ウェスタンガール さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ニューウェーブ の エコー
何とも捉え所のないアニメである。
火星が舞台とは言え、70年代以降のポップスの歴史をなぞったかのようなストーリーに、“〇〇青春白書”から抜け出してきたようなキャラクターと台詞回しである。
それでも美麗な作画とキレのある動き、そして何より、心地良い音楽である。
不思議な魅力を感じつつ、エピソード04のタイトルが目に止まった。
MTVが始まったのが1981年。
多感な16歳であった監督もきっと、心ときめかせながら観ていたはずだ。
そしてその記念すべき一曲目が、ニューウェーブの代表的なバンドであったバグルスの『ラジオスターの悲劇』であり、このエピソードタイトルなわけた。
それは、何とも“おちゃらけ”のビデオクリップ制作回ではある。
しかし、このアニメ全体が、能天気なマーシャンたちによるコンセプトビデオアルバムとして、またかつて一世を風靡したラジオスターを、ふるさと地球へのノスタルジーの産物として見るなら、これほどウイットに富んだ設定はないのでは、等と思ってみたりもするのだ。
ちなみに、『ラジオスターの悲劇』は、ニューウェーブSFの旗手、J・G・バラードの連作短編の中の一編、『音響清掃』にインスパイアされた曲だそうで、その舞台である『ヴァーミリオンサンズ』は、破滅衝動と退廃的で甘美な空気に満ちた砂漠のリゾート。
ここにまたニューウェーブのエコーを感じるわけた。