oneandonly さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
声優の歌唱力と孔明のイメージに支えられた作品
世界観:7
ストーリー:6
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:6
合計:31
<あらすじ>
五丈原で星になった天才軍師・諸葛孔明。
死んだはずの孔明が目を覚ますとそこはハロウィンで超アゲ↑の渋谷!
孔明はパリピに連れられていったクラブで、歌声のバイブスがエグいシンガー・月見英子と出会う。
しかし英子は自信を失って超サゲ↓状態。
どうする孔明!?どうなる英子!?
(公式サイトより)
原作未読。ちょっと話題になっていたので視聴しました。ファミコンからスーファミの時代が思春期に重なる世代ということもあって、三国志は光栄のゲームから入ったクチです。その時の興味もあって、吉川英治の小説は読んでいますが、高校時代のため記憶は曖昧。なので、作中の三国志ネタは雰囲気でついていく感じでした。
OP曲はユーチューブでも騒がれていましたが、ハンガリーでヒットした原曲に空耳風の歌詞があてられ、独特な踊りも含めて良い意味で癖がありました。久しぶりに高度な実写OPを作っている動画を見つけ、笑わせてもらいました(特にアザリエ登場シーン)。
{netabare}さて、物語の評価に入っていくのですが、諸葛孔明が転生するタイミングをハロウィンデーの渋谷にするという導入部のセンスは素晴らしかったです。孔明のイメージそのままの服装で馴染んでいくところや、英子との出会いも自然に見えました。英子の歌に惹かれるという重要なシーンも、歌が上手く、埋もれても不思議のない程よいバランスの歌声で、好感でした。(96猫さんという主にニコニコ動画などで活動し、現在はメジャーデビューされた歌手ということで、配役に合った採用ではないかと思います。)
また、孔明の現代社会への適応力(ラップバトルをこなしてしまうとは!)や、言語能力などは流石にツッコミ要素が強かったものの、孔明ならやってのけても不思議ではないかと思わせてしまうところにシナリオの巧さ、逆に言えばズルさがあるように思いました。服をコインランドリーで乾かしている時のジャージ姿もコミカルでしたが、夕日が射し込む部屋で蜀の滅亡を知るシーンではしんみりさせたり、幅の広い作風は本作の魅力ですね。
孔明が繰り出す策、「石兵八陣」は、そもそも三国志演義による虚構とされていますし(ただ、戦国時代の合戦に用いられた陣形である八陣(和名:魚麟・鶴翼・雁行・長蛇・偃月・鋒矢・衡軛・方円)は諸葛亮八神とも呼ばれ、孔明に由来するとの説があります)、最後のほうの3つの袋は流石にありえないですし、ご都合な印象もありましたが、これも孔明なら…と納得させられてしまうようなところがズルいです(笑)
中盤のラップバトルのところは、孔明がKABE太人を必要とした理由が最終話まで見ても回収されておらず、ストーリー上の重要性が高くないことから評価されない向きもありますが、パリピ感を増す観点では良かったのかなと思われ、原作あり続編ありの物語ですから、彼が必要となる先見の明は数話先ではわからないのだろうと、自分は肯定的に見ています。自分は知らない世界だったので楽しめました。
最終話の英子の歌も、キャロル&チューズデーやVivyよりは良かったと思います。最終回に主人公の歌が重要な役割を果たす作品では、その最後の歌が響かず残念に思ってしまうこと(歌ではないが、映像研の最終話も似た印象)は珍しくありません。
アニメで好きになった曲は購入するなど、楽曲も含めて楽しんでいますが、個人的な経験則では、1回聴いただけで購入を決断する楽曲はありません。何話も曲を聴き続ける中で、耳になじんできて、突然ハマるというのがパターンです。最終話で最高の歌を視聴者に届けるという構成は、そもそも視聴者の期待でハードルを上げているところ、馴染みのない曲を聴かせることになるので、盛り上がらないのはある意味当然で、負け戦に挑戦しているようなものです。パリピ孔明は善戦の部類かなと。{/netabare}
過去の海外偉人の現代転生ということで、これまでの異世界転生系とは毛色の違う作品。これを書いている現在も、「異世界おじさん」など、手を替え品を替えで面白い作品が出てきますが、異世界モノは、現代人の共通言語が使え、共感を得やすいというメリットが大きすぎるのですよね。
本作の今後は、英子がよりBIGになっていくのでしょうが、話の作り的に孔明の策でチャンスをモノにしていく展開が続くことが予見され、滅茶苦茶面白くなるイメージはない(どこかで飽きがきそう)ですが、続編があれば視聴しても良いかなと思っています。
(参考評価:3話4.1→4話4.0→7話4.1→8話4.0→9~12話3.9→調整3.8)
(視聴2022.4~6)