風の澪 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
タイトルなし
戦争(人同士ではなく未知なるものとの闘い)をきっかけに衰退を続ける世界というのがベースの世界観ですが、終末観はそこまで前面には出されておらず、感覚的には20世紀初頭のヨーロッパの街の物語という感じです
前半は特に
後半に入り人間同士の戦争へと話は向かっていきますが…
総括すると戦争物でもないですし、終末物でもないですね
かといって、青春ものという感じでもないですし…
前述の終末的な世界観の中での人々の暮らしを描いたエンターテイメント作品と表現するのが私の中では腑に落ちる感じです
ストリームなどでも視聴できる作品ではあるのですが…
基本的にはテレビ未放送の2話を含めて視聴するのがおすすめです
未放送の1話はコメディ回ですが、もう1つの未放送話が重要だったりします
{netabare}
テレビ最終話である第12話は、カナタ達の頑張りで戦争が回避されるひとまずの平和を手に入れる王道的エンディングであり、ラストも今までの日常が取り戻される様が描かれ1クールアニメとして奇麗な終わりをしています
一方で作品としての最終話である13話は、大半はエピローグという内容ですが、最後のシーン、リオが語る台詞がこの作品の中で最も重要な部分だったりします
結局のところこのリオの台詞がOPにもEDにも繋がっているし、作品のメッセージ性としては一番強いものになっています
このセリフは是非に観て聴いてほしいと思うところです
{/netabare}
ストーリ展開は1クールものとしてはオーソドックスで前半はキャラクターと世界観の紹介
そこで伏線を張りつつ、段々とクライマックスへ向けて盛り上がっていく展開という感じです
ストーリ展開をギュウギュウに押し込んでいない分、前半のキャラクター紹介が足早になることなく、キャラクターの個性がしっかり描かれています
一方でストーリ展開は定型になってしまっている感はありますが、キャラクターの魅力をしっかり描いた分、そこでつまらなくなるということはありません
声優さんは初主役だった金元寿子さんを経験豊富な陣容で支えていますし、役とのはまり具合もすごいです
リオのカッコよさを崩さずに抜けている感じを出す画伯小林ゆう
フィリシアのおっとりさと見えない腹黒さを表現する遠藤綾さん
じゃれつく子犬のような可愛さと真面目さで貧乏くじを引きがちなクレハを演じるキタエリ
そして、無口ながらも色々と内に秘めているノエルの悠木碧
他のサブキャラも含めてしっかりとしています
音楽は終末という部分と街・キャラクターの雰囲気にに合わせたものが多く、作品にマッチしています。
その中で『アメイジング・グレイス』印象的に差し込んできて、トータルで出来が良い感じです
OPとEDはイメージがかなり違いますが、両方とも作品の世界観をしっかり表現したものになっています
OPが衰退していく世界を
EDはその中で前向きに生きていく少女たちを
前述した作品としての最終話の13話を観ると特にそう感じます
パッケージの方にはおまけのドラマCDもついていたりと、個人的にはかなり良く作られた作品で満足度は高いですし、おすすめ度も高いです
なかなかパッケージを買ってまでとは言いにくいですが、『物語シリーズ』などと同じように、テレビ放送されていない部分まで合わせて楽しめる作品(といいうか前述のとおり、作品としての最終話を見ないと本当の意味でのこの作品の良さが感じられない)ので、今は中古で手に入るかだとは思いますが、購入も考えてみては?という作品です