てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
主人公が虐げられ苦労する展開が特徴の異世界転移系。1期は良作かもだが嫌い、2期は普通に見られるが凡作
小説投稿サイト「小説家になろう」(通称「なろう系」)原作のアニメ、1期25話2期13話。
2期まで含めてのレビュー。
【良い点】
異世界描写やキャラデザや戦闘シーンなどの作画が良好。声優陣や音楽面など含めてアニメの出来は良い。
安直な主人公楽勝モードではなく、非常に逆境を強いられる展開、それでもヒロインたちとの関わりや自身の才覚で次第に力を付けて状況を切り開いていく展開に納得感がある。
ナオフミが異能ゴリ押しだけでなく色んな技能で工夫するなどの面白味もある。
四面楚歌から、次第にナオフミの真実に気付いて救われた人々の助力が集まっていく展開も良い。
ダブルヒロインのラフタリアとフィーロの魅力が高い。
ラフタリアはナオフミに命を救われて以降成長し、逆境で荒んでいくナオフミに対し支えになっていく高い正妻力を見せてくれた。
フィーロの無邪気な可愛さも申し分なく、可愛いだけでなく大切な家族の一員な感じも好印象。
主人公のナオフミも悪意で捻くれていても、根底にある善性が勇者に相応しい人格的魅力を醸していた。
不器用だけど、カッコイイ男であった。
序盤以降は猜疑心の塊で用心深く振る舞っているのも、悪く無いキャラクターだと思った。
最終的には悪党が然るべき報いを受けて、ナオフミの立場が好転していくので、最後まで視聴すれば痛快。
終盤は中途半端ながら、ナオフミとラフタリアの成長と関係性は完結しており、胸打たれた。
ラフタリアは2019年度のベストヒロインの一人。
2期は展開が唐突ながら、不快な展開やキャラが少なくて見やすい。
新ヒロインのキズナちゃんがかなり可愛い。
オレっ娘、孤島に幽閉されても諦めない意志、気さくで優しい、富田美憂ボイスと大変好みだった。
【悪い点】
序盤があまりにも不快すぎる上に、延々とフラストレーションが溜まる展開が続く。
悪党が悪いのは構わないのだが、三バカ勇者を筆頭に周囲がアホ過ぎて萎える。
悪党はともかく、妹姫や鳥の女王などの味方サイドも、ナオフミの心情無視して強引な押し付けが鼻に付く。
特に妹姫は見た目は可愛いがキャラクターとしては嫌い。最もその対比でダブルヒロインの魅力は際立っている。
主人公は謙虚でも、周囲を下げる事で間接的に主人公ワッショイする、結局なろう系の悪癖がモロに出てしまっている。
ナオフミの立場回復が、女王というデウスエクスマキナ気味な存在で強引に為されるのも微妙。
黒幕な悪の宗教勢力が全部悪いんだ!三バカやバカ王と娘は騙されてたんだ!という展開で、これに勝って事態好転という流れも興ざめ。
三バカが一切報いを受けてないのも気に入らない。
等々、序盤からの不愉快な展開を払拭できるほどには後半の展開も良くはなかった。
2期は1期の不快感は払拭された代わりにカタルシスも乏しい。
ストーリーは分かりやすいが、延々サブクエストで足踏みしてる感じ。
著しく酷いとは思わないが、メリハリが無く退屈気味。
戦闘面の見せ場が1期より劣化。
キャラもナオフミの対人不信な偏屈さが前面に出ていて魅力減。まあラフタリアたちと引き離された焦りで余裕が無かったのは分かるが。
ラフタリアやフィーロの見せ場も乏しい。
【総合評価】2~3点
内容的には出来の良い作品で、この手のありがちな作品とは一線を画す魅力があった。
ただ、あまりにも不快感が強すぎる。
「成り上がり」の予定調和に持っていくために十数話延々と嫌な展開見せられても辟易してしまう。
1期終盤までは良かったにせよ、2期で息切れ、全38話も再度視聴する価値は感じない。
評価は非常に迷うところだけど「悪い」で。
良い面も多々あったのだけど……