ウェスタンガール さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ドナドナ
あの作品やこの作品、設定やプロップデザインだけを見るなら、二番煎じの誹りを免れ得ないのかもしないが、主人公であるソマリちゃんの極めて猫的な性格と、何より中の方である水瀬いのりさんのボイスが印象的、結構ベタなエピソードも含め、とても好感を持って最終話を迎えることが出来ました。
さらに、幹となるストーリーを支える思いに、また余りにストレートすぎるメッセージ性に苦笑いを禁じ得ない向きもあろうか等と思ってみたりではあるが、その裏側には強烈な皮肉や揶揄が含まれていることも確かなようで…。
主題歌である『ありがとうはこっちの言葉』と、劇中歌でローザおばさん(柴田理恵さん!)が歌う“わらべ歌”『ことなるかたち』との対比も面白い。
差別するもの、されるもの、主客が逆転すれば「おまえモナ」でありお互い様、猿の尻笑いなのだ。
そんな訳で、この作品のモチーフであろう『ガリバー旅行記』の作者であるジョナサン・スイフト的なブラックを感じるのだ。(アイルランド人の気風が醸し出す『死んだ鍋』的なである)
それでも、ソマリちゃんの「おとうさん!、おとうさん!!」を聞けばそんな気持ちも吹っ飛ぶと思いつつも、やはり…。
『ドナドナ』はNHK「みんなのうた」で放送され、昭和世代の子供心にトラウマ的な爪痕を残した歌である。
以下は、私の大好きな“worldfolksong.com”から抜粋である。
原曲は1940年のミュージカル「エスターケ」の劇中歌『Dana Dana』だそうで、その歌詞は、表現が若干柔らかく曖昧な『ドナドナ』に比べ、露骨にしてストレート、ある意味“にべもない”表現となっている。
特に2番である。
哀れな子牛の境遇に追い打ちをかける、問い詰めるような言葉が農夫の口から発せられ、「運命の残酷さ」、「抗いようのない運命」が強調されるのだ。
1.荷馬車の上に 子牛が一頭
ロープにつながれ 横たわる
高い空 ツバメが一羽
楽しそうに 飛び回る
笑い声が麦畑を吹き抜ける
笑って 笑って 笑って
一日中笑っていた
夜の間でさえも
Dona, dona, dona, dona,…
2.牛は泣いている 農夫が言った
牛になれと誰が言った?
鳥になれなかったのか?
ツバメになれなかったのか?
つながれた哀れな子牛
運ばれて屠畜される
翼を持つ者は高く飛び
誰にも隷属しない…