プラ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良い純愛だった。
ネットでたびたび話題になっていたし、アニメ2期の最終回から、姉妹のうち誰が選ばれるかはなんとなく分かっていた。
家族としての五姉妹、同級生としての五姉妹、恋敵としての五姉妹……いろんな事を共有して五等分して来た彼女らに最後に待ち受けている選択を、彼女らは受け入れなければいけない。選ばれたら嬉しい、選ばれなかったら悲しい……けれど、選ばれた姉妹を心から祝福してあげたい。その葛藤が、すごく切ない。五姉妹の純愛物語がフィナーレに向かうたび、切なさに見てる方も心が押しつぶされそうだった。
選ばれし者の感情も、選ばれなかった者の感情も、ひしひしと伝わってくる。クライマックスに惹きこまれ、彼・彼女らに感情移入してしまった。
一花は五つ子だけどいちばん上の姉さんとして、他4人をそっと見守る役に徹していた。女優ということもあり、周りには良い顔をしなければならなかった彼女が唯一素顔を見せられたのは風太郎である。風太郎に甘えられる空間・時間が彼女にとって何よりも癒しだった。日に日に増していく気持ちをついに言葉に・行動に表すも、風太郎はなかなか靡かない。自分じゃダメなんだと悟っても、諦めきれず……風太郎が誰かを選ぶその日までの残りわずかな時間、せめて風太郎の心に「わたし」を刻もうと奮闘する姿がなんとも切なかった。
二乃はツンケンしているようで、人一倍優しい女の子。最初は風太郎を嫌っていたが、真剣に自分と向き合ってくれる彼に惹かれていき、突如として想いが爆発。それからというものの、風太郎をなんとか射止めようとするも、想いは届かず。それでも四葉を応援する姿は、家族を大切にする優しい心がよく現れていた。誰よりも真剣に恋していた二乃が失恋した時の悔しさは、堪えがたかった。
三玖は引っ込み思案な女の子だったが、風太郎と一緒に過ごすにつれて、だんだんと前に出るように変わっていった。そして、自分を変えてくれた風太郎に当然のごとく恋をした。最後には自分で押し倒してキスしてしまうくらいには積極的になっていた。失恋という結果にはなったが、自立することで彼女はその気持ちを昇華できたのではないだろうか。そして、三玖の成長を誰よりも風太郎は喜んだであろう。ほほえましい。
五月はしっかり者のように見えてポンコツな面も多く、そそっかしい。彼女は姉妹の中でも亡くなったお母さんに対する想いがいちばん強く、お母さんの後を追うべくして教師を目指していたが……勉強からっきし。風太郎を家庭教師として誰よりも先に受け容れた。風太郎に対して恋愛感情はあったものの、どちらかというと「憧れ」の存在であったのだろう。自分がこの先進む道の隣に風太郎がいたらいちばん嬉しい事ではあったけど、自分の夢だったお母さんと同じ教師の道に進めたことが何よりも嬉しかったのであろう。
そして、四葉。言動は明るいが、実はいちばん控えめ。自分が姉妹でイチバンになろうとして失敗し、みんなに迷惑をかけた過去がある。それの償いだろうか、彼女はあらゆる「助っ人」を買って出ていた。四葉は唯一、幼少期の風太郎に会っていた存在であったが、幼い頃に交わした約束は果たせそうにもなく、姉妹に負い目のようなものを感じていた彼女は「自分以外」が選ばれる事を望んでいた………でも、その気持ちとは裏腹に、風太郎の事が大大大好きだった。選択の日、風太郎に選ばれて嬉しかったと同時に、自分が選ばれてしまった罪悪感のようなものを覚えてしまう。
風太郎は、その危なっかしい四葉の事を見抜き、彼女を支えたいと心から願って四葉を選んだ。
風太郎は四葉を選んだのに、四葉がいっこうに受け入れようとしない事が原因で、姉妹含めてギクシャクしかけた。
でも、四葉に自信を取り戻したのは風太郎であり、そして周りから見守っていた姉妹たちであった。ああ、なんて切ない4人……感情を爆発させないあたり、彼女らのトクベツの家族愛を感じた。同時にその切なさに涙が出そうだった。
晴れて夫婦になったのは四葉ではあるけれど、高校時代の思い出も甘酸っぱい初恋も想いが実らずに迎えた失恋も結ばれて成就した恋も、全部まとめて「五等分」。5人の事を考えるといろいろ入り混じった感情を覚えたが、エンディングをみんな明るく前を向いて迎えられた事に、清々しさを感じた。
良い物語を見せてもらった。