「BASTARD!!―暗黒の破壊神―[NETFLIX](TVアニメ動画)」

総合得点
63.5
感想・評価
61
棚に入れた
219
ランキング
4326
★★★★☆ 3.2 (61)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.1
音楽
3.1
キャラ
3.3

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

無駄話ですが、どうぞ。

【概要】

アニメーション制作:ライデンフィルム
全2クール(全24話)のうち第1クール(13話まで)が、
2022年6月30日にNetflixで配信開始されたWebアニメ。
原作は、『週刊少年ジャンプ』→『週刊少年ジャンプ増刊号(季刊)』
→『週刊少年ジャンプ』→『ウルトラジャンプ』
にて連載されていた萩原一至による漫画作品。
アニメ版の監督は、尾崎隆晴。

【あらすじ】

400年前に「破壊神アンスラサクス」の大破壊によって科学の旧文明社会は滅び、
人類の大半が失われた。世界は変わり果て、オークやゴブリンなど多種のモンスターが、
徘徊するようになっていた。
生き残った人類は、中世ヨーロッパ水準に衰退した世界で王国を築き、
騎士団や希少な魔法使いなどの力で、モンスターから身を守って過ごしていた。

15年前に、四天王と闇の軍団を率いて世界征服を目論んだ、
邪悪で危険な魔法使いのダーク・シュナイダーがいたが、五英雄によって阻止。
ダーク・シュナイダーと勇者ラーズの相討ちで、「魔操兵戦争(ゴーレム・ウォー)」
が終わったと伝えられる。

そして、現在。ダーク・シュナイダーの部下だった四天王が再び世界征服を開始。
「中央大陸メタリオン」には4つの王国があり、各王国の破壊神の封印を解き、
破壊神の力を使って、理想の王国を作るのが彼らの大義名分らしい。

四天王の闇の反逆軍団の配下がメタ=リカーナ王国に侵攻。
そして、そのメタ=リカーナ王国には、
ダーク・シュナイダーの転生体が封じられた少年のルーシェ・レンレンと、
彼と同い年で保護者である少女のティア・ノート・ヨーコがいるのだった。

【感想】

ジャンプの三本柱は、「ドラゴンボール」「スラムダンク」「幽遊白書」ですが、
それと別に話題になったものの、
ファンを公言するとスケベとかオタクとかいった扱いをされた作品ですね。

第1話にあたる読み切り版の発表が1987年。当時のジャンプのバトル漫画は、
ゴーイングマイウェイの鳥山明先生を除いては、「北斗の拳」の影響が絶大。
「魁!!男塾」「ジョジョの奇妙な冒険」「ゴッドサイダー」など、
今の基準だと筋肉ムキムキの暑苦しさがジャンプ漫画を象徴する時代でしたな。
そこに作者の師匠である、まつもと泉先生譲りの美少女画による剣と魔法の世界で、
エッチで悪くて強い主人公が、美少女相手にスケベエなことしまくるってのは、
当時としては新しくて、思春期の少年にど直球でウケたのかなと?

それが掲載誌を転々として、たまに雑誌に載ってたらラッキーな扱いに変化して、
2010年に連載が止まってからは早12年が経過しています。
遅筆で有名な漫画家も今年で59歳。デビュー作は23歳時?のスタートでしたっけ?

『続きを描け!』とファンから長年の連呼を通り越して、
作者が生きてるうちに話が進むのは絶望的!!
皆が諦めの境地にある未完の大ヒット作品である、「BASTARD!!」

何故、今アニメ化に?と言いますと、学生時代にリアルタイムにファンだった世代が、
業界でそれなりの地位に出世する年齢になって、
「うしおととら」「スプリガン」などでやりましたように、
過去のコンテンツの掘り起こしが今後も続くのでしょうかね。

原作者の萩原一至先生は、その時代時代で自分の趣味や良いと思ったものを、
作風に取り入れる漫画家で、貪欲なまでに技術面への向上心に満ち溢れていたものの、
作画をデジタル環境にしてしまって生原稿とは違って無劣化で際限なく修正できるのが、
この人の気質と合体事故を起こしてしまったのか、
無限修正地獄で締め切りという概念を超越した存在になってしまったのですね。

言い方は悪いですが、病的なまでの作画への凝り性は、
これが完成形!だという割り切りと自信の無さの裏返し。
単行本あとがきで糖尿病とか腰痛とか口に出しては謝ってばかり。

もともとスケジュールを立てて計画的に原稿を仕上げるのが苦手で、
連載向きのメンタルでない人間が、当時の最先端の技術と絶大な人気を得てしまって、
自分のキャパシティ以上のものに押し潰されていったのでしょうかね。

若いうちは体力で徹夜とか無理をすれば出来てたことが中年になって出来なくなった。
年齢に合わせた健康管理と、
個の才能とこだわりだけに依存しないプロダクションの構築は、
漫画家として長生きするのに割りと必要ですよね。

萩原一至先生の漫画家としての破綻は、本当は作画の問題じゃなくて、
漫画の続きが出ないのに、加筆修正した完全版単行本を刊行したり、
コミケでセルフエロ同人誌を出したりしてましたので、
絵を描くだけならスローペースなら可能で、健康上の理由で絵が描けないが主じゃなくて、
単純に創作の源泉が尽きてしまったのではないか?自分はその線を疑っています。

自分がこの漫画をリタイアしたのはコンロン戦の異常すぎる引き伸ばしが原因です。
広げた風呂敷の先の展開が思いつかないから全力で引き伸ばしての時間稼ぎに見えてしまい、
構成の酷さは売れっ子には若造の編集者も強く口出しできないアンタッチャブルなのか。

新しいツールの導入で作画が美しくなる一方で、作家性が追いついてないのではないか?

執筆活動に重い足かせとなってしまった「BASTARD!!」は一旦正式に休止宣言して、
作画コストを抑えめにした他の仕事をしてみたりするのも一つの方法ですよね。

まつもと泉先生の下でのアシスタント時代の仲間である岡崎武士先生は、
当時は「BASTARD!!」に似てた「精霊使い」の絵から完全に離れてみたり、
メイドが主役とかの全く違う作風の新連載やったりを経て、
今もリメイク版「精霊使い」を再び始めていますね。

出来ること、出来ないことを整理してスリム化したり、
リフレッシュしたりするのも漫画家には必要だと思っています。

さて、アニメを見た感想。どこのエロゲーだ?みたいな台詞回しと展開。
オヤジ臭い下ネタギャグが見ていて恥ずかしくて面白くない。
「鬼滅の刃」もかくやってぐらい解説役の状況説明セリフが多すぎ。

原作漫画自体の売りが美形と必殺技と魔法のオンパレードで、
今読み返してみると素晴らしかったのは、キャラデザや作画の美しさやカット割りの良さであって、
物語自体には特に際立ったものは無かったですね。

原作が特に人気を得たのは季刊ジャンプに移って週刊の締切より余裕が生まれて、
作画密度が週刊連載時より更にパワーアップした「地獄の鎮魂歌編」でもあります。

となると、原作のカット割りや仕草などをアニメで再現して補完すればよかったのかなと?
このアニメのキャラデザと作画自体は整ってるものの、
原作と比較してみると確かにレイアウトや仕草を再現してないシーンが多々あるのですよね。
そのことで、このアニメは原作のコアなファンからの評価は低いです。

実際にtwitterで画像つきで細かく分析している連続投稿がありまして、
さすがに言いすぎだろう!と、それを読んだときは思いましたが、
原作の台詞と展開は踏襲しているものの、見比べてみると確かに色々違います。

原作とアニメが違ってても面白ければよかろう!が私の信条ですが、
ストーリーが同じなら演出による場面の見せ方で評価が変わってくる。
もともと連載初期のストーリー自体が令和の今の視点では、
文芸としては面白くはないと思ってる自分にとっては、
アニメでは更にテンポが悪くての演出が凡庸に過ぎて眠たくなるのがしばしば。

理屈ではなくて、身体で『このアニメはつまらない!』という反応をしてしまってるのですよね。

低予算なほうの、なろうアニメと比較すればかなり作画は良い方だと思いますが、
元々が作画が生命線である原作の映像化は色々難しくて、
ファンを満足させるには足りなかったですね。
シーラ姫とかのエッチなシーンは気合入ってましたけど、
ぶっちゃけて言えば、呪文戦闘が迫力がなくてつまらないのですよね。

言っては悪いですが、ライデンフィルムにこれのアニメ化は少々難しかったかな?
というのが率直な感想でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/07/21
閲覧 : 315
サンキュー:

20

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