nyaro さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
マルチエンドって時代性ですよね。理解したいんですけど、よくわかりません。
アダルトゲーム原作のTVアニメは、AIRやKANONなどがありますが「泣きゲー」要素…喪失をテーマとしてアダルト要素を排除したこれらの作品のアニメ化と異なり、本作はゲームの主旨…恋愛アダルトそのままでした。
マルチエンディングのアダルトゲームをやったことはないのですが、基本的に複数の女性を攻略してゆくことで、最終的にたどり着ける真の攻略対象と結ばれることが目的らしいですね。
ゲームの主旨から言っていわゆる「おかず的なアダルト」の用途だったのか、はたまた攻略そのものが目的化したのかが感覚としてわかりません。こういう同じ時間を繰り返す作品の場合、メタ的な視点になって感情移入がしづらい気がします。
本作のような様々な女性と結ばれる結末を4編+おまけの1人の場合作品の評価ってどうなんでしょう?
恋愛をテーマとした作品だとすると、物語性って感情移入だと思うんですよね。作品の性質上最後の「妹」攻略が主目的ならそういう面も分からなくはないです。
長い長い攻略の果てに結ばれるというのは「恋愛の苦労≒攻略の苦労」ということで、いいでしょう。
ただ、それですらゲームならでは、の気がするんですよね。選択肢を選ぶだけなんだと思いますけど、メモを取ってトライアル&エラーで徹夜して、で最終的に推しが真のエンドだった…ならわかりますけど、アニメだとどうなんでしょう?
いや、作品そのものが面白くないわけじゃないんですけどね。男心をくすぐるドキドキ演出もツンデレもありますし、妹やその他の女子にヤキモチ妬かれながら、最後は2人だけで分かり合うようなそれぞれのエンドはまあまあいい話です。今なおご都合主義のラブコメが沢山ありますが、この時代のゲーム・アニメのストーリー性はなかなかだと思います。恋愛シミュレーションなのでキャラも当然立っていて可愛いし魅力が明確です。
だからといって、本作はそれぞれの女の子のショートストーリーとして、いい話ではあるんでしょうけど、それほど深い話でもないし、したがって怒涛の感動があるわけではありません。
「スクールデイズ」は順番にでしたけど、それを並行にしたような構造です。これってやっぱりスクールデイズタイプにするとただのチャラい男になるから駄目なんでしょうか…駄目でしょうね。さらに感情移入が難しくなります。
となると、なるほど…罪悪感というかチャラ男にせずに複数の女性とというニーズを満たすのに良い構造ではあるんですね。ただ、それは結果論で主旨ではない気がします。
最後の妹編だけは、かなりドキドキしますけどね。これはアニメやゲームだからこそ見られる話ですね。実話だと言われると厳しい話です。これでカタルシスを得るためにははがっつり入り込んで一気見しないと駄目でしょうね。こうやって分析的に見るのはちょっと作品の楽しみ方からはズレている気がします。
本作を総評すると、作画とかのクオリティは高いです。最後のショートコーナーとかで楽しませようという感じもあります。
話もマルチエンディングの違和感…視点のメタ化という弱点はありますが、それぞれのキャラ達の魅力が勝負なので、その辺は作り込んでいます。
サブスク版だとかなり修正入っていますが、当初のTV放映版、無修正版のエロニーズは十分です。もちろんTV版なのでシーンはあっても「A KITE」みたいな直接の結合描写などはないので、まあ、昔の映画(今はやりのトップガンの前作とか?)みたいなものだと思えばそんなものです。
ということでアダルト表現が苦手でなければ面白いことは面白いです。スクールデイズOKなら全然OKでしょう。
アニメレビュー的には、ゼロ年代のアダルトゲーム…特にマルチエンドのこういうエモい感じの作品って、アニメ史、オタク史として非常に重要だと思うのですが、このカテゴリーは同時代性がないと理解が難しいんですよね。AIRやKANONのマインドとどう違うのか。
当時または若干後の時代の評論を探して読んでみるしかないんですかね。