てとてと さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
直江兼続を主人公にした、破天荒な歴史大河ドラマ。不人気だけどかなり面白かった
「花の慶次」のスピンオフで、主人公の直江兼続と莫逆の友(超親友)前田慶次が、盃酌み交わしながら武勇伝を回想する。
豊臣秀吉が栄華絶頂な時代、目障りな上杉家にちょっかい出す秀吉の謀略に主君景勝との絆を試されたり、兼続出生の秘密にまつわる歴史ミステリー要素も。
【良い点】
キャラと個々のエピソードに華があり、地味な歴史ドラマな割には酒語りにグイグイ引き込まれる。
歌舞伎を漫画アニメ風に親しみやすく見せてくれる感じ。
これぞ粋。
また前田利家ら周囲のリアクションがコミカルで笑える。
主人公が涼しい顔で無双する系だけど、兼続は知勇抜群で切り抜けるため痛快。
傾奇者前田慶次との名コンビで天下人らの無理難題やピンチを颯爽と解決、痛快至極。
殆ど苦戦しない、良い意味での無双。勧善懲悪が明快。
原哲夫が描き出す前田慶次と直江兼続ら英傑たちのカッコ良さ。
絵柄もありBLくさくはあるが、義で結ばれた英雄たちの友情は美しい。
慶次だけでなく、上杉景勝との主従の絆、従者の茂助と次郎坊など、男たちの絆が固い。
特に上杉景勝と殴り合う終盤は理想の主従関係で圧巻。
登場人物は天下人秀吉を筆頭に錚々たる顔ぶれ、前田利家が小物な以外は英傑揃い。
破天荒な歴史大河浪漫な個別エピソードを重ねつつ、25話通して義の英傑直江兼続を魅力的に描いた。
義を重んじる人となりを幾多のエピソードで語り、やがて兼続は真の父母からの愛を知る。
上杉謙信から受け継がれる義と愛の物語、直江兼続出生の秘密を軸に、天下人秀吉や徳川家康そして魔王織田信長らの策謀を義風堂々吹き飛ばしていくドラマは素晴らしかった。
歴史大河としても、秀吉が天下握った時代の上杉家というニッチな題材で面白い。
歴史物で殆ど語られぬ、上杉景勝による佐渡攻めなど、歴史小説的な面白さ。
小田原攻めに遅参した伊達政宗が白装束で詫びに来るシーンなど、華のある名場面多々。
上杉の名軍師たる直江兼続の軍略も冴えていて見応えあり。
序盤の佐渡編は女たちの戦いや家族のために犠牲になる農民たちなど、色んな形の義を示した。
本作は男の物語だけど、謙信の姉仙桃院など少数ながら女性の輝きもある。
本編主人公たる前田慶次の見せ場である、秀吉に傾いてみせよと難題吹っ掛けられるエピソードが白眉。
アニメ化されていない花の慶次の代表的名場面であり、限定的ながら花の慶次のアニメ化を見せてくれた。
キャラデザや演出は好みが割れるところだけど、自分は悪くないと思う。
月明りや桜吹雪とか綺麗だし。
楽曲も一見ダサいけれどちゃんとテーマを歌い上げている。
【悪い点】
キャラデザは嫌いじゃないんだけど、ややハンコ絵。
演出も嫌いじゃないんだけど、闘気?覇気?に頼り過ぎなきらいが。
ハッタリ利かすのが持ち味ではあるれど。
前田利家らカマセ気味なキャラも多い。キャラの描き方に格差あり。
初見の見た目や態度で英雄か雑魚か一目で分かるのは良い点かもしれないが、安直さも。
後半、前田慶次の出番減。
代わりに島左近や片倉小十郎や井伊直政らが活躍するが、見せ場が物足りない。
終盤の謙信が遺した菩薩像の網膜認証の話自体は面白かったけれど、ややスケールダウン。
ラスボスが忍者の左玄なのも微妙。
最終話の余韻がやや惜しかった。
【総合評価】8点
イマイチ不人気だけど、非常に面白かった。
自分は良作だと思うんだけど、ニッチなのか…
多分、コアな花の慶次ファンは不満、BL好きには絵柄や歴史浪漫で敬遠など、視聴者層のニーズに噛み合わず?
評価は「とても良い」