ひろたん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「それは、彼女の戦い──」
前作『燃焼』では、主人公の少女は、カジノでの勝負で思いっきり燃焼していました。
そして、その中で自分の存在意義を確立していくと言う心の成長も面白いものでした。
前作において、ある「決断」をした彼女は、この『排気』でそれに向かって戦います。
それが、キャッチコピーの「それは、彼女の戦い──」になっています。
■やっぱり面白いカジノ編
{netabare}
この物語の前半は、前作に引き続きカジノ編の続きから始まります。
カジノで勝ちまくった少女。
当然、カジノ側は、それを放ってはおきません。
カジノ側は、取られたチップを取り戻すため大御所を出してきます。
ここで面白いのは、その勝負のつけ方もまたギャンブルだと言うことです。
この作品は、アクションSFなのでここでドンチャンあってもおかしくはありません。
でも、それをせずにちゃんとギャンブルで勝負をします。
最後に挑むゲームは、ブラックジャック。
そして、この勝負がまた面白いのです。
ただの駆け引きだけでは終わりません。
「運」を味方につけられるかどうか、それがとてつもない緊迫感を生みます。
少女もギリギリの精神状態ですが、見ているこちらも手に汗握ります。
そして、勝負の終盤にBGMで流れる「アメイジング・グレイス」。
この曲が持つ神秘性が、最後、少女が「運」を味方につけたことを象徴していました。
このシーンは、ウルっときてしまいます。
{/netabare}
■「一緒に泣きましょう」
{netabare}
最後は、アクションSFらしく、"アクション"で締めくくってくれます。
でも、戦う相手は、ネズミ型の万能兵器の"彼"にとっては、かつての相棒。
両者の間には過去にいろいろあり、距離を置いていました。
でも、それは、お互いを思ってのことであり、戦いたい相手ではありません。
でも、戦わなければ、今の相棒である少女の事件は解決しません。
つまり、少女が「殻」から抜け出せないのです。
結果は、案の定、相手を倒すことになるのですが・・・。
その結末は、兵器の彼にとっては悲しいことでした。
また、その兵器の彼を愛する少女にとっても辛いことでした。
そして、少女は、「一緒に泣きましょう」と、その兵器の彼のために涙しました。
とてもしんみりとした終わり方で、決して明るいとは言えません。
でも、少女は、誰かのために泣くことができました。
それは、自分の「殻」から抜け出せたことの象徴でもあったのかなと思います。
{/netabare}
■まとめ
最初は、少しとっつきにくい独特な雰囲気がある作品でした。
でも、じわじわ面白くなっていき、目が離せなくなります。
物語の軸は、少女の成長と事件解決に向けたサスペンスです。
その要素として、アクションやギャンブルなどの駆け引きがあります。
この作品は、SFですが、物語的には、SF感が薄い感じがします。
でも、それらの要素は、やはりSFが無いと成り立ちません。
この絶妙なバランスが、この作品をSFたらしめています。
そこが面白い作品だったと思います。