栞織 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
81年作品だけど背伸びした内容
劇場公開当時は見ていないです。dアニで消えそうなので見てみました。公開当時は竹宮作品のアニメ化と豪華声優陣ということで、アニメ誌上で特集が組まれていた記憶があります。原作コミックは一応読んでいましたが、はるか昔に読んだのでラストのホモ→自殺の部分を忘れていました。ここが肝の話ですから、そこを忘れてどうするという感じです。まあその話が今回出てきて驚きました。やはりBLになるのですね、さすが竹宮先生です。
話のあらすじとしては年上の女性とのアバンチュール話が主で、それは60年代当時はやった作品の「卒業」や「個人教授」などの洋画作品の流れにあるものです。レダニアの配置など、かなり「卒業」を意識した作品ではないかと思います。あの話のミセス・ロビンソンがこの話のサラということになりますが、ラストレダニアと駆け落ちはせずに、仲が悪くなっていた母親の元に舞い戻る主人公、なにやらしっくりしませんがいかにも日本的な話です。ただBGMなどやたら「或る愛の詩」などとよく似たものが流れ、ラストにたぶんフランスの詩人の訳詩が冠せられ、出だしと締めにフランス語の外人のナレーションが入るなど、当時としてはかなり精一杯に背伸びした内容ではなかったかと思います。自分自身を顧みても、あの当時劇場でこれを見て、これらのスタッフの盛り込んだものの元ネタや意識の高さに果たして気づけたかどうか。単にBLが出てくるあざとい作品としか思わなかったのではないでしょうか。
作画的には81年という年代ものですので、今見たら稚拙ですが、なんとか竹宮さんの作画の雰囲気を伝えようと努力しているのはわかります。結構止め絵など今見ても丁寧な画面の時もありました。私は竹宮さんの最近作の「地球へ」も見なかった口なのですが、今回この作品を見て、まあまったくリアルではないのですが、やはり文学的な少女漫画だったのだなあと思いましたです。