てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
売れないお笑いタレントの気弱中年男子と、上品な老婆の大家さんの同居生活をほのぼのと描く。1話5分で全15話。
※作品データベース様より転載
【良い点】
気弱ダウナー系主人公が、育ちが良くマイペースな老婆に翻弄される様がコミカルかつ少しハートフル。
世代と境遇(売れない貧乏芸人と元女学生のお嬢様)のギャップで会話のノリがズレているのを、
主人公の気弱で押しに弱い性格と、大家さんのマイペースお嬢様ぷりが妙に噛み合って、ふたりとも優しいのもあってほのぼのしている。
ジェネレーションギャップあるあるネタも安定している。
大家さんは戦中世代で頻繁に戦争の思い出を語る、戦争体験を聞かせてくれる教育的ドラマもあり。
「この世界の片隅に」の前半みたいな呑気で優しい語り口からの、さりげに重い話に主人公が引いちゃう感じもユーモラス。
人生の黄昏を泰然自若に生きている大家さんの在り方を、まだ若い主人公目線で見せてくれる感じ。
遺産相続の生臭い話や、知人友人が痴呆や施設入所や亡くなっていくのを、呑気に語るなど。
切ない話も世間話のように呑気に語り、しみったれていない。
まだ若い主人公(や視聴者)は微妙な空気になるけれど、避けては通れぬ人生、自然体で楽しく生きる大家さんはステキに見える。
「次転んだら死ぬからもう転べない」「矢部さんはいいわね、まだ若いから何度でも転べる」
作画は綺麗ではないけれど素朴な温かみありショートアニメとしては申し分ない。
主題歌がかなり良曲で心温まる。
【悪い点】
原作の大きな流れである「体格に劣り人生ずっとイジられてきた売れない芸人として自信が無かった主人公が、
温かく接してくれる大家さんとの交流で自信を得て成長していく」的なドラマをあまり盛り込めていない。
各話の内容は良いが、全編通してのドラマに連続性がなく地味。
原作のハイライトである大家さんの死去までアニメではいかず。
ちょっとした感動や分かりやすくハートフルな盛り上がりもあまり無く、独特な味わいはあるが総じて地味。
良い点とも裏腹だけど、戦争体験ネタと終活ジョーク(本人は天然でジョークの意図は無さげ)がややくどい。
【総合評価】7~6点
原作は第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞したとの事、流石に良い内容。
NHKの日常系アニメとしてみても地味な良作。
評価は「良い」