ヘンゼル さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
結局人間は、弱くて脆いから何かに縋る。
このアニメはよく感動ものや、お涙頂戴のストーリーだと批評する人が多いですが、私的に本アニメの本質は、人という生物が根本的に弱いから、脆いから、何かに頼ったり、縋ろうとするというものであると感じました。
そしてこの作品の主人公はそれらを一身に背負った不幸なキャラクターです。
剣さえまともに持てず、耳も聞こえず、王子であるにも関わらず、市民からは馬鹿にされたり、王様として頼りないと言われてしまいます。
しかし、物語が進むに連れて、弱さを強さに、脆さを仲間や努力で補い、縋るのではなく縋られる側、即ち万人に頼られる王様になろうとする、物語の本質に対してアンチテーゼを唱えるキャラでもあります。
そういった本質を持っているため、少年漫画のように熱い展開も多いです。ただ、戦闘シーンは大味ではあるため、そこは注意点として挙げられるでしょう。
(一部例外はあります)
また、キャラクターの心情や、なぜそのような行いをしてしまったのかが丁寧に描写されており、ストーリーにおいて、決して視聴者が置いてかれるというのはありえないでしょう。
また、原作のような等身がおかしな事になっていたり、ということも無いので、安心して観れます。
童話のような見た目なので、児童向けと勘違いされる方もいるかもしれませんが、中身は上記のような、しっかりとテーマ性を持っている作品です。
絵柄や前評判などで敬遠していた方も、ぜひ1度ご覧になってはいかがでしょうか。
私はカゲの声優が、まさかの村瀬歩さんでびっくりしました。女声からちょっと低いダミ声まで何でもいけますね、あの人…。