展開など唐突。
無言でバトルするので見応えはあるが、話としては地味。
ラストのアダムとイヴ?エンドもどういう事かよく分からん。
ハイシャルタットが闇落ちしていく描写はともかく、ジョルディが優等生過ぎて面白味が無い。
バトル中も兄弟の対話がほぼ皆無で淡々と戦うだけ。本編に輪をかけてつまらない主人公。
チュルルがどっちが好きか?な恋の確執めいた流れをもう少し掘り下げてキャラドラマに繋げてほしかった。
鳥一族のヒロインなヒルムカもちょい役でジョルディとの絡みが皆無。
【総合評価】5~4点
良くも悪くもガリアン本編と全然無関係な独立作品。
本編再編集な1巻2巻ではなく、本作に3話用いてちゃんと掘り下げて欲しかった。
評価はストーリーは普通以下だけどロボットバトルや雰囲気が魅力的なので「良い」