「無職転生 ~異世界行ったら本気だす(TVアニメ動画)」

総合得点
90.1
感想・評価
1081
棚に入れた
4496
ランキング
64
★★★★☆ 4.0 (1081)
物語
4.0
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ジェンダーギャップを感じさせる作品(前半)

世界観:10
ストーリー:7
リアリティ:8
キャラクター:7
情感:6
合計:38

<あらすじ>
34歳・童貞・無職の引きこもりだった男は車に撥ねられ、その一生を終える……はずだった。しかし、男が次に目を覚ましたとき、そこは剣と魔法の異世界であった。少年・ルーデウスとして転生した男は考える、この世界ならば、自分も本気で生きていくことができるかもしれない……と。
(公式サイトより)

Youtubeで岡田斗司夫氏が絶賛している動画を見て、視聴しようと思ったのが経緯です。

本作は、引きこもりニートの主人公が死んで別の世界に転生するという、よくありそうな異世界系テンプレ展開から始まります。

剣と魔法の活躍するファンタジー世界を筆頭に、現代とかけ離れた世界を舞台にしたいという創作側のニーズは果てがないと思われますが、真面目に本格的な設定を考えれば考えるほど、その世界の文化や歴史背景、登場人物の経歴や思考までを一から創造していかなければ説得力を持たせることが難しく、また、その一方で、独自性を含む複雑な設定を視聴者や読者に的確に説明していくのも大きな課題となるのですが、現代の人間を転生させて語らせれば、我々にとって共通的な一般知識や身近な例えを用いることができ、これらを齟齬なく楽にクリアしてしまうことができます。2010年代にこういった異世界転生作品が乱立した背景には、そういった機能性とクリエイターの創造性がマッチしたことが大きく、今後も異世界転生系作品は大きな流派として続いていくと思われます。

さて、本作は「なろう系」や異世界系の元祖との意見も見かけますが、時系列的なところを確認すると否定するのが妥当でしょうか。オリジナリティ面としては評価しませんが、世界観の構築の練度が高いという点では、序盤から十分に評価できる作品と思いました。

例えば、{netabare}魔法を使うための魔力(=MP)について、人間の魔力は増えないという文献が誤りであり、幼児期には使えば使うほど魔力が増加することを実証していくという過程がありますが、射出速度の概念を示す等でその原理等も説明しつつ、主人公が幼くして膨大な魔力を持つというチートを、納得しやすい形で示しています。

また、剣と魔法のレベルの表現に、「水聖級」、「剣王」などがありますが、こういった肩書きが当該世界において共通言語として普及していることを背景とともに説明することによって、強さの比較を簡易にわかりやすく表現できています。地味な点かもしれませんが、個人的な好感ポイントです。

魔法が登場する作品というのは、大きく分けて、魔法を奇跡と捉えるものと、科学と捉えるものがあります。その見分け方は、魔法により起こる現象に「無から有が生まれているか」、「質量保存の法則が働いているか」でしょうか。例えば、ゲド戦記では「ロークの雨がオスキルの旱魃をひきおこすことになるかもしれぬ。」という台詞がありますが、本作も後者と思われます。これも個人的な嗜好ですが、自分は後者の設定が好みなので、とても惹き込まれました。(奇跡の魔法が嫌いというわけでもないのですが、その場合は普段使いできてはバランスが悪くなります)

あと、世界観の部分では作画、音楽などですが、いずれも良かったです。OPでは、異世界の街並み、多種族の存在など、雰囲気を楽しめました。また、音響という観点ではあまり語ったことがないですが、どこかの街で宿屋のベッドにルーデウスが1人で寝転ぶシーンがあるのですが、窓の外から入ってくる街の音に臨場感があって良かったです。

岡田氏も指摘していたエモさがちりばめられている、そういうことができるスタッフによる作品ですね。獣神族とかが良いと思う趣味がなく、多種族いるというのはあまり好まないですが、世界観に最高点をつけた理由は概ね上記のとおりです。

あと、この作品を語る上で避けて通れないのが、主人公のゲスさです。
死んだ時点で34歳の童貞・引きこもりニートかつ容姿的にも底辺という設定ですので、現世ではドス黒く溜まったコンプレックスや性的欲求があることは理解できます。
このどろどろした部分に、この作品の一般受けしにくい要素が詰まっていて、特に女性は生理的に受け入れられない可能性が結構高いです。

私は男なので問題なく(もちろん、嫌いなシーンも含みますが)、むしろ、これまでのレビューでもこういった暗部を無視した男性像しか描かない作品はペラいと断ずるタイプですので、リアリティ面ではむしろプラスに評価しています。

ただし、作品に一定の品位を求める面も私の評価基準には含まれますので、そこでのマイナス材料になります。このあたりは具体例を示したくても示すべきではない部分もあるのかもしれませんが、多少、語らせてもらおうかなと思います。

原作小説もアニメの範囲までは読んでみたところ、アニメでは下品な描写や台詞が大幅にカットされており、まだマシになっています(例えば原作では、御神体に血がついていたり、エリスがルーデウスのパンツの匂いを嗅ぐシーンがあったり、何かにつけ下心全開のモノローグがさし込まれています。。){/netabare}

第2クールの感想に続きます。

投稿 : 2022/07/29
閲覧 : 420
サンキュー:

26

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